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お金と仕事

「2千万円問題」、アラフォーが「正直、悲しくなってくる」理由

「2千万円問題」にアラフォー世代が語った本音……※画像はイメージです
「2千万円問題」にアラフォー世代が語った本音……※画像はイメージです

目次

あなたは普段、選挙にどう向き合い、何をよりどころに投票していますか。7月21日の参院選投開票を前に、アラフォー世代の有権者座談会を企画しました。ツイッターでの呼びかけなどで集まったのは、36~44歳の男女各4人ずつの計8人。今回の参院選で争点となっている年金や消費増税について意見を出し合いつつ、他人同士で「選挙」を語り合った後の変化も聞いてみました。(朝日新聞名古屋報道センター・佐藤英彬、山下奈緒子)

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ツイッターなどで呼びかけ

【座談会に参加した皆さん(年齢順)】
石坂喜和さん(36)会社員。子どもの頃から選挙大好き。
白井直さん(38)税理士事務所勤務。政治への関心は薄い。
水野さやかさん(40)3人の子育てを通じ、政治を意識。
会社員女性(40)これまで一度も選挙に行ったことがない。
村瀬良太さん(42)建築史家。政治への関心は高い。
土井恵信さん(42)僧侶。子どもが産まれ、政治を意識。
会社員女性(44)シングルマザー。選挙に行ったり行かなかったり。
山田千鶴さん(44)地元の市長選をきっかけに政治に関心。
発言を聞く参加者=朝日新聞名古屋本社、川津陽一撮影
発言を聞く参加者=朝日新聞名古屋本社、川津陽一撮影 出典: 朝日新聞

消費税「きちっと決まってないところが問題」

参加者には、日本の消費税の歴史や世界の消費税率などをまとめた資料を見てもらいました。

税理士事務所に勤める白井さんは消費増税に反対です。

 

白井さん

「社会保障に使うという消費税が、実際に社会保障に使われていないんじゃないかって思っているから反対しています」

 

土井さん

「生活に響いてきますので、心情としては反対ですけれど、国の財政が自転車操業になっているのはわかっていますし、平等に負担するのは当たり前かなって思うんです。ただ、税を上げた分、どこに使われるのかは透明化をしてもらいたい。それを含めた上で賛成ですね」

 

会社員女性(44)

「反対です。税率8%と10%の区分けがしっかり把握できないところもあって。いろんな場面が想定できるのに、きちっと決まってないところが問題だと思うんです。キャッシュレスでポイント還元って言われたって、やってる人もごくわずか。10%にむやみやたらに引き上げるのは賛成できない」

 

会社員女性(40)

「賛成です。上げざるを得ないんだろうなっていう部分があって。ただ、前々から、国に借金があるなら、なんで国会議員の人数が減らないのかとか、国会議員の給料が下がらないのかって思っています」

 

村瀬さん

「賛成です。社会が高度化していてお金がかかるんですよ。違うところにお金を流すのはしょうがないと思う。インフラも今までやってきたものでいいかというと、整備に必ずお金がかかる。どこかからお金をもってこなくちゃいけない」

【消費税】1989年に始まった消費税。1989年4月に税率が3%だったのが、1997年4月には5%、2014年4月には8%、2019年10月には10%になる予定。軽減税率として、酒や外食除く飲食料品などは税率8%に据え置かれる。消費税法によると、消費税は年金、医療、介護、少子化対策にも充てられる。

年金「これ見ると苦しくなってきちゃった」

次に年金の問題を取り上げました。金融庁の審議会が老後の生活費について、年金だけでは生活が難しいとして30年間で約2千万円が不足すると指摘した報告書が関心を呼びました。年金に頼っていいのでしょうか。

「これ見ると苦しくなってきちゃった」。水野さんが思わず声を上げました。手にしていたのは日本の人口構造のグラフです。内閣府によると、1950年には、65歳以上の高齢者1人を支える現役世代(15~64歳)は約12人でしたが、2015年には2.3人に。65年には1.3人になります。

 

水野さん

「私たち、いつ遊べるんですか。男の人は稼ぐお金があるけれど、専業主婦の私たちは男の人に頼らないといけない。『じゃあ自分の自由って、いつ生まれるの』って考えた時に、正直悲しくなってくる」

今の年金制度の信頼度を点数にしたら、10点満点で何点をつけるか聞きました。

 

会社員女性(44)

「5点くらい。実家は自営なので、年金をもらいながら商売もしている。年金だけでは食っていけない。私は会社員なので厚生年金がある。母からも『厚生年金があるとないとじゃ大違いだよ』ってずーっと言われ続けてきたので。期待もしてるし、この先の不安も入り交じって半分くらいかなって感じですね」

 

水野さん

「私は0点ぐらい。全然期待していなくて。今払っているのは、今いる親とかおじいちゃんおばあちゃんのためには必要だと思うから。年金に頼ることで不安になるぐらいだったら、もう年金はゼロだと考えて、自分でやっていきたいです」

【国民年金】原則20歳から60歳になるまでの全員が加入する。自営業主らは国民年金のみ、会社員や公務員はさらに厚生年金が上乗せされる2階建て。原則65歳から受給できるが、60~70歳の間なら自由に受給開始の年齢を決められる。繰り上げや繰り下げをすると、月々の年金額が変わる。

「投票はもちろん……」

予定の2時間を超えて、3時間に及んだ議論。語り合うことで8人に変化はあったのでしょうか。感想を聞いてみると……。

 

水野さん

「こういう話ってしたくても盛り上がらないっていうのがあって。こうやってざっくばらんに話すのが、すごく楽しい。こうやって話せば意外に選挙も楽しめるのかなって新鮮な気持ちになりました」

 

村瀬さん

「投票にはもちろん行きます。お話ししながら、自分の中の軸ってあるなって確認できました」

 

石坂さん

「久しぶりに大学のゼミに来たようでした。しつこいんですけど、選挙、ワクワクしちゃって楽しみです」

 

会社員女性(40)

「投票に行ったことのない人間には、今回行くかっていうとまだ正直決め切れていなくて。今回の参院選は、私の中ではちょっと遠いので。でも、この会に出てぐっと近くなりました」

 

会社員女性(44)

「こういった会が初めてで、まして自分から進んでこういう会に参加すること自体が、自分でもビックリしているくらい。私は情報源がデジタルな方で、割と危ない情報もあって、偏ってどんどん方向がずれちゃうこともあった。他の政党とか自分があまり見ない公約も見ていきたいなっていう興味がわいてきました」

 

土井さん

「政治に興味がないって自分で決めつけていましたけど、実は圧倒的不安から逃げたい自分に改めて気づかされた。バラエティー番組を見て笑っている方が楽は楽だけれど、そればっかりだと、知らないことばっかり。『政治はすごく面白い』ってニコニコしながら話される人もいて。またこのメンバーで話したいなって思いました。投票はもちろん行きます」

 

山田さん

「今まで、どういう基準で候補者を選んだらいいのかやっぱりわからなくて、指標なり何なりができたらいいなって思って来たんですけど。やっぱりいろいろ自分で考えるんだっていうのがわかりました。『投票することによって、政治が自分の責任になる』ということを自覚しなくちゃいけないなって思います」

 

白井さん

「選挙ってひとごとのような感じだったんですけど、こういう考える機会ができたというだけですごいことだなと思って。選挙って身近なんだな、自分のこれからのことを言っているんだなというのがわかった。これからもっと自分で考えて、いろいろ決めて投票に行きたいです」

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