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「大人乳歯」が欠けた…どうする?歯科医に聞いた 27歳で歯が心配

赤丸の小さい歯が「大人乳歯」。悲しいほど欠けている=2019年
赤丸の小さい歯が「大人乳歯」。悲しいほど欠けている=2019年

目次

私は27歳の大人ですが、上の犬歯が両方とも「乳歯」です。25歳にして初めて行った歯医者で知りました。いわゆる「大人乳歯」。永久歯がない子どもは10人に1人いるとの調査結果もありますが、この度、私の大人乳歯のうち1本が欠けていることが判明。抜けたらどうなるのか、恐怖を感じながら調べました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)

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【歯をさらけ出した関連記事】25歳まで乳歯だった私…意外と多い「大人乳歯」 原因は?注意点は?
 

28本の永久歯がそろわない

人生で虫歯になったことが一度もなく、歯医者のお世話になったこともなかった私が2年前、「すきっ歯」を気にして歯医者に行ってみました。そこで発覚したのは、上の犬歯(糸切り歯)がまさかの乳歯だということ。どうりで周りよりも小さいわけです。

その時の治療計画書には「上の犬歯は子どもの歯で、乳歯の根っこの吸収が見られる。30代や40代でダメになることがある」との怖い文字が並んでいました。かなりのすきっ歯に見えるのは「そもそも乳歯以外の歯のサイズも小さい」からだそうで、ご了承ください。自分の歯でも、写真は見ていてあまり気持ちの良いものでありません。

上下あわせて28本ある永久歯(親知らずを含まない)が生えそろわない状態のことを「先天性欠如歯」と言うそうで、前回の記事では専門家に話を聞きました。私の場合、乳歯の後に永久歯は控えていません。そう、文字通りに永久歯がないのです。

記者のレントゲン写真。上の犬歯がともに乳歯で、後に永久歯は控えていない
記者のレントゲン写真。上の犬歯がともに乳歯で、後に永久歯は控えていない

小さい乳歯がさらに小さく

日本小児歯科学会が2007~08年度にした調査によると、小児歯科を受診する子どもの1割が先天性欠如。1980年代以降に受診した7歳以上の子ども1万5544人分の記録を分析したところ、1568人の永久歯が1本以上足りない状況でした。思ったよりも世の中にいるという印象を受けます。実際に聞いてみると、私の友人にもいました。

なぜ永久歯がそろわないのか、原因が分かっていないのが怖いところ。ですが、専門家のアドバイスをもとに手入れをして、しばらくは大丈夫だろうと高をくくっていました。

それがこの春、妻に突然「上の歯欠けていない?」と言われました。鏡で見てみると確かに欠けているよう。ただでさえ小さい乳歯が、さらに小さくなっています。

気になって近所の歯医者へと向かいました。

乳歯は本来子どものもの?(写真はイメージ)
乳歯は本来子どものもの?(写真はイメージ) 出典: PIXTA

抜けたらどうする?押し寄せる不安

診断してもらうと、歯自体の問題はほぼないという状態。犬歯の永久歯は存在しないので、抜くことは薦めないという助言を受け、今回は欠けた部分を樹脂で埋めるという治療を受けました。見た目には欠けていたことが分からないレベルになりました。

「埋めた歯の付近では(食べ物を)かまないように」との言葉を耳に、ランチはスープだけで済ませました。

けれど、今後もし抜けてしまったらどうすれば良いのでしょうか。不安です。福井県済生会病院の口腔外科医長の山口智明さんに前回に引き続き聞いてみると、入れ歯にしたり、空いた隙間にインプラントを埋めたりするなどの方法があるといいます。どの方法を選ぶにしても「早めに相談してください」。ちゃんと治療をすれば日々の生活には困らないそうです。

治療をしないとかみ合わせに影響が出ることもあります。歯並びの矯正にお金がかかりそうですが、6本以上歯が足りないと、指定の医療機関での治療に健康保険が適用されるようになっています。私は対象外ですが…。

「先天性欠如歯」だと分かったら大事なのは、虫歯を予防して乳歯を長生きさせること。ライオン歯科衛生研究所が運営している「歯と口の健康研究室」が予防に役立ちます。

歯と口の健康研究室(ライオン歯科衛生研究所)
 

大切にすれば、私の乳歯もしばらくは大丈夫そうです。もし抜けたら、この年齢でも床下に投げるべきなのでしょうか。そもそも、投げる意味から調べる必要が出てきた気がします。

20代や30代で大人乳歯のある方、ご連絡ください。今後について考えましょう。

治療で歯の体裁は何とか保てた(赤丸の乳歯)。だが、これからも油断は禁物=2019年
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日本の出産文化の研究で知られる安井眞奈美教授(民俗学、文化人類学)が「怪異と身体の民俗学―異界から出産と子育てを問い直す」を著した。
妊娠・出産中に亡くなった女性の妖怪・ウブメが生み出された背景は何か。家の床下や屋根の上など、異界の入り口と考えられる場所に投げられていた乳歯。だが近年の日本で容器に保管する新たな習俗が生み出されているのはなぜか。日本人はなぜ背中が妖怪に狙われやすいと考えてきたのかなど、身体や異界という視点から現代文化を問い直している。
怪異や身体の世界は日常生活に深みや奥行き、余裕を生むのではないか。そんな著者の思いが伝わる一冊だ。せりか書房刊、本体3500円。
2015年1月26日朝日新聞夕刊

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