閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2018年01月28日

木村家あんぱん、広まったのは日清戦争 資生堂は薬局がルーツだった

  • 2664

銀座木村家の店内。あんぱんを求める客であふれかえる=東京都中央区銀座4丁目

銀座木村家の店内。あんぱんを求める客であふれかえる=東京都中央区銀座4丁目

 あんぱんの「銀座木村家」や資生堂など、都心の一等地・銀座には江戸が東京に変わった頃から「顔」である老舗があります。時代の変化を見つめながら、「いつものこの味」や最先端の「美」を届け続けてきました。2018年、今年は江戸が東京になって150年の節目の年。銀座の歴史をたどります。(朝日新聞東京総局記者・横川結香、宮坂麻子、河井健)


1906年当時、出雲町(現在の銀座8丁目)の資生堂=同社提供

1906年当時、出雲町(現在の銀座8丁目)の資生堂=同社提供

銀座のあんぱん、今も手作業

 銀座の一等地で1個150円のあんぱんを売っているのが「銀座木村家」です。1869(明治2)年の創業で、その5年後には日本のパンの「定番」を生み出しました。

 ほのかな酒の香りと、もちもちした食感。当時は入手困難だったイースト菌の代わりに、米と糀(こうじ)、水で作った酒種を生地に混ぜて発酵させました。元は武士だった初代・木村安兵衛と親交があり、味を気に入った旧幕臣・山岡鉄舟の働きかけで明治天皇への献上も実現。日清戦争時は各地から集まった軍隊でもふるまわれ、全国に名が広まったといいます。

 製法はほとんど変わりません。かつてはレシピを残さず、職人が口伝えで味を受け継いできました。

 銀座の自社ビルで売る分は、今も手作業であんを包んでいきます。生地は湿度や気温に敏感です。かすかな変化を感じ取るのが味を守るひけつといいます。酒種室室長の八度慎一郎さん(67)は「お客さんは『いつものこの味』を求める。味を保つのは本当に難しい」と苦笑します。

 いま店頭には、うぐいすや栗などの6種のほか、季節限定のあんが並んでいます。客の好みの多様化に応えるようにラインナップを増やしても、不動の一番人気はあんぱんのままのようです。

銀座木村家のあんぱん。あんがぎっしり詰まっているのが人気のひとつだ

銀座木村家のあんぱん。あんがぎっしり詰まっているのが人気のひとつだ

「美」を発信し続ける資生堂

 資生堂は1872(明治5)年に東京・銀座に誕生しました。時代の変化を見つめながら、日本の美をリードし続けてきました。

 銀座のデパート内の資生堂。ビューティーコンサルタントがタブレット端末にお客の顔を映しながら、「オレンジ系の色で冒険されてはいかがでしょうか」と話しかけています。画面上で口紅やアイカラーを選ぶと、映った顔に、一瞬にしてその化粧が施されます。選択を変えるたび、いくつもの「私」が登場しました。

 資生堂はもともと、日本初の洋風調剤薬局でした。1897年に拭き取り用化粧水「オイデルミン」、98年に後の「花つばき」となる香油「花かつら(オイトリキシン)」を発売し、化粧品に乗り出しました。オイデルミンは「良い皮膚」、オイトリキシンは「良い髪」のギリシャ語に由来する造語です。

 男性中心の当時は、女性の美は健康の延長にありました。「年に何度も洗わない髪を香油をつけて結い、皮膚も清潔に保とうとした」と、同社の益井澄子さん(51)は話します。

 資生堂は、女性の活躍につながる最先端の「美」を銀座から発信し続けてきました。大正モダンガール、戦後は銀幕のスター風に、バブル期の真っ赤な口紅、ナチュラルメイク……。

 益井さんは言います。「いまは一つの流行ではなく、多様な個性の時代です」

1898年発売の香油「花かつら」(オイトリキシン、左)と1897年発売のオイデルミン(レプリカ)=いずれも資生堂提供

1898年発売の香油「花かつら」(オイトリキシン、左)と1897年発売のオイデルミン(レプリカ)=いずれも資生堂提供

いい洋服は普遍的

 東京・銀座で130年近く店を構える老舗洋服店があります。スーツ1着最低25万円。フルオーダーの相場は、昭和初期から「大卒初任給の1.5倍程度」と変わりません。安くはありませんが、根強いファンに支えられてきました。

 日本人の洋装の始まりは時代が明治に移る頃にさかのぼります。「高橋洋服店の前身は明治半ばに開業しました。戦前の有力政治家の後藤新平は1900年代初めに継いだ2代目の顧客だったといいます。「店が作って現存する一番古い服が後藤さんのフロックコートです」と4代目の高橋純さん(68)は話します。

 高度成長期、サラリーマンが増え、大量生産の安価なスーツが出回るようになっても、店では注文を受けて作るやり方を変えず、店舗も増やしませんでした。

 ゆったりとした作りのバブル時代、シルエットが細身の昨今。そんな流行は追わず、店が目指してきたのは「着やすく、形崩れせず、仕立てのいいもの」。高橋さんは「いい洋服っていうのは普遍的なものだと思うんです」と話します。

 近年、若い世代の新規客も目立ってきました。5代目を継ぐ翔さん(33)は言います。「ネット(通販)にはモノがあるだけ。ここでは話ができる。それがテーラーで服を買うということなんです」

高橋純さん(右)と翔さん。1500種類以上の生地がそろう=東京都中央区銀座4丁目

高橋純さん(右)と翔さん。1500種類以上の生地がそろう=東京都中央区銀座4丁目

皇室御用達の名品、ゆかりの品々 お菓子・食器・漬物…
前へ
安藤七宝店がつくった昭和天皇の成婚記念の七宝焼の置き時計=名古屋市
次へ
1/17
前へ
次へ

もっと見る


あわせて読みたい

「僕は今、社会の最底辺にいる」生活保護を申請した男性の告白
「僕は今、社会の最底辺にいる」生活保護を申請した男性の告白
裏表紙にサプライズも、描き下ろしカバー『スラムダンク』新装再編版
裏表紙にサプライズも、描き下ろしカバー『スラムダンク』新装再編版
PR
「子供ができて知ったこと」、最後の1コマに涙腺崩壊 2児の母に聞く
「子供ができて知ったこと」、最後の1コマに涙腺崩壊 2児の母に聞く
毛むくじゃらで話題のナナちゃん、いったい何者? 名鉄百貨店に聞く
毛むくじゃらで話題のナナちゃん、いったい何者? 名鉄百貨店に聞く
アイス「替え玉」できます! 1回200円で回数制限なし 熊本の専門店
アイス「替え玉」できます! 1回200円で回数制限なし 熊本の専門店
「学校の軍事利用」反対しない日本 高校生...
「学校の軍事利用」反対しない日本 高校生...
ネットでは悪い話ばかりが広がるから… 電車のホッコリ体験が話題に
ネットでは悪い話ばかりが広がるから… 電車のホッコリ体験が話題に
守ってくれなかった先生「俺、信頼してたのに」夜廻り猫が描く噓
守ってくれなかった先生「俺、信頼してたのに」夜廻り猫が描く噓
縁ギザギザの「ギザ10」…1枚8万円? なぜ生まれた、価値に迫る
縁ギザギザの「ギザ10」…1枚8万円? なぜ生まれた、価値に迫る
「ハッピーターン」が作られた深い理由…「幸福の日」って?
「ハッピーターン」が作られた深い理由…「幸福の日」って?
PR
開けば驚く「だまし絵」ノート! 作者は19歳 完成までの経緯を聞く
開けば驚く「だまし絵」ノート! 作者は19歳 完成までの経緯を聞く
ある日、イオンが消える……「残された」住民の思いを聞いてみた
ある日、イオンが消える……「残された」住民の思いを聞いてみた

人気

もっと見る