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カメレオンが教えてくれたこと 「自分を偽りすぎると…」作者に聞く
興味のない映画を見に行く約束をしてしまった女性。それを見ていたペットのカメレオンが、人間の言葉を話せるとしたら――。
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興味のない映画を見に行く約束をしてしまった女性。それを見ていたペットのカメレオンが、人間の言葉を話せるとしたら――。
興味のない映画を見に行く約束をしてしまった女性。それを見ていたペットのカメレオンが、人間の言葉を話せるとしたら――。そんなストーリーの漫画が、ネット上で注目を集めています。「人間が擬態するなら、背景ではなく関係性の中かもしれない」と考えて描いたという作者に話を聞きました。
今月8日、「カメレオンが、私に言ってくれたこと。」というタイトルでツイッター投稿された漫画。
女性が自宅で、友人と電話で話している場面から始まります。
カメレオンが、私に言ってくれたこと。 pic.twitter.com/AoUpdzfRB9
— やじま商会 (@yajima_syoukai) 2018年9月8日
この漫画に対して、「めっちゃ共感できました」「自分の色、忘れないようにしないと」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万5千、いいねは5万を超えています。
作者は漫画家のやじま商会(@yajima_syoukai)さん。企業の営業職やヴィレッジヴァンガードのスタッフを経てCG学校に通い、イラストレーターや週一書店員として働きながら、漫画を描いています。
今回の「くまちゃんのどうぶつ通訳」シリーズや、心配性のイヌを描いた「しんぱいいぬ」などを定期的に公開しています。
どういった経緯でカメレオンの話を描いたのか? 詳しく話を聞きました。
――この漫画を描こうと思ったきっかけは
まず最初に「カメレオン」という生き物をもとに考え始めました。私が知っていたのは「擬態をして背景に溶け込む」ということだったので、人間がもし擬態をしたら「溶け込むのは背景ではなくて関係性の中にかもしれない」と考えました。
――「くまちゃんのどうぶつ通訳」シリーズはどういった経緯で始まったのでしょうか
くまちゃんのマンガは1年ほど前から今年の5月くらいまで、4コマ漫画としてTwitterに投稿していました。ですが、あまり人気がでなかったので、きちんとキャラをたてる必要があるのではと感じ、彼の異質な部分である「人間と動物の言葉を両方話せる」という部分をマンガにしようと始めました。
――このカメレオンのエピソードは、やじま商会さんの実体験が反映されているのでしょうか
私もこの子のように、やすやすと返事をした後に「やっぱりその日は翌日仕事だしやめようかな……」と思って後悔することがありましたが、この子ほど悩まないので、完全な実体験というわけではないです。
――今回の漫画を通じて伝えたかった思いは
本来は、「大したことじゃないことに対してまで自分をごまかす必要はない」といった意図だったのですが、伝えたい意図とエピソードの構成が適切ではなかったせいか、多くの人に見てもらったことで、予期していなかった反応やコメントがあり、描き切れていない部分に気づかされました。
まだマンガを描き始めて日が浅いので、どうしたら感情が描けるのかと考えています。記号的な表現になってしまったり、表情が乏しくなってしまったり、そういったところを改善していきたいです。
――多くの反響が寄せられたことについては
これは本当に予期しなかったのですが、ぼくはとてもライトな関係の友達が何の気なしに誘ってくれた映画に何の気なしに同調する女の子、という設定を考えていたのですが、「断られた子がかわいそう」という意見が多いことに驚きました。これは僕が意図した方向に物語をつくれていない証拠だと思い、今後の制作に大変参考になりました。
いつも僕が描いたくまちゃんやしんぱいいぬを読んでくれる方が、「癒されました」「明日もがんばれる」といったコメントをくださるのですが、そういった言葉の一つ一つが次をもっと面白く、かわいくしよう、という力になっています。
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