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平日2時間だけ営業「ハードル高い」ラーメン店が願うこと……

「ハードルの高い店」として名高いラーメン店の一杯
「ハードルの高い店」として名高いラーメン店の一杯

目次

 大阪・堺でファンの多いラーメンチェーン「天日塩ラーメンべらしお」。その店舗の中でも「ハードルの高い店」として名高い店舗が大阪市住吉区にあります。ハードルが高い、その理由とは。

食べられるのは平日2時間だけ

 その店は、南海高野線住吉東駅から歩いて2分ほどのところにある「べらしお福祉 住吉東店」。住吉総合福祉センター内に併設されている、障害就労支援B型(就労が難しい人と雇用関係を結ばずに働く場を提供する)の事業所です。周りには団地や保育施設、診療所などがあります。

 「ハードルが高い」理由は、平日のお昼時、午前11時半から2時間しか開店していないことにあります。

 3月下旬の午後1時ごろ、店をたずねました。店内には「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」と、普通のお店と変わらない、活気あふれる声が響きます。

 お昼休み中とおぼしき作業服姿の男性や、会社の制服を着た女性、高齢のご夫婦などが店内で丹精込めた一杯を楽しんでいました。

 店舗を紹介するグルメサイトでは平均3.5の高評価。「美味しい」「優しくも美味しい一杯」「応援したい」などの言葉が並びます。

 そんな評価に顔をほころばせ、「ただの美味しいラーメン屋として認識してもらえているのがうれしい」と話す人がいます。

 施設内でフランチャイズ店を開店させようと提案した、原田徹さんです。

看板にも営業時間は「月~金 11:30~13:30」となっている
看板にも営業時間は「月~金 11:30~13:30」となっている

ルーティーンがはっきりしていれば障害者も

 原田さんは2008年、ハンバーガーチェーンのマクドナルドが、障害者雇用に力を入れていることを知ります。「ルーティーンがはっきりしている仕事ならば障害者も働きやすい」と、障害就労支援の事業所でフランチャイズと協力関係を結べないかと考えたそうです。

 障害者の一般就労先としてフランチャイズを視野に入れることはありますが、一般就労が難しい人が働く就労支援の事業所そのものがフランチャイズ店というのは珍しいケースだといいます。

 原田さんは、味や工程がはっきりしているフランチャイズのノウハウで、はじめから美味しい商品が提供できることも重要だと話します。

 「職員は提供商品の質に悩むことなく、障害者支援に集中できる」といいます。

住吉総合福祉センターの館長・原田徹さん
住吉総合福祉センターの館長・原田徹さん

大好きなべらしおラーメン、職場でも食べたい!

 「どこか一緒にやってくれるところはないだろうか」。そう思っているときに浮かんだのがべらしおラーメンでした。

 原田さん、実は大のべらしおラーメンファン。「職場でも食べたい!」そんな思いから、べらしおラーメンを展開する「べらしおフード」の社長に直談判に向かいました。

 結果は……あっさりオッケー。

 べらしおフードも障害者就労について案を練っているという絶好のタイミングでした。話はとんとん拍子で進み、約半年後、「べらしお福祉 住吉東店」がオープンしました。

「べらしお福祉 住吉東店」のメニュー
「べらしお福祉 住吉東店」のメニュー

「社会参加できているという実感」

 それから10年あまり。現在、べらしお福祉と、隣接する「古文喫茶」で計20人ほどの障害者が働いています。

 通所者の成宮正夫さんは「家にいたら閉じこもってしまいがちなタイプですが、お客さんや仲間と話すことで社会参加ができているという実感があります」と話します。

作業所で働く成宮正夫さん
作業所で働く成宮正夫さん

地域にひらけた場所

 店舗が入っている住吉総合福祉センターのロビーには、机やいす、無料で飲める給湯器が設置されており、施設近くに住む人たちが自由に出入りしています。学校が終わった放課後には、子どもたちが宿題をしていることもあります。

 原田さんは「子どもたちは春休みや夏休みになるとラーメンを食べに来るんです」とうれしそうに話します。

 「平日、子どもたちがやってくる放課後の時間にはべらしおはもう閉まっている。でもラーメン屋があるってことは知っているわけですよね。そうすると、『ラーメンたべよう!』と長期休みにお父さんお母さんを連れてまた来てくれるんです」

 障害者施設が地域にひらけた場所となっている。誰もが生きやすい社会につながる活動になっていることに、原田さんは喜びを感じていると話してくれました。

施設の外からみた「べらしお福祉 住吉東店」
施設の外からみた「べらしお福祉 住吉東店」


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