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2018年08月20日

クラスをなくせば、いじめもなくなる?「学校ってデスゲーム」の真意

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春名風花さん(左)と篠塚将行さん

春名風花さん(左)と篠塚将行さん

 「いじめをなくす」なんて、できるのでしょうか。いじめ問題で発信を続ける女優の春名風花さんと、ロックバンド「それでも世界が続くなら」のボーカルで、自身がいじめられた経験も歌う篠塚将行さんが、解決策を話し合います。「一番やってほしいのはクラスをなくすこと」。そんな提案をする春名さんに篠塚さんは……。(朝日新聞デジタル編集部記者・原田朱美)

はるかぜちゃん×それでも世界が続くなら

【対談前編はこちら】「ファンが自殺した」それでも寄り添いたい 女優とバンドマンの決意

<「はるかぜちゃん」こと春名風花さんは、ツイッターで積極的にいじめについて発信をしています。最近は、いじめをなくす方法について、提言もしています>

 
いじめているきみへ
【関連リンク】はるかぜちゃんが絵本に込めた思い&おすすめの本

――春名さんは、「いじめを本当になんとかしたかったら、被害者にあれこれ言うんじゃなくて、加害者をなんとかするしかない」というご意見です。

篠塚 「僕それすごく興味あります。学校のいじめとか、例えばどうすればいいんでしょう?」

春名 「いくつかあります。一番やってほしいのはクラスをなくすことです」

篠塚 「えええ。すごいなあ」

加害者だって学校の被害者

春名 「ある本で、いじめられて不登校になった子が再び学校に行くんですが、その理由が、戦うためとか負けたくないからじゃなくて、『みんなが学校の被害者だから』でした。加害者も被害者もみんな学校の被害者だとあって、ああそうだなって思ったんです」

 「大人でも恋人でも家族でも、ずっとひとつの場所に長時間入れられていたらストレスがたまってケンカします。学校って、デスゲームみたい。ひとつの教室に30人くらい集められて殺し合うっていう。1年間ずっとそこで暮らして、各イベントごとに競わされて。合わない人間と無理やり暮らさせておいて、子どもが死んてしまうって、おかしい。制度としてダメなところがあるのに、こんなに死人が出てるのに、全く改善しようとしない」

篠塚 「なるほど、たしかに。子どもが死んでも、頭を下げて『すみませんでした』って謝る作業をして、全然変わらないもんね。僕もいじめられていた時、他の教室に移動できるなら、移動したかったですもん」

――自殺者が出たあと、よく学校がやるのは「命の授業」ですね。命を大切にしましょう、という。

春名 「制度が一番命を大切にしてくれてないです。人とか先生じゃなくて、制度が」

篠塚 「そうだね。先生もルールだからそうするしかないっていうところはありますからね」

春名 「先生だっていじめられますから。いまぼくは単位制に通っているんですが、自分が選択した授業に行ったら、毎日違う人間がいます。仲が良い友だちを作りたかったら、部活とか、自分が好きだと思うことをするために、好きな人間たちの中に行けばいい」

篠塚 「たしかに。社会に出たらそうだもんね」

春名 「加害者だって学校の被害者ですから。被害者は、クラス替えという『学校ガチャ』が外れた人間。そのコミュニティにたまたまなじめなかっただけ。その時に被害者に原因があると言ったり、被害者が転校したりするのはおかしい。学校ガチャをひき直すのにはお金も時間もかかるし」

終わる演技、終わらない演技

春名 「いじめをなくす方法としては、演劇も推しています。クラスがなくせない現状で、人間関係を固定しないためには、みんながいじめる側にもいじめられる側にも傍観者にもなる状況っていうのを作るのがいいと思うんです」

篠塚 「面白いね。演技としてやるということか」

春名 「はい。大事なのは他の人の立場になるということです。ディスカッションでお米派とパン派に分かれる感じです」

篠塚 「『考えてみましょうみなさん』より、実際に体験させる方がすごく意味があると思う。最近はYouTubeだったり本を読む人が減ってきていたり、想像しなくても与えてもらえるコンテンツがすごい増えたと思うんですよ。想像力を与えてもらえるコンテンツが減った」

 「いじめは興味がある人だけわかってもらってもしょうがない。いじめを想像してみてくださいと言われても『いやちょっと考えたこともないので』っていう人にこそ体感させるというのはすごく意味がある。例えば水泳の授業に興味なかったとしても、やったことは覚えているじゃないですか。すごくいいと思う」

春名 「やったあ!」

篠塚 「でもそれは演劇で、虚構の世界だから、演劇をやめればその関係はなくなる。実は現実にもけっこう演劇性ってないですか。普段の生活でも演技してるところがあると思うんですよ。『俺、陰キャだから』とか『わたし人見知りなんで』みたいなの。いじめも、結果的にそれぞれの役をやっちゃってることもあると思う」

 「演技することで、戻れるのがいいですね。演技をして戻った時って『さっきはごめんね』ってなりますよね。でも現実で演技をしているものは、戻れない。感覚が麻痺して、本当にこれが自分なんじゃないかと思ってくる。そうするとやっぱり、そういう人になってっちゃうんですよね」

君だって、自信がないんだろ?

篠塚 「いじめている方って、自覚がない人もいる。ただ楽しいというか、ふざけている。本気でふざけているだけ。その果てに死んでしまってびっくり、みたいな。加害者が、悪意をもっていじめてくれているのなら、意外と改善は容易だと思うんです。これは人を殺す行為で、されたら嫌なことでと理解しているなら容易」

 「でも、悪だと自覚してないケースもある。そうなると、人間の心のつくりだとかそういうところにも関わってくる話。加害者側をなんとかするということは、人間の本質に触れていく話だと思うから、すごく大変だし、春名さんがつらいだろうなと思ってしまいます」

春名 「大丈夫です。ぼく、やりたくてやっていますから。目の前にカップラーメンがあるから食べちゃったみたいな」

篠塚 「すごいな! それが普通なんだ。有名な方とか、ツイッターで書こうと思ったけど炎上するからやめとこうというのはあると思う」

篠塚 「僕がいじめられていた時、音楽が好きだったからMステをよく見てましたけど、当時、好きなバンドが『いじめ、かっこ悪いからな』って一言言ってくれたら変わるんじゃないかなって思ってました。でも『こいつら言わねーんだろうな』とも思っていました」

 「毎日いじめられるから、毎日学校に行きたくないから、毎日『言ってくれないかな』って思っていました。あとは、いじめっ子が電車に引かれて死なないかなとか。殺意なのかもわからないけど。授業中とか、いじめっ子が電車にひかれて死ぬイメージを毎日してましたね」

春名 「かっこ悪いよ、いじめ」(キリッ)

篠塚 「そうそう(笑) バンドをやっていて、誰かの力になれるとは思っていないですけど、誰かをバカにして笑うこととか、誰かを不当に扱うことは『だっせーな』と思ってもらえるようなバンドになりたいという感覚はあります」

春名 「すごいわかります。加害者に向けて言いたいことのひとつは、『君も自信がないんだろ?』です(笑)」

篠塚 「あははは!」

春名 「自信があったら他の人を自分より下の立ち位置につける必要がないもんなって」

篠塚 「そうそう。そうなんですよね。馬鹿にするとか、殴ってみるとか、わかりやすい形で自分が相手より上だという感覚がないとやってらんないくらい自信がないわけじゃない。余裕があったらしないよね。もしくはめっちゃ楽しいか」

春名 「傷つけたら、いじめられた子の心にいじめっ子の存在は濃く残るわけで。それプラス、一緒にいじめをしている仲間からも『お前、いいいじめ方法を思いついたな』って認められる。承認欲求を満たすためにいじめをするケースもあるのかなと」

篠塚 「あると思うな」

春名 「その場合は、その承認欲求の満たし方は格好悪いよって言いたくて。自分が得意なことをほめてもらったり、人に『君スゴイね』って言われたりした方がうれしくない? そっちの方がいい承認欲求の満たし方だと思うから、君が似合うコミュニティに行け、と言いたいです」

     ◇

 篠塚さんと春名さんの対話は途切れることなく続き、気がつけば2時間。
 「まだまだ話したりないなあ」と、名残惜しそうにしながら、ふたりは会場を後にしました。

心を温められたらいいのに…… 涙を誘う猫マンガが描くいじめ
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