話題
適当ってどれくらい? 発達障害『虎の巻』、誰に対しても当てはまる
札幌市の障がい福祉課が制作した「虎の巻」がネット上で注目を集めています。
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札幌市の障がい福祉課が制作した「虎の巻」がネット上で注目を集めています。
人事異動だったり、新入社員の配属だったりで、職場のメンバーが入れ替わることが多い4月。そんな時期を前に、札幌市の障がい福祉課が制作した「虎の巻」がネット上で注目を集めています。発達障害のある人たちが一緒に働く職場で、お互いが心がけるべきポイントをイラストで解説しています。「誰に対しても当てはまる」との声も上がっている冊子について、担当者に話を聞きました。
札幌市の障がい福祉課が発行している「虎の巻」シリーズ。
2010年に職場編が作られ、その後、学校編や子育て編などが出て計5冊に。市のホームページでも見ることができます。
わかりづらいといわれる発達障害の特性や、家族や周りの人たちとの間で起こりがちな思いの違いや対応法などを、イラストを用いて伝えた冊子です。
話題になっているのは、その職場編に掲載されている事例です。
パンを作っている虎夫さんが、先輩から「適当にクリーム塗っといて」と指示されて作業したところ、塗りすぎて注意を受けてしまいます。
「クリームをあんなに塗るなんて“普通に考えて”ありえない」という先輩と、「“どれくらい”塗るかおしえてくれなかったのに」と感じている虎夫さん。
その後、先輩が手本を見せながら作ることに。
先輩が作業しながら「こうやって塗ってください」と伝えると、虎夫さんは正確できれいに塗れるようになり、褒められるという内容です。
ツイッター上で紹介されると「これは絶対必要」「対象が誰かというのは関係ありませんね」といったコメントが寄せられています。
「虎の巻」シリーズについて、札幌市障がい福祉課の担当者はこう話します。
「具体的な事例を、見開きページに4コマでまとめました。左の2コマがうまくいかなかった事例、右の2コマが改善した事例という構成で、発達障害がある人にもわかりやすく、そうでない人にも伝わるよう工夫しました」
当事者と周囲の考え方のギャップを描くことで、両方の立場から考えることができるような構成になっています。
凸凹のへこんでいるところばかりを強調するのではなく、「いい方を活かせれば、こんな結果が生まれるんだ」ということが伝わるように心がけたそうです。
紹介した事例はあくまで一例であって、「すべてのケースに当てはまるわけではないので、考えるきっかけとして参考にしてほしい」とのこと。
今回に限らず、定期的に話題になるこのシリーズ。そのことについては、こう話します。
「公開から10年近く経っても話題になるということは、中身が古くならず、普遍的に作られているからの評価ではないかと考えています。長く使っていただけるのはうれしいですし、意味があると思います」
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