「#学校がしんどい君へ」描いたマンガ、結果発表 ウニュ×コルクBooks
居場所のない学校 でも誰にも言えなかった
コジマさんは漫画で、クラスになんとなく居場所がないと感じている女子高生を描きました。

ピアスをして髪を染めた女の子たちのうわさ話。声をかけることもできず、いつも居心地の悪い思いをしていました。
静かな図書室をふらりと訪れると、ある本の一節が目にとまります。
「ここに来るしかない自分のことを思うと 自分を殺してしまいたくなるのです」(川上未映子『先端で、さすわさされるわそらええわ』青土社)
本の言葉がするする入ってきて、思わず涙する女の子。結局、クラスにはなじめずに大学へ進みました。
創作の授業で「子どもの頃の感情体験を書き出してみよう」というグループワークをやります。
「図書室 ひとりなのに安心」とふせんに書いて貼り出すと、同じ内容を書いた子がぽつりと「セーブポイントみたいだったんだよね」と話しかけます。
初めて共感してもらったと感じた女の子は、顔を上げて家路を歩きます。「はじめて 世界が怖くない気がしたんだ」
この作品には、コジマさんの体験が織り交ぜられています。高校時代は、派手な女の子ばかりのクラスに居場所がないと感じていました。
「いじめられたとか無視されたというわけじゃないんですけど、とにかく輪に入っていけない。使っている言語が違うとさえ思いました」
ただ、かわいそうな人とも思われたくない。用もないのに携帯をいじっていたと言います。
静かな空間が好きで、その頃もよく図書室へ行きました。「図書室は、何かをしているフリをしなくていい。誰も話しかけてこない場所でしたし」

自分の本音 誰かが受け止めてくれる安心感
授業の間の10分の休み時間をしのぐことだけを考えていたというコジマさん。そんな日々を打開したいと、1年の冬に美術部に入ってからは少し居場所ができたように感じたといいます。
「ただ、本音を言える友達はいなくて。今振り返ると、それがしんどかった原因かもしれません」
美術を学びたくて、高校卒業を機に出身地の北海道を出て関東へ。入学直後の講義で、グループに分かれて「アイデア出し」をすることになりました。「こんなアイデアでいいのかな…」と緊張しながら出すと、自分の案が採用されました。
「受け入れられたんだ、認められたんだとほっとしました。そういう経験が初めてだったんです」
本音を伝えても誰かが受け止めてくれるという安心感ができて、大学生活は楽しく過ごすことができました。

コジマさんは事務員の仕事のかたわら、3年前からブログでエッセイ漫画を発表しています。
6月ごろからコルクBooksに投稿を始め、事務局から提案される「お題」にあわせて漫画を描いていました。
ただ、今回の「#学校がしんどい君へ」については、「人の命が関わる重いテーマ。描いていいのかな」と悩んだそうです。

あの頃の自分へ「自分の違和感、信じていいよ」
だからこそ「自分に寄り添おう」と考えました。「学校がしんどい」と恥ずかしくて言えなかった、「自意識の地獄」の中で過ごしていた、あの頃の自分に。
コジマさんは言います。
「あの頃に今戻ったとしても、きっとまたしのぐしかないんですよね。
でも、自分へ何か言ってあげられるとしたら『大人から言われるお説教のうち、違和感があるものは聞かなくていいよ』ってことかな。
『ろくな大人にならない』とか『○○をやらないと、大人になってから大変だよ』とか。
そんなお説教をたくさん聴きすぎて、がんじがらめになってしまったけれど、今となってはあのとき感じた違和感の方が正しかった。だから、自分の感受性を信じてほしいです」
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withnewsは7月、マンガのSNSを運営するコルクBooksとコラボし、「#学校がしんどい君へ」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ37作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのでしょうか。みなさんの10代も振り返ってもらいました。

withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。
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