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2018年10月06日

0.01ミリ、東京五輪でもアピール コンドーム、五輪とともに進化


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コンドームにおける五輪の意義とは

コンドームにおける五輪の意義とは

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 東京オリンピックの開幕まで、2年を切りました。五輪のたびに話題の一つになるのが、選手村で配布される「コンドーム」です。2016年のリオデジャネイロ五輪では45万個が配布されたといいます。コンドームのゴムの薄さはこの10年ほどで劇的な進化を遂げ、今や0.01ミリ台の極薄時代。コンドーム大国でもある日本のメーカーは東京五輪、そしてその後の未来にどんなビジョンを描いているのでしょうか。メーカーの熱意に心を打たれ、学生時代にコンドーム産業の経営史を研究していた記者が、担当者を訪ねました。(朝日新聞記者・森泉萌香)


薄さ0.01ミリ台の「サガミオリジナル001」(上)と0.02ミリ台の「サガミオリジナル002」

薄さ0.01ミリ台の「サガミオリジナル001」(上)と0.02ミリ台の「サガミオリジナル002」

東京五輪目指し生まれた0.01ミリ

 相模ゴム工業(本社・神奈川県厚木市)の定番商品といえば「サガミオリジナル」。最も薄い商品は、薄さ0.01ミリ台のポリウレタン製で、2013年から国内のドラッグストア、自動販売機、ウェブ上で限定販売されています。

 今や売り切れ続出の大ヒット商品。「サガミオリジナル001は会社の技術力を結集した商品。東京五輪を通じて海外にもさらにアピールしたい」と山下博司営業企画室長(51)は意気込みます。

 当時のスタンダードだった素材、天然ゴムラテックスの3倍の強度を持つポリウレタンに注目し、研究開発を始めたのは1964年。前回の東京五輪があった年でした。しかし、1970年代の第2次ベビーブームの到来、1990年前後にはエイズの脅威が深刻化すると、その対策で手いっぱいに。新素材の議論は後手に回り、置き去りになっていました。

 風向きが変わったのは1990年代に入ってから。バブル崩壊、少子高齢化、男性の草食化、セックスレスという時代の逆風の中でいったんコンドームの売り上げが落ち着くと、本格的な研究開発がスタートしました。

コンドームの薄膜化技術について語る、相模ゴム工業の山下博司さん

コンドームの薄膜化技術について語る、相模ゴム工業の山下博司さん

長野五輪で本格的に配布

 そして1998年2月、0.03ミリ台の薄さの初代ポリウレタン製コンドーム「サガミオリジナル」が発売されます。長野五輪の開催中のことでした。

 「強く丈夫で強度があり、無味無臭。熱伝導性も良い」という売り文句で大ヒット。その後工場未出荷品の一部に不適合品が発見され、自主回収するなどのトラブルもありましたが、異なるサイズや装着しやすいタイプなど、ラインアップを充実させることでブランドを確立させていきました。
 
 長野五輪で相模ゴムは、オカモト(本社・東京都文京区)とともに、大会関係者から「選手村にコンドームを置いてもらいたい」という相談を受けました。相模ゴムにはそれ以前のバルセロナ、リレハンメルの各五輪で配布した実績もあるようですが、「選手村でコンドームを配る」という発想が当時はあまりなく、急きょ準備に入りました。

 結局、オカモトが3~5万個、相模ゴムが2万個を選手村に配布しました。天然ゴムラテックス製が主流だった当時、相模ゴムは完成直後で販売前のサガミオリジナルを選手村に提供しました。

相模ゴム工業が長野五輪の選手村で配布したコンドーム

相模ゴム工業が長野五輪の選手村で配布したコンドーム

東京五輪で最先端の商品を

 その後も薄膜化技術が進み、2005年には薄さ0.02ミリ台を実現した「サガミオリジナル002」が誕生。2013年には、「天然ゴムの3倍の強度があるポリウレタンであれば、0.01ミリ台をクリアできる」という開発当初の仮説を実現した「サガミオリジナル001」が完成し、五輪開催の決定2カ月後には販売開始となりました。こうして2010年前後から、薄さを売りにしたコンドームがトレンドになっていきました。

 50年来の夢が現実となり、東京五輪に向けた新たな目標は「000?」と聞くと、「なかなか難しいですが、薄さはとことん追求したい」と山下さん。売り切れが続出し、数量限定販売している「001」の品不足を解消することも課題だといいます。山下さんは「五輪は日本のコンドームの技術力を世界に示す機会。配布することになれば、そのときの最先端の商品を提供し、安全安心の性生活をPRする機会にしたいです」と語ります。

 一方で、五輪出場選手らの感染症予防策をとりまとめる、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、コンドームの配布の有無を含めて具体的なことは未定といいます。ですが、その期待がメーカーのモチベーションにつながっていることは確かなようです。

リオ五輪の選手村。45万個のコンドームが配布されたという=西畑志朗撮影

リオ五輪の選手村。45万個のコンドームが配布されたという=西畑志朗撮影

薄さだけじゃない、商品の幅も大切

 不二ラテックス(本社・東京都千代田区)の門脇立彦マーケティング課長(48)も、「オリンピックを意識してコンドーム開発をしてきたのは確か。2020年の東京五輪では、その時の最先端の商品を配布したい」と意気込みます。

 不二ラテックスの人気商品「SKYN」は相模ゴム、オカモトの2社とは異なり、イソプレンラバーという合成ゴムを素材にした製品。アレルギーフリーで、「薄すぎるコンドームは怖い」という女性を中心にうけています。「SKYN」は世界中で親しまれているブランドで、日本では不二ラテックスが製造販売し、パッケージをシックなデザインにして手に取りやすい工夫をしています。

広がりをみせる「SKYN」の商品

広がりをみせる「SKYN」の商品

 同社が合成ゴム製コンドームを推し進める理由はもう一つ。世界的な天候の変化やタイヤなどのゴム製品の製造が増えたことなどにより、天然ゴムの入手が難しくなってきていることにあります。コンドームに使うゴムは品質がモノを言う世界。素材転換の方向性は、時代の変化とともに必要になってきているのです。

 時代のトレンドで、極薄のコンドームの売れ行きは好調です。特に日本を含むアジア圏ではその傾向が強いと言われています。一方で、厚みがあるコンドームのニーズも一定あるのも確か。門脇さんは「これからは幅を広げ、商品の種類を増やしていく方向性が大切になってくるでしょう」と語ります。東京五輪を目標に、顧客の層に合わせた商品の開発や、新素材の議論なども進めているといいます。

人気商品「SKYN」のラインアップを説明する、不二ラテックスの門脇立彦さん

人気商品「SKYN」のラインアップを説明する、不二ラテックスの門脇立彦さん

長野五輪で配布されたコンドーム ファッション、アート、自販機にも
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