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清水寺「専属フォトグラファー」直伝、寺インスタの極意 逆光も味方

清水寺の紅葉のライトアップ=2017年11月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん撮影
清水寺の紅葉のライトアップ=2017年11月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん撮影

目次

 京都の寺は、インスタグラムの「聖地」です。検索すると、たくさんの「インスタ映え写真」が出てきます。一方で、古都の寺はデカい。広すぎて、インスタスポットを見つけるのも大変そうです。お寺巡りの時、どんなポイントに気を配ればいいのでしょうか。京都・清水寺の「専属フォトグラファー」に“寺インスタの撮影術”を聞きました。(朝日新聞大阪社会部記者・岡田匠)

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2018.3.28

音羽山 清水寺|Kiyomizu-deraさん(@feel_kiyomizudera)がシェアした投稿 -

清水寺の「専属フォトグラファー」

 教えてもらったのは、京都や名古屋を拠点に活躍するプロの写真家・須藤和也さん(37)です。

 京都の専門学校で学んだ後、2012年から「観光ではあまり知られていない京都の寺」の写真や映像をネットにアップしています。

 こうした縁で、清水寺が14年から始めたインスタグラムの写真をすべて撮っています。

清水寺の写真を撮る須藤和也さん=本人提供
清水寺の写真を撮る須藤和也さん=本人提供

まずは立地を徹底調査

 「まずは寺の立地を調べておくことが大切です」

 須藤さんは言います。まわりに斜面はないか、ビルのような高い建物はないか。写真では、太陽の向き、日の当たり方が重要になるからです。

 高い建物が入ってしまう場合は、アングルを下げたり左右にずらしたりして、建物を入れないように工夫します。それでも入ってしまうときは「撮らない」ことです。別のポイントを探したほうがいいそうです。

 お目当てのお堂や塔が逆光になってしまう時は「逆光のまま撮ったほうがきれい」と言います。その時間帯で撮ろうとしても逆光は変わりません。お堂や建物は影のように暗いまま、周りの空や風景に明るさをあてれば、自然の美しさを表現できます。

 堂内は本尊など信仰の対象がまつられているため撮影できないことが多いようです。撮影できたとしても、祈りの空間で、ほかの参拝者の迷惑にもなるので避けたほうがよさそうです。

清水寺の修正会=2018年1月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん提供
清水寺の修正会=2018年1月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん提供

夕日という最強の舞台

 清水寺があるのは京都の東、「東山」と呼ばれる山々の中腹です。西を向けば、京都の市街地が見わたせます。

 「夕日がすごくきれいなんです。夕日に映える京都の街並みは、なんとも言えない風情があります」

 夕日――。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」でも話題になりましたが、古くから日本人の心を癒やしてきました。平安時代から盛んになった「日想観(にっそうかん)」という修行法があります。夕日を拝み、西のかなたにある阿弥陀さまの極楽浄土への往生を願います。

 「清水寺から見る夕日」をインスタにアップしたら、夕日に手を合わせ、その日一日を振り返ってみてもよさそうです。

清水寺から見た夕日。京都の街並みも一望できる=京都市東山区、写真家・須藤和也さん撮影
清水寺から見た夕日。京都の街並みも一望できる=京都市東山区、写真家・須藤和也さん撮影

「見落としてしまうところ」に注目

 次に須藤さんがアドバイスしてくれたのは、「見落としてしまうところ」です。

 清水寺にかぎらず、大寺院には定番の撮影スポットがあります。外国人観光客が増え、当然、ごった返しています。

 そんな「定番スポット」ではなく、スーッと通りすぎてしまうような場所に目を向けてみましょう。

 たとえば、清水寺の境内には「千体石仏群」があります。京都の各町内でまつられてきたお地蔵さまです。

清水寺の雪の千体地蔵=2018年1月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん撮影
清水寺の雪の千体地蔵=2018年1月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん撮影

 明治初め、仏像やお堂を壊す廃仏毀釈(きしゃく)が全国に広まったとき、京都の人々が「捨てるにしのびない」と運んできたと言われています。

 たくさん並んだお地蔵さまを撮りながら、むかしの人の思いを想像すると、違った見え方がしてくるかもしれません。

 「これからの時期なら、雨上がりのコケやアジサイもいいですよ。桜や紅葉だけではありません。敷地内にある成就院(じょうじゅいん)の池のコイもお薦めです」

 参拝者が少ない時間帯もねらい目です。清水寺の開門は朝6時、閉門は夏なら夕方6時30分。開門すぐや閉門間近に入れば、じっくり撮影できます。

清水寺の新緑=2017年5月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん提供
清水寺の新緑=2017年5月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん提供

でも、一番の基本は「祈りの場」

 そんな須藤さんが「もっとも目を向けてほしい」と力をこめるのが「信仰」です。寺は観光の場であったとしても、祈りの場です。

 寺にはさまざまな行事があり、僧侶がお経を唱えています。清水寺では8月9~16日、一日のお参りで千日のご利益があると伝わる「千日詣(まい)り」があります。

 「こうした法要に合わせて訪れたときも手を合わせてください。撮影でも自分なりの視点を大切にしてほしいと思います」

清水寺の千日詣り=2017年8月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん提供
清水寺の千日詣り=2017年8月、京都市東山区、写真家・須藤和也さん提供
【関連リンク】
京都のお寺、あえて「インスタ」アピール 本当に伝えたいこと…
清水寺も長谷寺も…インスタ発信、古都が積極的な理由(朝日新聞デジタル)

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