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地方こそ「シェア自転車」が必要な理由 盛岡で感じたエコな未来

企業の広告が入ったシェア自転車
企業の広告が入ったシェア自転車

目次

 シェア自転車は、中国ですでに数千万台が利用され、国内でも80以上の都市で導入されています。都会のイメージがあるシェア自転車ですが、地方でも取り組みは始まっています。導入を決めた盛岡市では、人の導線をつくることで街の活性化を期待しています。北国の地方都市での挑戦からシェア自転車の可能性について考えてみました。(朝日新聞盛岡総局記者・渡辺朔)

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旧城下町だからこそ

 シェア自転車は、岩手県内では釜石で実験中です。盛岡は導入検討と普及までは至っていませんが、取材を通じて、自家用車に代わる交通手段になると感じました。

 盛岡のような道幅が狭く、老舗など小規模店舗が並ぶ、空洞化に悩む旧城下町では、シェア自転車がまちの活性化の最適な手段のひとつになる可能性を秘めています。

ライトアップされた盛岡城跡公園の石垣=盛岡市内丸
ライトアップされた盛岡城跡公園の石垣=盛岡市内丸

地方こそシェア自転車の理由

 市街地の自動車渋滞を減らせる可能性があるという点があります。東京など大都市に比べて公共交通機関が少ない地方都市では、通勤通学をはじめ郊外から中心市街への移動に自家用車を使うことが多いです。

 そのため、盛岡の目抜き通りは朝夕をピークに重い渋滞になり、排ガスや効率性など多くの点で弊害があります。もし空間効率が高く環境負荷の低いシェア自転車が普及すれば、中心市街の中をより自在にきめ細かく移動することができ、町の活性化につながります。

 車だと通り過ぎてしまうけれど、徒歩に近い自転車なら足を止められるという状況も生まれてきます。


 冬場は自転車が乗れなくなります。それでも、シェア自転車はインバウンド観光客の関心を引くきっかけになり得ます。これまでの自家用車中心からの交通手段の発想転換によって、地方都市の観光計画のあり方を根底から変えるチャンスを与えてくれるでしょう。

 盛岡市での導入を進めている会社の社長は「県外や海外から盛岡市を訪れた観光客らがより快適に過ごせるよう『足』を提供することで、まちを活性化したい」と意気込んでいました。

通勤のための利用者が多いJR鹿児島中央駅前のサイクルポート=鹿児島市
通勤のための利用者が多いJR鹿児島中央駅前のサイクルポート=鹿児島市

観光の起爆剤に?

 アメリカのオレゴン州ポートランドなど欧米の都市では、「Park & Ride」と言って、郊外から都市部までは自家用車を使っても、中心部ではLRT(路面電車)やシェア自転車を使う交通システムが普及しつつあるといいます。

 1人あたりの専有面積を考えても効率的で、環境にも優しい。まだまだ大きなうねりにはなっていませんが、IoTをまとったシェア自転車は交通観光政策の台風の目になるはずです。

 豊かな自然環境という、自転車で走り回ってみたくなる資源がある地方都市だからこそ、シェア自転車の未来を感じます。シェア自転車は、地方都市での持続可能な観光や暮らしへの発想転換につながる、じつにワクワクするアイデアではないでしょうか。

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