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【イラスト解説】ひきこもり→家庭内暴力収める「7つの道筋」 NGは
ひきこもり状態にある人が、家庭内で暴力をふるうようになったとき、家族はどうすればいいのか。東京都練馬区で元農林水産事務次官が長男を殺害したとされる事件は、改めて問題の深刻さを突きつけました。しかし、専門家は「解決策はある」と言います。20年以上ひきこもり問題に向き合い、内閣府のひきこもり支援者読本(2011年)の中で、家庭内暴力への対応についても執筆した精神科医の斎藤環(たまき)筑波大教授に暴力を収める道筋を聞き、イラストにまとめました。(朝日新聞記者・中村靖三郎)
斎藤教授はまず暴力の背景を理解する必要性を訴えます。
暴力には「家族が刺激している暴力」と「慢性型の暴力」があります。前者は家族が本人の人格を否定したり、怠け者扱いしたりすることへの反発として起こります。
「皮肉や嫌みを慢性的に言われ、否定的な言動で苦しめられている当事者は多い。やめれば暴力は収まります」
一方、慢性型暴力は、家族が特に何もしなくても、ささいなことに難癖をつけて暴れ出します。本人は「自分の人生は価値がない」など否定的な思いを抱き、「こうなったのは親の育て方がまずかったからだ」など他責的になり、親に暴力をぶつけずにはいられなくなってしまいます。
「根源にある感情は『悲しみ』。本人も自分を責めていることを理解してください」
暴力を収めるためには、本人の言葉に最後まで耳を傾ける必要があります。反論や弁解はせず、全て受けとめます。
その上で、暴力には徹底拒否を貫く。「一番やってはいけないのは、暴力を受け入れること」。我慢したり甘んじて受け入れたりすると暴力を助長しかねません。「暴力は嫌だ」とはっきり伝えます。
次に必要になるのが、問題を外部に「開示」することです。
まずは、他人を家に入れる。「家庭内暴力は第三者の目の前では起こらない」。警備会社のサービスやファイナンシャルプランナーの活用などでも応用できます。
それでも身の危険があるときは、覚悟を決め通報や避難を考えます。
ただ、いきなりするのではなく、予告しておきます。通報は逮捕が目的ではないため、事前に警察に相談し「逮捕や入院は避けたい」と伝えておきます。通常は警官が現場に駆けつける頃には暴力は収まっているといいます。
もう一つの方法が避難です。短期賃貸マンションなどを確保し、避難したらすぐに「暴力が嫌だから逃げたが、あなたが嫌だからではない」と電話します。「親から捨てられた」と自暴自棄になり自傷行為などに至るのを防ぐためです。その後も毎日電話します。
暴力が完全に収まるまでは決して帰っていけません。1、2週間後を目安に一時帰宅して何度か繰り返します。
「大事なのは、暴力を振るわなくて済む環境を作ること。本人も暴力を好きでやっているわけではなく、やめる口実が欲しい。そのための『暴力の拒否』なんです」
斎藤教授は言います。
「自分の経験でしかないが、この方法でほとんどの暴力は収まっている実感がある。試してみる価値はあるんじゃないでしょうか」
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