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奈良の「飛鳥」ナンバー、カッコよすぎると話題 乃木坂ファンも注目
2020年から奈良県で交付予定の自動車の「飛鳥ナンバー」がカッコよすぎと話題になっています。描かれているのは、朱雀(すざく)がダイナミックに羽ばたく姿。そして、なぜか乃木坂46のファンからも注目を集めているとか。その理由を調べました。(朝日新聞橿原支局記者・田中祐也)
飛鳥ナンバーは、奈良県の橿原(かしはら)市、明日香村、田原本町、三宅町、高取町の5市町村などでつくる「飛鳥ナンバー協議会」が準備を進めてきました。飛鳥京や藤原京など、古代の都が置かれた飛鳥地域を盛り上げようと企画されました。
昨年5月に導入が決定し、9月にデザイン候補を発表しました。「飛鳥」という漢字と、明日香村にあるキトラ古墳の壁画に描かれた朱雀にちなみ、いずれも翼を広げた朱雀が描かれていました。ホームページや地域のイベントでアンケートを行った結果、9089票のいうち、最多の3433票が集まったこのデザインに決まりました。
車の図柄入りのナンバーといえば、地域の観光地や名産が描かれたほのぼのとしたデザインが多い中、飛鳥ナンバーはたしかに斬新です。先月上旬に発表すると、ツイッターでは、「カッコ良すぎか!」や「これ飛鳥ナンバーだと!かかかかかかかかっけええええええ!」というつぶやきがありました。
飛鳥ナンバーのデザインが決まりました!
— 田中 祐也 (@ytks011213) 2018年12月4日
「飛鳥」という漢字とキトラ古墳の壁画からイメージし、朱雀が力強く羽ばたく図案が選ばれました。
カッコイイですね!
2020年からの交付が予定されています。 pic.twitter.com/kscapwoPCl
飛鳥ナンバー協議会の担当者は「多くの方に好意的な意見をいただけて一安心」と話します。担当者によると、デザイン案を発表してから、「県外在住ですが、飛鳥ナンバーをつけられますか」という問い合わせが何件か寄せられているそうです。いずれも、電話の声の感じからすると、若い男性ばかりと言います。担当者がもしかしたらと考えているのが、乃木坂46の齋藤飛鳥さんのファンの方々です。
たしかにツイッターでも「乃木坂ファン発狂ものでしょ」や「乃木坂好きは移住しよう」のつぶやきを見かけました。ファンとしては、飛鳥ナンバーをつけることで齋藤飛鳥さんを身近に感じたいということでしょうか。中には、「奈良に引っ越して3110(※さいとう)で希望ナンバー取る」という人も。
県外在住でも飛鳥ナンバーはつけられるのでしょうか。残念ながら、飛鳥ナンバーをつけられるのは、5市町村に住民票がある人だけです。原則、住民票と居住地は一緒でなければいけませんので、5市町村に移住する必要があります。ファンの気持ちはわかりますが、こればっかりはルールですので仕方ありません。
今回、飛鳥ナンバーのデザイン決定にあたり、明日香村の森川裕一村長は「5年越しの取り組みが実現しました」というコメントを発表しました。実は、飛鳥ナンバーは過去に一度、導入をめざしましたが、断念しているのです。
もともと、橿原市や明日香村の若手事業者らが、地域活性化のために飛鳥ナンバーをつくろうと企画。行政も賛同し、2013年に橿原市と明日香村、高取町、吉野町の4市町村で国土交通省に導入を要望しましたが、当時の基準の10万台に足りませんでした。再申請に向けて、周辺の自治体にも声をかけて参加をよびかけましたが、良い返事をもらえず、断念しました。
あれから、5年。導入基準が5万台に緩和されたこともあり、橿原市などは再挑戦を決意。吉野町は離脱しましたが、田原本町、三宅町が新たに参加し、念願の導入決定となりました。橿原市の森下豊市長は「本当にうれしいです。5年越しですので喜びいっぱいです」というコメントを発表しましたが、そういう経緯を知ってから読むと、実感がこもっているのがよくわかります。
5市町村のある飛鳥地域は、藤原京や飛鳥京という古代の都や、観光名所にもなっている石舞台古墳や飛鳥美人で知られる高松塚古墳など、歴史ロマンあふれるところです。
田原本町には弥生時代の環濠(かんごう)集落跡の唐古・鍵遺跡がありますし、高取町の高取城はNHKの「最強の城を決める」という番組の企画で、最強の城に選ばれた山城です。ですが、多くの観光客が訪れる東大寺や興福寺がある奈良市中心部から電車で40分と少し距離があり、観光客をいかに呼び込むかが飛鳥地域の課題になっていました。飛鳥ナンバーをつけた車が県外を走れば、文字どおり「走る広告塔」になります。行政の関係者は、飛鳥地域をアピールすることにつながると期待しています。
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