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お金と仕事

「交渉」ってできる? 実は身近で簡単だ! 長い目で、感情を大事に

目次

サラリーマンの日々をキャラ化した「城崎広告」のメンバーが日頃感じている疑問を、withnews編集部がフカボリ取材する「会社員のモヤモヤ」。53回目は「交渉」についてです。
城崎広告
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今回の登場人物

朝日奈彬
営業部所属の28歳。高いコミュニケーション能力とポジティブシンキングが長所。趣味はテニス、スキー、サーフィン、ランニング。

 

夕永俊介
企画部所属の30歳。鋭い視点の持ち主でデータ分析やコンセプトデザインが得意分野。趣味はひとりキャンプと植物画。

 

千歳原教次
40歳の営業部部長。経験豊富で、他人に厳しく自分にはより一層厳しい。趣味はオーディオとバイク。

 「交渉」という言葉にどのような印象を持っているでしょうか?
 言葉巧みに相手を説き伏せたり、ディスカッションで自分の意見を押し通すことだったり…難しい印象を持っている人や苦手意識を持っている人も多かったりするのではないでしょうか。
 

 

夕永

ビジネスですから、どうしても利害が対立することもあるとはいえ、今回の交渉は手ごわいです。

 

朝日奈

また日を改めて再チャレンジしようと思ってますけど、千歳原さんの言うように、押すばっかりじゃ前に進まないですよね。

 

千歳原

先方には先方の事情があるからな。
だが、どうにもならないというわけではない。

 

夕永

交渉、ということですね。
あまり得意分野ではないですが……

 

朝日奈

それじゃ、今回はこれについて取材をお願いしてみませんか?
ビジネスパーソンであれば公私共に直面することの多い、交渉事。経験が浅い人や苦手な人がどう乗り切るのがいいのか?異文化教育コンサルタントで早稲田大学 招聘研究員の鈴木 有香さんに話をききました。
鈴木 有香さん
 

交渉とは、非日常的なものではない

 

千歳原

本日はよろしくお願いします。

 

鈴木

よろしくお願いします。

 

鈴木

早速ですが、あなたはこれまでどのくらいの交渉をしてきたでしょうか?

 

朝日奈

業職なので、交渉の場面は多い方だと思います。

 

夕永

おれはどちらかというと苦手で……なるべく避けてきた自覚があります。

 

鈴木

「あまり自信が無い…」「ほとんどしたことがない…」という人でも、実は人生において数えきれないほどの交渉をこなしてきています。

 

夕永

えっ、そういうものでしょうか?

 

鈴木

「ビジネスシーンにおける契約内容の締結」といった複雑な内容もあれば、「待ち合わせ日時」「ディナーのお店」など日常生活の中で当たり前に発生しがちなものまで、話し合いで解決案を決める事は全て「交渉」ということができます。
PIXTA
PIXTA

 

千歳原

なるほど、人と人が何かをしようとする時、そこにつきものの調整事はすべて交渉と言えるわけですね。

 

鈴木

そのとおり!
なので、生まれてから数えきれないほどの交渉をほとんどの人が経験していると言うことができます。

 

朝日奈

そういわれると、なんだか交渉という言葉のイメージも和らぎますね。

 

鈴木

交渉というと、敷居が高い印象を持っている人が多いですが、実は非常に身近で非常に簡単なものも多いのです。

交渉にあたって、目的を明確に

 

夕永

交渉自体は日常的なものであること、よくわかりました。
ぜひそれに臨むための具体的なポイントを教えてください。

 

鈴木

はい!
では、交渉に臨むにあたってどのような準備をすべきでしょうか?

 

朝日奈

準備……うーん、たとえば、互いの主張を明らかにしておく、といったことでしょうか?

 

鈴木

まず前提として、目的を明確にしましょう。
その際に気を付けたいのが、目の前の交渉の結果にだけとらわれず、中長期的な目的を忘れないようにするという点です。

 

千歳原

重要な観点ですね。
人と人の関係は良いものであるほど長く続きます。

 

鈴木

仮に、利益創出を目的として価格交渉に臨んだ場合、完全に相手を言い負かせたとして、その後のビジネスが途絶えてしまうと、出せたはずの利益を無くしてしまうことになるかもしれません。

 

朝日奈

たしかにその通りです。情に訴えて泣き落としても、続かなければビジネスとしては必ずしも成功とは言えませんよね。

 

鈴木

もしかしたら、論戦を繰り広げるよりも、協力したり、場合によっては譲歩したりした方が中長期的な利益につながる場面もあるのではないかと思います。

 

夕永

あえて引く、ということですね。

人は「感情」があることを忘れない

 

鈴木

交渉は時と場合によって様々な形に変わっていきます。
同じ人と同じ場所で話したとしても、時間やタイミングが異なることで気分も違えばそれぞれの状況も変わってくるので、全く同じ会話になるということは無いからです。

 

朝日奈

それは実感しています。
交渉事も、日を改めると案外うまくまとまったりする経験があります。

 

鈴木

「交渉=論理のみが必要」と考える人もいると思いますが、人を感情抜きにして考えることはできないので、人は「感情があって、揺らぎがあるもの」だと考えるのがおすすめです。
PIXTA
PIXTA

 

夕永

揺らぎ……なるほど、勉強になります。

 

鈴木

それでは、様々な事情が複雑に絡み合い、毎回違う交渉で良い結果を出すためにどのようなことをすれば良いでしょうか?

 

鈴木

一番意識してほしいのが表面的な事象だけで判断しないでほしいという点です。

 

千歳原

そのあたりをもう少しかみ砕いて教えてください。

 

鈴木

有名な例えで、姉妹で1個のオレンジの取り合う話があります。
二人がhappyになるためにはどうしますか。
PIXTA
PIXTA

 

朝日奈

普通に考えるとちょうど半分に切り分ける、ということになりそうだけど。

 

夕永

今日のお話を踏まえると、まずは姉妹それぞれの目的を明確にしてはどうだろうか。

 

鈴木

半分に分け合うというのも一つの解決方法ですが、その前にまず、その理由を聞いてみることが大切です。

もし、妹がジュースを飲みたい、姉が皮を使ってマーマレードを作りたいという理由なら、中身1個分、皮一個分として分けることができます。

 

千歳原

「オレンジがほしい」という表層にとらわれず、その意味を掘り下げるということですね。

 

鈴木

そのとおり!
そして、注目してもらいたいのは、結果ではなく思考のプロセスです。お互いの主張の理由=ニーズを知ることで、お互いの目的を満たす解決策を一緒に考えることができるようになります。

 

朝日奈

この考え方を活用すれば、単なるテクニックではなく、互いにとって一番良い方法を模索できそうな気がします。

「対立」よりも、「協力」を選択する

 

鈴木

正解を一つと決めるより、多数のアイディア(解決案)を作り、相手との関係性、目的、状況の変化に合わせ、最適なものが提案できるような準備をすることは可能です。

 

夕永

自分の当初の提案を通すことに固執せず、柔軟に落としどころを探っていく……そのアイデアだしと考えれば、だいぶ気持ちがラクになります。

 

鈴木

対立の交渉が苦手な人も、一緒に協力して解答を作っていくというポジティブな形であれば本来の力を発揮しやすいのではないでしょうか?

いきなりビジネスの場面で…というとハードルが高いかもしれないので日常のちょっとした場面で経験を重ねて、より効率的に目的達成ができるようにしていってもらえればと思います。
PIXTA
PIXTA

 

千歳原

ありがとうございました。朝日奈と夕永も糸口が掴めたようだな。

 

朝日奈

はい! 目的をもう一度見直して、提案内容を練り直してみます!

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