お金と仕事
巨大プラットフォーム、不満多いけど切れない……2千社のリアルな声
「一方的に利用料を値上げされたり、有料サービス・機能の利用を強制される」「検索アルゴリズムの突然の変更で、売り上げが大きく低下」
これらはプラットフォーム(PF)を利用してビジネスを行う企業の意見です。多くの企業がGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などのPFを使うことで新たな顧客の獲得につなげている一方で、9割超がPFの運営や契約・取引慣行を「改善してほしい」と感じていることが経済産業省の調査で明らかになりました。ただ、いま使っているPFからの切り替えを「困難」と考える企業は全体の65%に上り、PFなしではビジネスが成り立たない実情も垣間見えます。企業のリアルな声を探りました。
調査は、10月にオンラインのPFと取引のある企業2千社にネット上で実施。PFを使う利点や取引における問題点の認識を尋ねました。
PFは、利用者が増えれば増えるほど、その「場」の価値が高まり、さらに利用者が増えて寡占化が強まります。企業は巨大なPFを使うことで、多くの利用者にアクセスすることができ、新たな顧客の獲得が容易になりました。
調査結果では、86%がその点を利点と考えていました。売上金の回収を任せられることや、人件費などの固定費を削減できることなども、企業が利点と感じていることがわかりました。
PFとの取引企業は、PFにそのビジネスを強く依存しています。売上高の75%以上がPF経由だいう企業は全体の4割を超え、PF運営者の動向が、取引企業の業績を左右するまでになっています。
一方で、調査では問題点も明らかになりました。企業の9割超が、PFの運営や契約・取引慣行を「改善してほしい」と回答。具体的には、「利用規約や運用方法の重要な点についての個別交渉や修正が事実上不可能」と答えた企業が9割近くに上ったほか、「利用料や手数料の設定方法が透明性を欠く」「利用規約などの重要な点を一方的に変更され不利益・負担を被った」はいずれも8割を超え、多くの企業がPF運営者にさまざまな不満を感じていることがわかりました。
しかし、もはやPFと利用する企業にとって、PFはそれなしではビジネスが成り立たないのが実情です。調査結果では、いま使っているPFからの切り替えを「困難」と考える企業は、全体の65%に上りました。
PFとの取引環境を整備するために、政府はGAFAに代表されるPF運営者をへの規制を強化する方針です。企業との取引条件などの開示を義務づけることや、データを独占して市場をゆがめていないか、専門家を集めた監視組織の設置などを考えており、年明けから具体的な規制方法の検討に入ります。
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