連載
#23 #withyouインタビュー
カリスマ美容師の高木琢也さん、10代の時に見つけた「人生の猶予」
<たかぎ・たくや>
1985年生まれ。2006年、早稲田美容専門学校卒業。2013年に美容室「OCEAN TOKYO」を設立。現在、渋谷・原宿に5店舗を展開している。2016年、最年少の美容師として日本武道館でのヘアショーに出演。予約は常に2か月待ち。日本最大規模のヘアコンテスト「HOT PEPPER Beauty AWARD」で、2017~2019年で3年連続1位。
なりたいものってなかったんすよ。
高校生の頃は、サッカー選手になりたかったけど、高校2年生のときに、プレーできないほどのけがをした。そのとき、やりたいものってまったくなかったですね。
担任の先生に「これからどうすんの」と聞かれて、「わかんないからとりあえず大学行くよ」と答えました。とりあえず猶予がほしかった。
「ためになりそうだから」と、ノリで法学部を受けました。でもその大学に落ち、父親の職業の影響で受けた公務員試験も落ち、かっこつけるのが好きだからという理由で受けた美容専門学校も一つ落ちました。
いまの若い子たちも、目標ある人って超わずかで、どういう風になりたいかわからない人は多いと思う。俺もそうだったから。でも、親にも先生にも友達にも、「将来どうする」「進路どうする」と聞かれる。
もし18歳で美容学校に入ったら、それを60何歳までやり続けるしかないじゃないですか。それって俺はすごくハードな決断を若干18歳でさせられているなと思う。鬼だなとずっと思っているんすけど。
そういうとき、助けになることの一つが、将来が決まっていない友達と話すことだと思います。(一緒にいる)グループの子たちがやりたいことが決まってると、自分は閉鎖的になっちゃうと思う。
でも、決まっていない子たちみんなで悩んでいるうちに、俺はこのへんに行こうかなって思うようになる気がしますね。
専門学校決めたときも、美容師になりたいという気持ちが固まっているわけではなかったです。高校卒業してそのまま働くのはイヤだったから、とりあえず受かる美容学校に行った。またそこで考えればいいやって。
美容学校の友達と話している中で少しずつ変わっていきました。
美容学校って個性ある子が多い。変な色の髪の毛して。キノコ頭の子もギャル男もいた。でも、俺は美容師になりたいわけではなかったから「まずその髪形なによ」ってとこから聞きました。
友達に「なんでそんなに美容師になりたいの?」って聞くと、「この美容室がすごくて…こういう雑誌に載ってて…」って語るんです。美容師の魅力をみんなが教えてくれた。
それを聞くうちに、結構おもろいかもって。
10代の頃は、夢もなにもなかったし、なにもかもうまくいかなかったけど「有名になりたい」っていう気持ちで、動いてきました。
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