IT・科学
「大人乳歯」が欠けた…どうする?歯科医に聞いた 27歳で歯が心配
私は27歳の大人ですが、上の犬歯が両方とも「乳歯」です。25歳にして初めて行った歯医者で知りました。いわゆる「大人乳歯」。永久歯がない子どもは10人に1人いるとの調査結果もありますが、この度、私の大人乳歯のうち1本が欠けていることが判明。抜けたらどうなるのか、恐怖を感じながら調べました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)
人生で虫歯になったことが一度もなく、歯医者のお世話になったこともなかった私が2年前、「すきっ歯」を気にして歯医者に行ってみました。そこで発覚したのは、上の犬歯(糸切り歯)がまさかの乳歯だということ。どうりで周りよりも小さいわけです。
その時の治療計画書には「上の犬歯は子どもの歯で、乳歯の根っこの吸収が見られる。30代や40代でダメになることがある」との怖い文字が並んでいました。かなりのすきっ歯に見えるのは「そもそも乳歯以外の歯のサイズも小さい」からだそうで、ご了承ください。自分の歯でも、写真は見ていてあまり気持ちの良いものでありません。
上下あわせて28本ある永久歯(親知らずを含まない)が生えそろわない状態のことを「先天性欠如歯」と言うそうで、前回の記事では専門家に話を聞きました。私の場合、乳歯の後に永久歯は控えていません。そう、文字通りに永久歯がないのです。
日本小児歯科学会が2007~08年度にした調査によると、小児歯科を受診する子どもの1割が先天性欠如。1980年代以降に受診した7歳以上の子ども1万5544人分の記録を分析したところ、1568人の永久歯が1本以上足りない状況でした。思ったよりも世の中にいるという印象を受けます。実際に聞いてみると、私の友人にもいました。
なぜ永久歯がそろわないのか、原因が分かっていないのが怖いところ。ですが、専門家のアドバイスをもとに手入れをして、しばらくは大丈夫だろうと高をくくっていました。
それがこの春、妻に突然「上の歯欠けていない?」と言われました。鏡で見てみると確かに欠けているよう。ただでさえ小さい乳歯が、さらに小さくなっています。
気になって近所の歯医者へと向かいました。
診断してもらうと、歯自体の問題はほぼないという状態。犬歯の永久歯は存在しないので、抜くことは薦めないという助言を受け、今回は欠けた部分を樹脂で埋めるという治療を受けました。見た目には欠けていたことが分からないレベルになりました。
「埋めた歯の付近では(食べ物を)かまないように」との言葉を耳に、ランチはスープだけで済ませました。
けれど、今後もし抜けてしまったらどうすれば良いのでしょうか。不安です。福井県済生会病院の口腔外科医長の山口智明さんに前回に引き続き聞いてみると、入れ歯にしたり、空いた隙間にインプラントを埋めたりするなどの方法があるといいます。どの方法を選ぶにしても「早めに相談してください」。ちゃんと治療をすれば日々の生活には困らないそうです。
治療をしないとかみ合わせに影響が出ることもあります。歯並びの矯正にお金がかかりそうですが、6本以上歯が足りないと、指定の医療機関での治療に健康保険が適用されるようになっています。私は対象外ですが…。
「先天性欠如歯」だと分かったら大事なのは、虫歯を予防して乳歯を長生きさせること。ライオン歯科衛生研究所が運営している「歯と口の健康研究室」が予防に役立ちます。
大切にすれば、私の乳歯もしばらくは大丈夫そうです。もし抜けたら、この年齢でも床下に投げるべきなのでしょうか。そもそも、投げる意味から調べる必要が出てきた気がします。
20代や30代で大人乳歯のある方、ご連絡ください。今後について考えましょう。
1/14枚