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お金と仕事

「転職しかない」春の決めつけはアウト キャリアを30歳で考え直せ

目次

サラリーマンの日々をキャラ化した「城崎広告」のメンバーが日頃感じている疑問を、withnews編集部がフカボリ取材する「会社員のモヤモヤ」。61回目の最終回は「キャリア」についてです。
城崎広告
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今回の登場人物

朝日奈彬
営業部所属の28歳。高いコミュニケーション能力とポジティブシンキングが長所。趣味はテニス、スキー、サーフィン、ランニング。

 

千歳原教次
40歳の営業部部長。経験豊富で、他人に厳しく自分にはより一層厳しい。趣味はオーディオとバイク。

 

猫渕渉
42歳の企画部部長。長年の経験で築いた人脈とそつのない仕事ぶりに定評あり。趣味は読書、お酒、料理。

 

朝日奈

すみません、お話の一部が聞こえて、勝手に勘違いしてしまって……

 

千歳原

いや、俺たちも業務中に誤解を招くような話をしていて悪かったな。

 

猫渕

それにしても、千歳原くんは慕われているんだねぇ。朝日奈くん、ちょっと涙ぐんでたよ。

 

朝日奈

それはもちろんです! ただ実際、もっと一緒に働きたいですけど、この季節は新たな道に進んでいく人も多いので、応援したい気持ちも本物ですよ。

 

千歳原

新たな道、か。
朝日奈も自分のキャリアについて考えているのか?

 

猫渕

それは気になるところだね。
それじゃあ、今回の取材テーマはそれでお願いしようか。
 定年退職の年齢がどんどん上がっていき、人生において働く期間が長くなる中で、あなたは何を優先しますか?すでに自分の中で答えがある人も、ない人も、改めて一度考えてみてはいかがでしょう?
 「リクナビNEXT」元編集長で日本の中途採用市場に精通するルーセントドアーズ株式会社の黒田 真行さんに話を聞きました。
黒田 真行さん
 

大切なのは自分が「機嫌良く」働けるか

 

朝日奈

本日はよろしくお願いします! さっそくですが、自分のキャリアや転職について考える時、どんなことを糸口にすればいいんでしょうか?

 

黒田

よろしくお願いします。
早速ですが、あなたは「機嫌良く」働けていますか?

 

千歳原

機嫌、ですか。
そういった切り口で考えたことはなかったですが……

 

猫渕

そう言われると、城崎広告にきてからの千歳原くんは、以前よりだいぶ機嫌がよさそうに見えるよ。

 

黒田

すごく単純な質問のようですが、キャリアを考える上で実は大切なことです。例を挙げると「転職」「独立」などを考えるときの判断軸になると思います。

 

朝日奈

たしかにシンプルですけど、客観的に判断できる質問ですね。

 

黒田

キャリアと一言に言っても、人によって目指すものや優先するもの、職場の環境などが違うため、千差万別で同じ人はいないと思います。

 

千歳原

その通りですね。
自分にとって何が重要かという指針を明確にすることは重要ですが、それにこだわりすぎても選択肢を狭める可能性があると思います。

 

黒田

自分らしいキャリアを築くためにも、自分自身が「機嫌良く」働けているかという点を「ものさし」にして、一度振り返ってみることがおすすめです。

 

猫渕

機嫌良く働けるかという「ものさし」、朝日奈くんも意識してみるといいかもしれないね。

 

朝日奈

その点、城崎広告では最高に機嫌良く働かせてもらってますよ!

 

千歳原

では、「ものさし」について、もう少し掘り下げて教えていただけませんか?

 

黒田

はい、ではもう少し「ものさし」を具体化してみましょう。

 

朝日奈

お願いします!

 

黒田

あなたが機嫌良く働ける要因は何でしょうか?
「給料」「安定性」「労働時間」「労働環境」など、いろいろな要素がある中で優先順位は人によって様々だと思います。

 

猫渕

ぼくくらいになってくると、気になるのは「労働環境」かなぁ。
ゆるくのんびりが許される職場がいいよ。

 

千歳原

どれも気になりますが、強いて言うなら、貢献に見合った「給料」があることはモチベーション維持の面で重要ですね。

 

黒田

もちろん全て大切ですが、100%叶う環境にはなかなか巡り会えないと思います。考えられる要素を全て出した上で、優先順位をつけてみましょう。

 

朝日奈

そうですね……うーん、でも優先度をつけるにもどう手をつけたらいんでしょうか。

 

黒田

その際に、「仕事内容」に関するものと「組織(職場)」に関するものに分けて考えると考えやすいかもしれません。

 

千歳原

何をするか、それをどんな環境でするか、という観点ですね。

 

黒田

参考までに、仕事や職場に対して人が感じる魅力因子(いわゆる“やりがい”)のバリエーション一覧を掲載します。ここにあてはめてみて考えてみても良いかもしれません。

 

猫渕

なるほど、こうやって一覧にしてみると、新たな発見がありますね。
魅力因子(いわゆる“やりがい”)のバリエーション一覧
魅力因子(いわゆる“やりがい”)のバリエーション一覧 出典:引用:求人情報提供システム

今後のキャリアについては、優先順位を参考に選ぶ

 

黒田

次に、優先順位をつけた希望を実現するにあたって、どのような手段があるかを考えてみましょう。

 

朝日奈

優先順位をふまえて、具体的な手段を考えていくんですね。

 

黒田

「社内での部署異動ができないか上司に相談する」といった身近な手段から「転職」「独立」といった思い切った手段まで、方法は多様にあると思います。

 

千歳原

独立ですか。
たしかに望む環境を手に入れる究極の手段かもしれません。

 

黒田

優先したいことを手に入れられる可能性が高い手段を選べることがもちろんベストですが、気を付けたいのが誰もが知らないうちにかけてしまっているバイアスです。

 

猫渕

たとえばどんなバイアスをかけてしまいがちなのでしょうか?

 

黒田

何もしないうちに「転職しかない」と決めつけてしまっている人が実は多くいます。

 

朝日奈

たしかに、まず思いつくのは転職ですね。

 

黒田

もしかしたら、あなたの希望は「独立起業」という形のほうが実現できるかもしれません。
どういった方法を選ぶかを考える際は必ず自分にバイアスがかかっていると思って、意識してバイアスを壊すようにし、フラットに考えるようにした方が良いでしょう。

 

千歳原

たしかに、営業という仕事柄、独立という選択肢はなかなか思い至りませんでした。これもバイアスですね。

 

黒田

現実と現実とのギャップに不満を感じて極端に理想を求める「青い鳥症候群」が一時社会問題になりましたが、同様のことがキャリアにも言えます。

 

猫渕

気持ちはわかるけどね……最高の職場という青い鳥を探したい気分になることも会社員人生にはあると思うよ。

 

黒田

「青い鳥」はどこにもいません。また、一見「青い鳥」に見えたとしても細かく見ることで、いろいろな色や模様が見えてくるものです。

 

朝日奈

その微妙な色や模様の違いが肝心ですし、うまく折り合いをつけていかなくてはいけないんですね。

受動的に動いていると選択肢が減少していく

 

千歳原

ところで、キャリアに真剣に向き合うべき年齢やタイミングはどうなんでしょうか?

 

黒田

私の見てきた人たちは35歳からキャリアを考える人が多くいます。
ただ、35歳の段階では環境に染まりきっているため、前述のバイアス強くかかりがちです。

 

猫渕

35歳ともなると職場の中堅どころか、業務によってはベテランですからね。

 

黒田

理想論で言えば、30歳になったらキャリアを洗い直して、40歳以降のキャリアを考えるべきだと思っています。

 

千歳原

朝日奈は今28歳だったか、いいタイミングで話を聞けたな。

 

朝日奈

30歳、たしかにもうすぐですね。そこで40歳以降の自分を積極的にイメージしておく必要があるということなんですね。

 

黒田

昨今の早期退職募集のニュースなどで、45歳以上が一つの区切りとされる傾向があるように、40歳も一つも節目でもあり、それは思っているよりもすぐに来ます。

 

猫渕

そういえば千歳原くんはちょうど40歳だったよね。

 

千歳原

その通りです。まさに大きな節目を迎えて、城崎広告という新天地にやってきたわけですが。

 

黒田

明日のことだと思って、受動的に動くと選択肢はなくなっていく一方です。一度きりの人生、自分のキャリアに関して自分で主導権を持てるよう、ぜひ能動的に動いていただければと思います。
■今回話をきいた人

黒田真行

ルーセントドアーズ株式会社・代表取締役。
日本初の35歳以上専門の転職支援サービス、
「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/ を運営。
2019年2月から、転職を前提としないキャリア相談サービス「CanWill」https://canwill.jp/ をスタート。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。
著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。

取材を終えて

 

朝日奈

節目の時期に素晴らしいお話を聞けましたね。夕永とも話したいな。

 

猫渕

節目といえば、この連載も大事な節目を迎えるんだよね。

 

千歳原

ああ、withnews編集部の尽力のおかげて、思えばこの連載もずいぶん長く続けさせてもらったが、今回を区切りにさせてもらうことになった。

 

朝日奈

そうなんですよね……すごくタメになる記事をたくさん作ってもらったので残念な気持ちもありますが……

 

猫渕

うんうん。でも、これもぼくたち城崎広告が新たな道に進んでいくために必要な節目なんだと思うよ。

 

千歳原

その通りだ。そうできるように努めねばな。

 

朝日奈

もちろんです!
これまで連載を楽しんでくれた皆さん、本当にありがとうございました!

 

千歳原

これからもwithnewsと城崎広告をよろしく頼むぞ。

 

猫渕

そういうこと。続けていればまた面白いこともできるかもしれないしね。

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