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「ナース酒場」で100人が汗、息切れ 命守る4分が生んだ一体感とは

看護師と一緒に心臓マッサージをする参加者たち
看護師と一緒に心臓マッサージをする参加者たち

目次

 「ナース酒場」が再び渋谷に戻ってきました。しかし、今回は途中まで飲酒禁止。その理由を知ろうと、会場に足を踏み入れると、お客さんたちは息を切らし、汗をかきながら、ペットボトル相手に心臓マッサージをしていました。4分間やりきると、お客さんは互いを拍手でたたえ合い、一体感さえ生まれていました。そんな不思議な光景を取材してきました。



心臓マッサージ、100人で体験

 ナース酒場は、JR渋谷駅近くにあるイベントレストラン「東京カルチャーカルチャー」で開催されるイベント名です。

 看護師の有志団体「看護師ーず」が、普段の生活のなかから健康について考えられる機会を作りたいと企画しています。昨冬に開催された初回イベントも健康トークが繰り広げられ「思ってたのと違う」との意見が相次ぎました。

 そして今回のテーマは、心臓マッサージ。周囲の人が倒れたときに誰もが心肺蘇生に取りかかれる方法を伝えようと企画しました。

 講師は、消防と救急現場を10年間務めた小澤貴裕さん(44)。一般社団法人「ファストエイド」でこうした普及活動を続けています。この日は看護師を含め100人で心臓マッサージを練習しました。

 各地の消防署に行けば正しい救命講習を学べます。「でも、とっさの時に講習で習ったマッサージをするのは難しいですよね」と小澤さん。そんな小澤さんが編み出したのがペットボトルを使った心臓マッサージの練習でした。これなら日々の生活のなかでも練習できます。

横浜市消防局などが作成した動画「救命処置の流れ」

ペットボトル、驚くほど人に似ていた

 きっかけは、ファストエイドの同僚で、アプリ開発者玄正慎さん(37)から「ペットボトルが練習に使えるんじゃない?」と言われたことです。

 そんな馬鹿なと思いながら小澤さんが試してみると「びっくりするほど、普段の心臓マッサージする感触に似ていた」。何十種類ものペットボトルを試し、センサーで測ったところ、サントリーの「南アルプスの天然水」の2リットルのボトルの押したときや戻ってくる感触が、最もマッサージ用人体模型に近かったそうです。

 消防庁によると、2016年に救急搬送された心肺停止の人数は約12万人で、救急車の到着時間は全国平均で8.5分。心臓マッサージをすると脳など重要な臓器に血液を送り続けることができるため、命が助かる確率が1.2~1.8倍に上がります。そのため、少なくとも8分は心臓マッサージを続ける必要があります。

【関連リンク】総務省消防庁がまとめた「救急救助の現況」

酒場なのに水で乾杯

水で乾杯する参加者たち
水で乾杯する参加者たち

 今回のナース酒場では、お客さんと看護師がミネラルウオーターで乾杯し、飲み終えたペットボトルを使った救命講習が始まりました。

 この日は手に入りやすい500ミリリットルの「南アルプスの天然水」を使いました。フタを強く締めて机の中央に置きます。4人1組で4分間のマッサージをすることになると、息切れし「今日、何しに来たんだっけ?」と苦笑する人もいました。

 効果的な心臓マッサージをするには、ひじを伸ばして直径65ミリのペットボトルを20ミリまでつぶす必要があるため、お客さんの額には汗がにじみ始めました。

 1分間に110回のリズムで押す必要があるため、周りの人から自然とリズムに合わせて手拍子が始まりました。疲れてくると心臓マッサージの効果が薄れるため、次々と交代していきます。終わったあとには、お客さんは自然と笑顔になり、拍手が起こっていました。

 イベントに来ていた看護師清水康雄さん(35)は「救命処置をするときは、一人では難しい。できるだけ周りの人の助けを呼ぶことが大事です」と話します。自身も帰宅途中に目の前でバイクと自動車の事故に遭遇。衝突した音を聞いて駆けつけてきた人から助けが得られたため、スムーズに病院に連れて行くことができたそうです。

看護師と一緒に心臓マッサージの練習をする参加者
看護師と一緒に心臓マッサージの練習をする参加者

救命もIT活用

 ファストエイドでは、ペットボトルを使った簡単な訓練方法についての動画を公式サイトに掲載する予定です。

 小澤さんと玄生さんは、コエイドという会社で、119番通報と同時に周囲1キロの医療関係者やAED設置者にも支援を要請できる共有アプリを開発したりもしています。

【関連リンク】「FastAid」の公式サイト

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