何度でも言いたくなる、思わずつぶやいてしまう「口が気持ちいい言葉」。「赤坂サカス」「墾田永年私財法」「チョモランマ」など、平仮名・カタカナの単独やその組み合わせによって多くの言葉が生まれています。そして、日本語以外の言語にも、同じように「口が気持ちいい言葉」が存在するようです。英語では同じ母音の言葉や、同じアルファベットの頭文字を続けて「口が気持ちいい文章」になります。慣れてくると早口言葉も快感に。中国語では八文字熟語や漢詩の一節が「気持ちいい」と感じるそうです。

日本語の気持ちいい言葉、平仮名・カタカナの組み合わせも
まず日本語の口が気持ちいい言葉を見てみましょう。ツイッターで過去に話題になった機械仕掛さん(@kikaijikake)が作成したリストには以下のような言葉が並んでいます。ややカタカナ語が多いような気もしますが、漢字の言葉もいくつか挙がっています。
墾田永年私財法
東海道中膝栗毛
武家諸法度
スリジャヤワルダナプラコッテ
赤坂サカス
チョモランマ
アウストラロピテクス
過酸化水素水
二酸化マンガン
これらの言葉は基本的に発音しやすく、リズムもよいので、何回読んでも気持ちがいいです。

英語にも気持ちいい言葉が
日本に留学中で、アメリカ人の大学生Chase Huntimer(チェイス・ハンティマー)さんによると、英語にも声に出すと口が気持ちいい言葉というか、フレーズがあります。
never let it rest,
till good is better,
and better is best.
(良い事、より良い事、最高の事。立ち止まってはいけない。あなたの「良い事」が「より良い事」になるまで、あなたの「より良い事」が「最高」になるまで)
2 I like honey all my life,
I paste them on my knife,
They are always very stiff,
It is hard to take them off.
(私は蜂蜜が大好物で、ナイフに蜂蜜をたっぷり塗りました。とても硬いので、取り除くのは大変でした)
3 One, two, three, four,
Mary at the cottage door,
Five, six, seven, eight,
Eating cherries off a plate.
(一、二、三、四、メアリーはコテージのドアで、
五、六、七、八、皿のさくらんぼうを食べました)
同じ韻の「rest」「best」や、life, knifeの「f」が同じなっているところが「口が気持ちいい」理由だそうです。

実は「早口言葉」も人気
最も有名なのは、「She sells seashells by the seashore」です。この「貝売り」にはもっと複雑なバージョンもありますが、言葉の頭文字のほとんどが「s」になっているので、慣れると口が気持ちいいそうです。
Peter Piper picked a peck of pickled peppers.
A peck of pickled peppers Peter Piper picked.
If Peter Piper picked a peck of pickled peppers,
Where's the peck of pickled peppers Peter Piper picked?
(ピーター・パイパーが多くの塩漬けの胡椒を選び取りました。
多くの塩漬けの胡椒を、ピーター・パイパーが選び取りました。
もしピーター・パイパーが多くの塩漬けの胡椒を選び取ったなら、
ピーター・パイパーが選び取った多くの塩漬けの胡椒はどこにあるのかな。)
こちらは言葉の頭文字が「p」になっており、うまく全部読み終わると気持ちがすっきりできるそうです。

中国語の気持ちいい言葉は四字熟語ではなく、八字熟語?
中国の大学の日本語学科出身で、その後に来日した宇華(イユーフア)さんによると、「日本語ほどの気持ちいい言葉というジャンルは中国語にはないかもしれません。中国では韻も大事ですが、比較的言葉の勢いが重要視されます。一つではなく、『対』で出てくる言葉を一気に話すと、気持ちよくなるという感じになります」
「対」の言葉の例として、中国語の八文字熟語を紹介してくれました。
例えば① 「不入虎穴,焉得虎子」(ブールーフーシュエ、イエンダーフーズ:虎穴に入らずんば虎子を得ず。危険を冒さなければ、大きなことをやり遂げることはできない)。こちらは日本でも意味が通じるものです。
②「八仙过海,各显神通」(バーシエングオハイ、ガーシエンスントン:八人の仙人が海を渡ると、各人が自分の方術を発揮した。各人が自分の特技を発揮する)
③「兵来将挡,水来土掩」(ビンライジアンダン、シュイライトゥイエン:兵が攻めてくれば将が防ぎ、大水が出れば土でふさぐ。何かあれば適切な方法で対処する)
④「江山易改,秉性难移」(ジャンサンイーガイ、ビンシンナンイー:山河の形はたやすく変わるが、持って生まれた性分は変わるものではない。三つ子の魂百まで)

漢詩の一節、口も心も気持ちいい
また宇華さんは中国語の「対仗(ドイツアン)」という修辞法に注目しました。対仗は漢詩にも多用されるため、字音の平仄(ひょうそく)や字義の虚実を考えて対句を作ることで、詠むと気持ちがよく感じます。
例えば漢詩の一節で、例えば「落霞与孤鹜齐飞、秋水共长天一色(ローシャーユグーウーチーフェイ、チュウスイゴンツアンティンイーサー:沈む霞が一羽の野鳥と共に飛び、秋の湖と広い天空が同じ色)」を詠むと、リズムもよいし、意味も整えられていますので、目の前に一つの絵が浮かんできます。
情景までイメージ出来る漢詩は、まさに「口も心も気持ちいい言葉」と言えそうです。
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