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連載

#3 #まぜこぜ世界へのカケハシ

障害者の「引き抜き」が起きる? 福祉と企業の現場で聞いた「本音」

就労移行支援事業を行う「空と大地と」の作業室に掲げられた言葉=静岡県島田市
就労移行支援事業を行う「空と大地と」の作業室に掲げられた言葉=静岡県島田市 出典: 朝日新聞社

目次

 障害者を雇用するってどういうことなのか? 障害者雇用の現場では、今後、「引き抜き」や「青田買い」が起こるのではないかと心配する声があるそうです。いったいどういうこと? 雇う側の気持ちが知りたくて、障害者雇用の改善に取り組む就労支援者や企業関係者を訪ねました。(朝日新聞記者・岩崎賢一)

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民間企業への「あめとむち」

 2018年は、政府や自治体の障害者雇用のずさんさが明らかになりました。

 障害者の雇用を促進するため、法律で法定雇用率が定められています。身体障害者、知的障害者、精神障害者、そして障害の重さ、1週間の労働時間によって計算されるものです。

 法定雇用率を下回ると、常用雇用の従業員が200人を超える民間企業は不足1人当たり毎月5万円の納付金を、100人を超え200人以下の民間企業は不足1人当たり毎月4万円を、国に支払う義務があります。一方、法定雇用率を超えていると超過1人当たり毎月2万7000円が調整金として支給される仕組みです。

 それに対して、政府や地方自治体には、法定雇用率は設定されているものの、納付金制度のようなペナルティーがなく、そもそも障害者かどうかといった基本的なチェックの仕組みが甘かったわけです。

 一転して、国や地方自治体は採用を増やすことになり、一般企業は「公務員」の魅力を売りにした転職の誘発や事実上の「引き抜き」を警戒しています。

就労移行支援事業を行う「空と大地と」で、一般企業への就労に向けたトレーニングで作業をする障害者の人たちとそれをサポートする職員
就労移行支援事業を行う「空と大地と」で、一般企業への就労に向けたトレーニングで作業をする障害者の人たちとそれをサポートする職員 出典: 朝日新聞社

社会のルールに慣れる

 静岡県島田市にあるNPO法人「静岡福祉総合支援の会」の理事長、大橋妙子さん(61)と、同会が運営する「空と大地と」の施設長で、就労移行支援事業を担当している杉山浩子さん(55)を訪ねてみました。

 JR東海道線の六合駅から徒歩20分の田園地帯に施設があります。元住宅型有料老人ホームです。2階の作業ルームでは、現在、精神障害1人、身体障害1人、知的障害7人の計9人が、一般企業で働くためのトレーニングをしています。ここでは、知的障害者が比較的多いそうです。

 昨年3月に特別支援学校を卒業し、同年4月から一般企業への就労のためのトレーニングに通う女性(19)は、シールを貼る作業を黙々としていました。立って作業をしたり、座って作業をしたり、人によって違います。

 民間企業でも働いた経験がある杉山さんは、こう説明してくれました。

 「張り方がずれただけで、企業は嫌います。企業が求めているものを職員が考えて、一人一人がミスをしないようにするためにはどうしたらいいのか、常に努力しています」

 そこまで厳密でなくてもいいのではないか、と思うかもしれません。しかし、企業に雇用されて働くようになれば、その職場で求められるレベルやルールに従うことが必要だからです。

 この女性は、就職先も決まり、その企業で求める仕事がこなせるように、職員付き添いで10日間の実習を終えました。実習は1人で働けるようにするためのマニュアル作りも含みます。

 女性は、「仕事は楽しいです。もっと勉強しながら、作業をしていきたいです」と話していました。

就労移行支援事業を担当する杉山浩子さんは、「今、求人が多くなってきましたが、正社員はなかなかないのが実情です」と話していた
就労移行支援事業を担当する杉山浩子さんは、「今、求人が多くなってきましたが、正社員はなかなかないのが実情です」と話していた 出典: 朝日新聞社

「一般企業で働けない」という思い込み

 就労移行支援事業は、一般企業で働く前に、働くための生活リズムを整え、障害者それぞれ違う特性を知り、就職に必要なスキルを身につけていく、いわば就労のサポートです。対象者の年齢は65歳未満で、期限は最長2年間です。

 杉山さんの施設では、就職後も継続的なサポートを行い、職場での悩みの相談を受けています。2006年以降、55人が就職しました。ただ、16人は病気や倒産で職を離れたと言います。

 杉山さんはこう言います。

 「学校の卒業後、一般企業で働くよりも施設で作業する方をイメージしていることがあります。親や教師が働くことへの選択肢を狭めてしまっている面があるのではないでしょうか」

 一般企業で働くには、どのような力が必要なのか、どのような人材が求められているのか、子どもの成長とともに福祉や教育には接してきた親でも、一般企業で働くということについてはわかりにくいと言います。学校も、集団生活の中で個別対応していくことへの限界があるのも事実です。

 大橋理事長もこう指摘します。

 「親にしても、学校にしても、意識改革をしていかないと障害者雇用は進まないと思います。まだまだ、『障害者は働けない』と最初から思ってしまっている人もいます」

 「仕事は楽しい」と話してくれた女性も、当初は、家族も一般企業に就職できると考えていなかったそうです。

「わかりました」のギャップ

 就労移行支援の中で見えてくる課題は何でしょうか。

 杉山さんは、最大の課題としてコミュニケーションを挙げます。知的障害者の中には、「自分の意思を同僚に正しく伝えることができない人が多いからです」と話します。

 例えば、このようなケースです。

 職場で次の指示を受けて、「わかりました」と応じます。しかし、その内容を十分理解しないで何げなく「わかりました」と言っていたり、聞き返すことができなかったりする人もいます。自分のやり方にこだわりがあり、なかなか変えられない人もいます。

 このような個人個人違う特性を理解されないで就職し、現場に放り込まれると、トラブルになりやすいそうです。

 「何回言っても失敗する」「もう障害者は雇いたくない」。雇用する側から、こんな厳しい言葉がつい出てしまい、人間関係が崩れていきます。

 障害者自身も、たった1回のしっせきが「もう行きたくない」となり、離職につながっていくことがあります。

 障害者本人や家族と面談すると、作業スピードについていけないことや人間関係を挙げるケースが多いそうです。

 「知的障害者は自分がどうスピードアップしたらいいか分からない人もいます。そもそも遅いと思っていない人や注意されても気にしない人もいます。スピードアップのためには、現場で一緒に働く側にも工夫を考えて行くことが必要です」

 杉山さんの施設では、一定数ごとにどれぐらいの時間でできたかを自分で記録させていました。

 自閉症で知的障害もある障害者が一般企業へ就職したケースを紹介してくれました。

 「私たちが就労時間の5時間でこなす仕事のタイムスケジュールを、カード式のマニュアルにまとめました。いつもと違う道具だとできないということもあり、専用道具とするように会社の人にも説明して理解を得ました」

 この企業は、その実績を評価して6時間勤務に変えたほか、カード式マニュアルも自社内で作れるようになりました。そして最近、障害者雇用を増やしたいと変わってきたそうです。

1日の仕事の手順をカード式のマニュアルにすることで、仕事がスムーズにできる障害者もいる
1日の仕事の手順をカード式のマニュアルにすることで、仕事がスムーズにできる障害者もいる 出典: 朝日新聞社

「パソコン入力」の意味

 求人を出す企業も、三つに分類できると言います。企業は、障害者雇用に何を求めているのか、違いがあるそうです。

(1)法定雇用率を達成したい企業
(2)戦力として雇用したい企業
(3)障害者をどう雇用したらいいかよく理解していない企業

 例えば、金融機関など企業の中には、仕事の内容として「パソコン入力」を示す求人を出すところもありますが、これだと事実上、身体障害者しか手を挙げにくいと言います。

 また、大橋さんは、「自力で通勤できるかが、企業が雇用する線引きの一つになっています」と指摘します。

NPO法人「静岡福祉総合支援の会」理事長の大橋妙子さんは、「かわいそう」「働けない」といった固定観念を変えていかなければいけないという
NPO法人「静岡福祉総合支援の会」理事長の大橋妙子さんは、「かわいそう」「働けない」といった固定観念を変えていかなければいけないという 出典: 朝日新聞社

町工場の「冗談じゃない」

 大橋さんは、かつて障害者雇用のセミナーで講師を務めた際、こんなことを町工場の経営者から言われたそうです。

 「障害者は辞めてしまうじゃないか」
 「1年間、手取り足取り教えたのに、冗談じゃない」

 詳しく事情を尋ねてみると、知的障害者を雇用し、1年経って慣れてきた頃、出勤時間に遅刻してきたので、「何をやっているんだ。冗談じゃない。帰れ」と怒ったところ、来なくなってしまったそうです。

 大橋さんは、「この子たちにも、人生の選択肢をつくってあげたい」と考えると同時に、「障害者の定着のためには、企業だけでなく、就労移行支援事業者や家族も一緒に頑張ることが必要です」と指摘します。

特定非営利活動法人 静岡福祉総合支援の会「空と大地と」

「自立」とは何か

 杉山さんは、「私たちの仕事では、就労前のトレーニングの段階で課題を見つけて、アセスメントをし、それを企業にすべて伝えることが重要になってきます。こういう仕事はできでも、こういうことは苦手だとか……」と話します。

 その一方で、障害者にも、働くとはどういうことなのかを理解させることが重要になってくると言います。

 働く厳しさや、嫌なことがあったり、自分勝手にはできないことがあったりしても、最低限守らなければいけないこと、いわば一般企業で働くうえでの社会性を身につけることだと言います。

 この取材をしていると、よく「自立」という言葉を聞きます。杉山さんは、こう答えました。

 「私たちの中では、毎日休まずに来ること、あいさつや返事ができること、働いてお金を稼ごうという気持ちを持つこと、の三つだと考えています」

「空と大地と」では、仕事の記録を付けていくことで、作業スピードにも慣れていくようにしていた
「空と大地と」では、仕事の記録を付けていくことで、作業スピードにも慣れていくようにしていた 出典: 朝日新聞社

「企業が勉強しないと始まらない」

 では、民間企業は、障害者雇用の現状とこの先について、どう見ているのでしょうか。

 「国や自治体がこれから雇用率を上げるために採用を増やしていくと、これから納付金の対象になっていく中小企業は比較的障害の重い人を雇うことになり、現場の負担が重くなるのではないでしょうか」

 こう見ているのは、静岡県藤枝市にある日清紡ホールディングス株式会社新規事業開発本部開発室のシニア社員、福田次朗さん(62)です。この藤枝出張所での取り組みは、静岡県知事から「障害者雇用優良事業所」として表彰されています。

 大井川近くにある工場の建屋に入っていくと、かつて紡績機が並んでいたスペースに、「植物工場」がありました。ここだけで従業員57人のうち7人が障害者雇用だと言います。このほか、就労への準備期間として、福祉施設と請負契約や派遣契約をして同社構内で仕事をする障害者が15人います。

 福田さんは、以前、同社で障害者を雇う側の責任者をしていました。

 「8年前に植物工場を立ち上げました。ここは床もフラットで安全な空間です。ただ、当時は障害者雇用のことを十分理解していませんでした」

 福田さんの転機は、身体と知的の障害を抱えながら車いすで仕事をする知人の女性が、ある企業の業績低迷で人員削減の対象になっていることを知ったからです。

 新たな就職先を探すのにも、ハローワークのほか、障害者就業・生活支援センター、障害者職業センターなど様々な窓口・行政機関があるとこと知りました。

 「企業が勉強しないと始まらないな」

 こう感じ、経験を積み重ね、地域の大手企業の集まりで話したり、個別にアドバイスをしたりしていく中で、今年4月に「静岡障害者就労企業交流会」の代表になりました。

 障害者雇用に戸惑う地域の企業の悩みを聞き、ともに解決していこうという試みです。

政府や地方自治体の障害者雇用問題が発覚したとき、ペナルティーとして納付金制度がないことに驚いたという福田次朗さん=静岡県藤枝市
政府や地方自治体の障害者雇用問題が発覚したとき、ペナルティーとして納付金制度がないことに驚いたという福田次朗さん=静岡県藤枝市 出典: 朝日新聞社

共通の「カルテ」あったら

 福田さんに、企業側から見た課題を聞いてみました。

 第一の課題として「現場担当者が疲弊してしまう」ことを挙げました。

 企業の管理部門は、法定雇用率をクリアしようとして採用していきますが、実際には一緒に仕事をするのは現場担当者です。その人も通常の仕事をこなしていかなければならず、雇用した障害者のサポートが現場担当者の負担になってしまう現実があります。

 また、障害といっても多様で、仕事によって向き不向きがあります。現場との十分な話し合いが持たれないまま、障害者を雇用し、現場に配置されるケースもあります。その結果、相互理解が進まず、サポートする現場担当者や障害者の離職につながることもあるそうです。

 福田さんの会社では、障害者雇用の7人のうち5人が精神障害者です。

 現場で作業がきちんと出来ているか不安になり、社用スマホに「今終わりました」「大丈夫でしょうか」と確認のための電話が1時間に1回程度の頻度でかかってくることがあります。現場には、社内外で研修を受けた「支援社員」を置いていますが、その「支援社員」のメンタルヘルスにも注意する必要があると言います。

 福田さんは、「ほとんどの企業は、トラブルが起きたら、(元々通っていた)福祉関係者がすぐ来てくれるのがいい、と考えています」と言います。

 ただ、トラブルを減らすためには、就労支援をしてきた福祉側と、雇用する企業側で、共通した「カルテ」があったらいいと提案します。

 就労するまでの訓練記録などを企業側が知ることで、無用なトラブルを防ぐことができ、離職の防止にもつながっていくと考えています。

 また、就職した企業が同じ「カルテ」に書き続ければ、定着支援に訪れた福祉関係者とも情報共有ができるようになります。

政府や地方自治体の障害者雇用問題を伝える記事
政府や地方自治体の障害者雇用問題を伝える記事 出典: 朝日新聞社

雇用拡大のポイントは

 第二の課題に挙げたのは、「これからは就労可能な障害者が減っていく」という見方です。

 その前提として、法定雇用率のアップを挙げます。

 福田さんによると、身体障害者が、年収250万円程度で働いていた企業から、年収450万円程度の企業に転職したそうです。転職は自由ですが、法定雇用率が下回ると納付金を納めなくてはいけない企業にとってみたら大きな問題です。また、今後、特別支援学校に通う障害者の「青田買い」も進むのではないかと指摘します。

 もちろん、障害者といっても、障害者雇用としてではなく普通に就職している人もいます。職業選択の自由もあります。だから、必ずしも転職が悪いということではありません。

 しかし、法定雇用率ぎりぎりの人数を雇用する企業にとって、1人の退職や転職によって法定雇用率を割り込み、国に納付金を納める対象になってしまうといった懸念があります。

 また、福田さんは、「社内教育より、手間のかからない『自立』した身体障害者にお金を積んで引き抜いた方が早いという企業もでてくるでしょう」と見ています。

 その背景として、企業側に「自立」した障害者を求めていることがあると言います。

 自力での通勤を前提に、食事やトイレも自力でできるといったことをポイントに考えている企業が多いようです。

 「『元気だから、自転車で1時間かけて通勤できます』と言われても、企業側は通勤時間が長くなるほど通勤途中のリスクが上がると考えます」

 「地方は東京と違い、大手企業の事業所が少なく、公共交通機関が不便でバス路線を3回も乗り換えないと通えないということはよくあります」

 「一般的には、地方なら車通勤でも、30分を超えない範囲が目安でしょう」

 健常者と同じように、企業立地や公共交通機関といった問題が、ここでも顔を出しています。

サテライトオフィスでテレワーク

 そんな中で、福田さんがこれからの障害者雇用のかたちとして提案するのが、サテライトオフィスやテレワークの活用です。

 「通勤問題を解決でき、過疎地に暮らすがために力を発揮できていない障害者を雇うことも可能になっていきます」

 テレワークは、企業側にとってみれば「在宅勤務に不安がある」「倒れていたらどうしよう」「秘密保持ができるのか」といった課題があり、二の足を踏んでしまう現状があるようです。

 そこで、障害者雇用専用の共用サテライトオフィスを、バスや鉄道の路線が集まる駅前や、過疎地の市町村役場のような公共施設内に設ける案です。

 障害者は企業のサテライトオフィスに通い、仕事をするスタイルです。障害者雇用についてカウンセリングができる人が、共用サテライトオフィスの現場運営者になることで、上記のような企業が懸念する部分を少しでもふっしょくできるのではないかと言います。

 「大企業なら『支援社員』を置けますが、中小企業は置けません。サテライトオフィスを共同で利用することで、代わりに見守ってあげられる人を共同で置くことができるようになると思います」

「空と大地と」が、計算が苦手な障害者が企業に就職する際、一目で分かるように作った検品表
「空と大地と」が、計算が苦手な障害者が企業に就職する際、一目で分かるように作った検品表 出典: 朝日新聞社

取材を終えて

 今回、取材で訪れ、記事にしたのは、一般企業への就労における「壁」です。ただ、ここに書いたのも一側面です。障害の種類や重さによっても、向き不向きがあり、一様には語れません。

 大橋さんや杉山さんが指摘していましたが、障害を持つ子どもの親が子育ての中で、何となく、「うちの子は、作業所でいい」「働くことは無理」と思い込んでしまうケースがあることを聞くと、考え込んでしまいます。

 私が取材に訪れた日、就労移行支援事業で行っていた作業の単価は、袋へのシール貼りが1枚1円、製品の袋詰めが1袋2円です。この事業に通ってトレーニングできる期間は、最長2年です。一般企業への就職が難しく、障害者就労継続事業所で働く人も少なくないそうです。そうした場合、一般企業に比べると、給与や工賃は低いのが実情です。

 民間企業における法定雇用率は2018年4月から、2.2%になりました。これも「当分の間」の処置で、3年以内に2.3%に引き上げられる見通しです。

 また、7月30日には、厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度のあり方に関する研究会」が報告書をとりまとめました。

 その中で、障害者雇用が法定雇用率を下回った場合に毎月納付金を国に収める対象を、従業員100人を超える企業から、50人を超える企業に「適応範囲を拡大していくことが自然である」と盛り込まれています。もちろん、障害者雇用調整金の支給対象範囲の拡大と合わせてです。

 今回の取材では、福田さんも、杉山さんも、大橋さんも、企業側が従来の延長線上ではなく、発想を変えて新たな仕事や仕事の仕方を見いだしていく努力が必要という認識で一致していました。

 障害者雇用や障害者雇用率が注目されていますが、この取材の過程でも、会社に障害者手帳を持っていることを伝えず、一般社員としてバリバリ働いている人もいる話を聞きました。障害といっても多様です。その人が職場でカミングアウトしないのは、仕事ができるのになんで障害者雇用となると、限定された仕事しかさせてもらえなかったり、低い賃金に抑えられたりしてしまうの、といった疑問があるからです。

 私たちが障害者の雇用を話題にしたり、ニュースを見たりする際、そこで前提としている障害者ってどういう人なの、ということを考えることが必要だと思います。

障害者雇用に関わるみなさんの意見、経験をお寄せください

 皆さんは、障害者雇用の促進について、どう考えますか。当事者や企業、福祉、教育、行政など、立場によって見方や考え方が違うかもしれません。皆さんの経験談や提案、意見を投稿してください。

 投稿はメール、FAX、手紙で500字以内。匿名は不可とします。住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号を明記してください。

     ◇

〒104・8661
東京・晴海郵便局私書箱300号
「声・障害者雇用」係
メール koe@asahi.com
FAX 0570・013579/03・3248・0355

◇ ◇ ◇

一般に、なじみが薄くなりがちな障害者の存在。でも、ふとしたきっかけで、誰もが当事者になるかもしれません。全ての人が、偏見や無理解にさらされず、安心して暮らせる社会をつくるには?みなさんと考えたくて、withnewsでは連載「#まぜこぜ世界へのカケハシ」を企画しました。国連が定めた12月3日の「国際障害者デー」を皮切りに、障害を巡る、様々な人々の思いを伝えていきます。

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