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「ワンピースのルフィ像」作った熊本県の思い…ツイッターの反応は?
週刊少年ジャンプの人気マンガ「ワンピース」の作者、尾田栄一郎さんの出身地熊本県に、主人公ルフィの等身大ブロンズ像ができました。「熊本県がお金を使ってまで作るべき?」。ブロンズ像を巡っては、そんな意見も出ましたが、現地で見たのは、キャラクターの癒やしパワーの大きさ。地元を盛り上げようとする県庁職員にも、共感の声が寄せられています。
そこまでした理由は、「尾田先生への感謝の気持ちを表現したい」のと、「ワンピースファンが熊本に興味を持ってくれたら」という願いから。
一味のある職員は「行政職員に対して、お堅く、型にはまってるみたいな偏見もあるが、ユニークな一面も見せられたかなと思っている。まあ、みんな結構普段はシャイな人が多いんですけどね…」
一味のアカウントには「熊本県庁一味のtweet面白すぎww」、「愛と敬意と喜びしか感じられないアカウント」と好意的な反応が寄せられました。
このほか、地元の工業高校の生徒たちも休み時間を使って、作品で使われている効果音「ドン」を制作。ルフィ像序幕後はこれを手に持って写真撮影するファンの姿も見られました。
【今後よろしくお願いします!】
— 熊本県庁の一味 (@Kenchono_ichimi) 2018年10月30日
尾田先生の県民栄誉賞受賞とルフィ像の完成を勝手連的に祝うべく、職員のファン有志で『熊本県庁の一味』なるものを結成しました。今後、ルフィ像建設現場の「今」やカウントダウン、その他企画などを非公式につぶやいていきますので、どうぞよろしくお願いします!
ルフィ像をつくる計画は、昨年4月に尾田栄一郎さんが「県民栄誉賞」を受賞したことをきっかけに持ち上がりました。
通常は県庁敷地内に記念の植樹をしますが、今回は尾田さんが漫画家ということで、「ルフィ像」を建ててはどうかと県側が提案。尾田さんとジャンプ編集部の協力のもと、実現しました。
熊本地震発生後、尾田さんは様々な形で熊本を支援してきました。被災地に贈った寄付金や義援金は約8億円。その後も、被災自治体とコラボしてふるさと納税の返礼品にキャラクターグッズを書き下ろしたり、被害の大きかった益城町の成人式にメッセージを贈ったりしてきました。
ルフィ像には、尾田さんの功績をたたえるのと同時に、被災した熊本に多くの人が訪れ、地域が元気になっていけばという思いも込められており、今後は麦わらの一味の像をそれぞれ建てる計画も進んでいます。
尾田さんは公式ホームページにメッセージを寄せ、「熊本での震災から2年以上たち、その間も日本各地で色んな災害が起きてしまいました。みんなが自分にできる範囲の協力をせねばなりませんが、このルフィもまた少しでも熊本に人を呼ぶきっかけになってくれれば、たいしたやつです!」とコメントしました。
2016年に起きた熊本地震を取材してきた私は、発生から約1カ月後、くまモンが避難所を訪問した時に、大喜びする子どもたちの姿を今も思い出します。涙を流すお年寄りもいました。
くまモンは、地震後に減った観光客を呼び戻すため、国内外から人を呼ぶ役割も果たしていました。
実感するのは、実在の人物以上に、キャラクターが人を元気づけることがあるということ。
「ワンピース」のルフィ像をめぐっては、いまだ仮設住宅に約2万人が暮らす中、県がお金をかけてまでやることなのかという批判もありました。私自身、「ワンピース」を楽しんで読んできたものの、手放しで歓迎するのがいいことなのかは悩みました。
ただ、ルフィ像に会いに県外や海外から来ている人たちの姿を見て「まんがの力ってすごい!」と素直に思いました。
生活再建の支援や復興がおろそかになるのは問題です。一方で好きなキャラクターやその生みの親が故郷に心を砕いていると知ることで、励まされる人がいるのも事実なのだと思います。
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