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子どもの夢をまじめに上場!株式市場「キッズ」の事業が可愛すぎる

「優しいロボ、悪いロボと両方つくるんでしゅ」……2~6歳の子どもたちが考えた、架空の株式会社を応援する「株式市場」のウェブサイトが開設されました。大人の株式市場が「マザーズ」ならば、その名も「キッズ」といいます。

「こども株式市場キッズ」に上場している3つの株式会社
「こども株式市場キッズ」に上場している3つの株式会社 出典: こども株式市場キッズ

目次

 「優しいロボ、悪いロボと両方つくるんでしゅ」……2~6歳の子どもたちが考えた、架空の株式会社を応援する「株式市場」のウェブサイトが開設されました。大人の株式市場が「マザーズ」ならば、その名も「キッズ」。金銭は発生せず、株価代わりの「ドリーム」は、応援ツイートと子どもの「気分」で変化します。「投機目的だけではない株の側面」を表現したかったという、作り手の思いを聞きました。

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公開されている「こども株式市場キッズ」のページ
公開されている「こども株式市場キッズ」のページ 出典:こども株式市場キッズ

こども株式市場「キッズ」って?

 こども株式市場「キッズ」は、株式投資をわかりやすく解説するWEBサイト「俺たち株の初心者!」(WEB企画)の「株に関するおもしろコンテンツ」のひとつとして、5月10日から公開されています。
こどもに将来の夢を聞くと、生き物の研究をしたい、ロボットを作りたい、と自由な想いを語ってくれます。 こども達が考える株式会社は、どんな会社になるのでしょうか? 3名のこどもにインタビューをし、架空の会社を考えてもらいました。
こども株式市場キッズ

 「キッズ」には現在、2~6歳の3人の子どもが考えた3つの株式会社が上場しており、それぞれ事業内容や資本金、株主優待などの情報や、株価グラフのようなものも紹介されています。

「こども株式市場キッズ」に上場している3つの株式会社
「こども株式市場キッズ」に上場している3つの株式会社 出典:こども株式会社キッズ

 目を引くのはその内容。子どもならではの、奇想天外な会社情報がずらりと並んでいます。

 たとえば、3歳の男の子が考えた株式会社「B&すぺし」の事業内容は、「いろいろなロボットをちゅくる」。資本金は「ごーいー ごりんなな円」、所在地は「ごーりんのしゃえのしょこ 」・・・・・・存在しない数字や、存在するかどうかもわからない場所です。

株式会社「B&すぺし」の会社情報
株式会社「B&すぺし」の会社情報 出典:こども株式市場キッズ

「聞いてはいけない質問」!?

 株主優待については、「なし(※聞いてはいけない質問)」。

 「一体どういうこと?」と思い、同サイトで公開されている、子ども「社長」へのインタビュー動画を見て納得しました。

3歳児社長のインタビュー動画。2:03頃から株主優待について質問している 出典: こども株式市場キッズ

 それまで「○○でしゅ」と答えていた男の子が、「会社を応援してくれた人へのお礼はなくていいですか?」という質問に「いぇ~い~いぇいぇ」と言いながら、お絵かきに夢中になってしまいます。思わずインタビュアーが「ちょっと聞いちゃいけない質問でしたかね」と苦笑い。これぞ自由。子どもの無邪気な姿に心をくすぐられます。

 こんな風に、子どもたちにインタビューして作られた架空の株式会社は他にも、遊び・ゲーム・生き物の研究をする「株式会社ドラゴンホースペガサス」や、事業内容が「ピンクのお仕事」(!)の「株式会社いちご」があります。ちなみに「いちご」の株主優待は「飴」です。かわいい!

株式会社「いちご」の会社情報
株式会社「いちご」の会社情報 出典:こども株式市場キッズ

 Twitter上では「将来が楽しみ」「かわいすぎる」「応援せざるを得ない」という声が寄せられています。

これまでも子どもにまつわるコンテンツを発信

 「俺たち株の初心者!」では、これまで「バカが考えた株の漫画」や「鹿と学ぶ株式投資」など、ユニークなコンテンツを公開してきました。

 サイトを運営するWEB企画(愛知県名古屋市)の水野寛歩代表は「『株式』と聞くと、特に若い世代にとっては『難しい』というイメージが強く、敬遠されがちです。株そのものから離れて、面白いコンテンツから触れてもらうことが、緩衝材の役割になることを期待します」と話します。
「俺たち株の初心者!」の「株の知識ゼロでも楽しめる!株入門の面白コンテンツ」
「俺たち株の初心者!」の「株の知識ゼロでも楽しめる!株入門の面白コンテンツ」 出典:俺たち株の初心者!
 「堅いイメージが強い株と、柔らかいものを融合したコンテンツを」と依頼した先は、デジタルコンテンツの企画制作をしているブルーパドル代表の佐藤ねじさんでした。

 佐藤さんは昨年8月には、自身の息子さんがつくった工作に自分で値段を決めてもらい、実際に販売するECサイト「5歳児が値段を決める美術館」を公開しました。「9億7万8千円」のティラノサウルスの絵など、破天荒な値段設定が話題に。「子どもがその年齢でできること」をテクノロジーという切り口で表現する「息子シリーズ」のひとつで、0歳児の頃からほぼ毎年発表されています。

 「こども株式市場キッズ」に登場しているのは、佐藤さんの身近な子どもたちです。
【関連記事】5歳児の工作が百億円!話題のECサイト 息子の成長を見守る父の愛
佐藤さんが昨年公開した「5歳児が値段を決める美術館」。ティラノサウルスの絵の値段がすごい
佐藤さんが昨年公開した「5歳児が値段を決める美術館」。ティラノサウルスの絵の値段がすごい 出典:「5歳児が値段を決める美術館」

株価は「気分」で変動

  株式投資と言えば、配当をもらったり、株価の値上がりで差益を得たり、という目的の印象が強いです。

 「キッズ」を制作するにあたって、佐藤さんが表現したかったのは「投機目的だけではない株の側面」といいます。

 「自分の好きな会社を応援する気持ちで、長く株を持ち続けるという人もいる、という話を聞いて、瞬発的じゃない価値に目を向けたいと考えました。それと僕の続けている子どもにまつわるコンテンツの、『長い目で子どもの夢や成長を見守る』という要素と重なる部分があるのかなと思いました」

 そこで生まれたのが、子どもの夢を株式会社にたとえて、投資(ツイート)で応援しようというコンセプトです。

投資ではなく「応援」、そして配当の代わりに「希望」をもらう
投資ではなく「応援」、そして配当の代わりに「希望」をもらう 出典:こども株式市場キッズ

 「キッズ」では、株価の代わりに「ドリーム(DRM)」という単位が変動します。サイトにはこのドリームグラフも設置。佐藤さんによると、会社名のハッシュタグがついたツイートの数でドリームは上昇しますが、子どもの「気分」によって下落することもあるそうです。

 「夢はモチベーションが保てないとなかなか実現しませんし、成長するにつれ将来の夢が変わることもありますよね。風邪を引いたり、違うものに興味を持ったりすると、ドリームは下落します」

 なるほど、「大人の」株が世相に影響されるように、子どもの夢も見えないものに影響を受けているのですね。

モチベーションが下がってきているのかも…
モチベーションが下がってきているのかも… 出典:こども株式市場キッズ

 どうやって「気分」を調べているのですか、と尋ねると、「たまに聞いて、手動で更新しています」とのこと。なんと、株式会社いちごの2歳児の「社長」は、すでに会社のことを忘れかけているそうです。

写真では残らない「成長」

 3つの会社を眺めると、年齢によって言葉の濃度が異なるのがわかります。3歳児「社長」の会社の資本金は「ごーいー ごりんなな円」ですが、6歳児「社長」の場合は「50万8749円」です。

6歳児が考えた「株式会社ドラゴンホースペガサス」。従業員数は「125人」。理由は「意外といた方がいい。研究とかやるから。」
6歳児が考えた「株式会社ドラゴンホースペガサス」。従業員数は「125人」。理由は「意外といた方がいい。研究とかやるから。」 出典:こども株式市場キッズ

 これまで「息子シリーズ」で子どもの成長を記録してきた佐藤さんは、「存在しない数字や単語も、そのままの形で残す」ということを大切にしています。

 「微妙な言葉の発達や、幼いときの発想力は、写真には残らない成長だと思います。子どもの成長って、大きくなったときに感じるもので、育ってしまうと、こういう発想ってもうできないんです」

 「『将来の夢』ってたとえば卒業文集で書くこともあるかもしれませんが、今回みたいな形で子どもに取材したり、動画も撮影したりもして、具体的に残せると面白いですよね」

「こども株式市場キッズ」を制作した佐藤ねじさん
「こども株式市場キッズ」を制作した佐藤ねじさん 出典:株式会社ブルーパドル提供

 今回上場した子ども社長たちが、成長したときに「キッズ」を見たらどんな表情をするのでしょうか。驚いたり、恥ずかしがったり、もしかしたら夢に近づいていたり……。

 集まっている応援ツイートについて、子どもたちは喜んでいるといいます。「本当に夢が叶ってくれたらいいなっていう反応があるとうれしいですね」と佐藤さん。

 制作を依頼したWEB企画の水野代表は「夢を応援したり、エールを送ったりすることが、本来大人がやるべき子どもへの投資なのだと思います。子どもたちが大人になった時に、子どもの夢を応援できる大人になってもらえたら」と話します。

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