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仏壇彫刻の技が「kiboriブローチ」に! 山形仏壇の女性職人に聞いた
山形仏壇の彫刻師が考案した「kiboriブローチ」が、ネット上で注目を集めています。
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山形仏壇の彫刻師が考案した「kiboriブローチ」が、ネット上で注目を集めています。
山形仏壇の彫刻師が考案した「kiboriブローチ」が、ネット上で注目を集めています。仏壇彫刻で使用されるシナノキを使って、鳥や梅などを手彫りした作品です。「山形仏壇を知ってもらうきっかけに」と話す女性職人に話を聞きました。
国の伝統的工芸品指定を受けている「山形仏壇」。その彫刻師として活躍しているのが芦野和恵さんです。
山形市にある「仏壇のおおつき」で彫刻師として10年以上のキャリアを重ねる中で、2016年に生み出したのが「kiboriブローチ」です。
仏壇や社寺彫刻にも登場する雲や波、鳥、兎、松竹梅などをモチーフにした手彫り作品で、現在は21種類があります。
先日、ツイッターでこのブローチが紹介されると、「ただひたすらに可愛い」「プロの作品」といったコメントが寄せられ、注目を集めました。
「素材は現在の山形仏壇彫刻で多く使用されるシナノキです。彫跡はごまかせないため、切れる刃物で丁寧に仕上げています」と芦野さん。
2015年に彫刻師として打ち刃物の職人とコラボした作品をデザイン賞に出品したところ、商品開発に向けたブラッシュアップスクールに参加できることに。
ここで商品化のために試作した仏像や蒔絵などの中から、桂の木を彫った鳥の彫刻にピンをつけたバッジが講師の目に留まり、kiboriブローチにつながりました。
「仏壇の塗り替え依頼の時などに見たことのあるモチーフや、日本の伝統的な社寺彫刻なども参考にしています」と芦野さん。
雲や鳥のブローチは、塗りをかけて金箔を押せばそのまま仏壇に組み込めるそうです。
なるべく木の白い部分を選んだり、彫跡の残し加減を意識したり。塗膜をかけず、彫跡が見えるので仕上げにも気を遣うといいます。
そんなkiboriブローチに込めた思いについて、こう話します。
「山形仏壇を知ってもらうきっかけになればうれしいです。かわいいね、というところから、宗教的な遠い存在ではなく少しでも身近に感じてもらえたら」
フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどは使ったことがないという芦野さん。話題になったことについては、「ネットは得意ではないのでよくわかりませんが、良いことで話題になる、ほめていただけることはうれしいことです」。
そして、こう続けます。
「現在、伝統産業の職人は後継者育成どころか自分の仕事もままなりません。なくしてしまうのは簡単かもしれませんが、なんとかつないでいきたいです」
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