話題
「レスポールのギターが『あ』にしか見えなくなった」結果…
「へ」は完全にフライングVだ……
「ひらがな50音をモチーフにしたギターを作りました」。そんな言葉とともにツイッターに投稿された、色とりどりのギターを並べた画像が話題です。「どういうこと?」と思い、よく見てみると、ギターのボディ部分がそれぞれ「あ」「い」「う」……と、ひらがな50音の形になっています。斬新な発想と、バラエティの豊富さに、ついつい自分のお気に入りを見つけたくなる……。どうしてひらがなのギターをつくったのでしょうか、作者に話を聞きました。
文字を物の形として見たときに、「わ」と「れ」と「ね」のように似たものがあるのが日本語の面白さのひとつというARAMAさん。作品の着想は、「日常にあるものが、文字に見えてしまうとき」に得るといいます。
今回、ひらがなとギターを組み合わせたのは、「所有しているレスポール(ギターの種類)のギターが、『あ』にしか見えなくなったので制作しました」。つくることにしたのは、長さ20cmほどのミニチュアのギターです。
ひらがなギターはパソコンで設計したデータをもとに、パーツごとに素材をレーザーカッターで切削。塗装して組み立てています。
よく見ると、ペグやフレット、ボリュームのつまみなど、ギターの各部まで細かくつくりこまれています。1文字あたりおよそ2~3時間でつくったそうですが、最初の「あ」は塗装に手こずり、6時間ほどかかったそうです。
その工夫とこだわりを聞いてから「あ」を見ると、色のグラデーションにもさらに深みが感じられます。
制作は6月9日から始め、1日平均10時間ほど作業をしていたそうです。そして続けること、16日間。全46本のひらがなギターが出来上がりました。
6月25日にツイッターに投稿すると、「おしゃれ」「ほしい!」という反響とともに、1.2万件以上のいいねが集まり、リツイートも3千回以上されています。
ひらがな50音をモチーフにしたギターを作りました pic.twitter.com/uSAliJ7lfl
— ARAMA (@aramatypo) June 25, 2019
ツイートへの反応には、「『へ』がただのフライングV(ギターの製品名:ボディがV字)になっている」というコメントもありました。比べてみると確かに、かなり似ています。
ARAMAさんは「意識していました。というのも、ほとんどすべてのひらがなに元となったギターがあります」。
例えば、「あ」「さ」「ち」「よ」「る」「ろ」はレスポール。「お」「か」「む」「め」「ぬ」「や」はストラトキャスターがモデルになっているそう。ギターのシルエットや形状から、特徴が一致する文字をあてはめていったそうです。「フライングVは『へ』の他にも、『え』『ん』のベースになっています」
ちなみに、「ふ」だけはオリジナルのデザインになっているといいます。「他のひらがなと比べてパーツが散らばっていて、形に合うものを見つけられませんでした」とARAMAさん。
ツイートが話題になったことについては、「嬉しいです。文字をベースにした様々な作品を作ってきましたが、立体作品でここまでの反響を得られたことはなかったので、設計からしっかりやってよかったなと思います」。
また、ギターに対する反響と、文字に対する反響が集まっており、「普通は一緒に考えることがない2つだから、面白い」と、反応からも気づきがあったようです。
「もともと、文字であるものをギターにしているので、読みにくい文字がたくさんあるんですけど、『ここがこの文字のこの部分か!』というように楽しんでいただけたらと思います!」
「今後も、日常の中にある日本語の新しい楽しみ方を模索し、作品を作っていきます」
見れば見るほど、個性豊かなひらがなギターたち。あなたも、お気に入りの一文字を見つけてみてはいかがでしょうか。
1/52枚