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#2 集まれ!「口が気持ちいい言葉」

PPAPは言語学的にも最強だった 「口が気持ちいい言葉」の特徴は

ピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン」は言語学的にも優れた言葉だった
ピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン」は言語学的にも優れた言葉だった 出典: 朝日新聞

目次

 「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」「墾田永年私財法」「サイン・コサイン・タンジェント」など、声に出すと「口が気持ちいい」と感じる言葉たち。こうした言葉はツイッターでもリスト化され、たびたび話題になっています。何度でも言いたくなる、思わずつぶやいてしまう言葉にはどんな特徴があるのか。言語学の専門家に話を聞くと、PPAPは言語学的視点からも、「最強ワード」であることが分かりました。

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withnews編集部が考えた「口が気持ちいい言葉」たち
withnews編集部が考えた「口が気持ちいい言葉」たち 出典:「思わず言いたい「口が気持ちいい言葉」赤坂サカス・ヘモグロビン」より

「口が気持ちいい言葉」 特徴は七五調?

 「口が気持ちいい言葉」でネット検索をすると、2万6千リツイートされた3年前のあるツイートが出てきました。機械仕掛さん(@kikaijikake)が「大学時代に課題制作で使うためにストックした『口に出すと口が気持ち良くなる言葉』です」とつぶやいたもので、添付されたリストには「ポリプロピレン」「二酸化マンガン」「王政復古の大号令」など、確かに言いたくなるような言葉ばかりが並べられています。


 「趣味として普段から面白いと思った言葉をスマホのメモ帳に書き留めていた」という機械仕掛さん。投稿には4万4千の「いいね」がつきました。「想像以上の反響があって動揺した一方で、やっぱり似たようなことは感じているんだな、と共感してもらえたことへのうれしさがありました」

 「語呂が良く、リズミカルであること」といった感覚で言葉を集めたそうですが、リストにすると「墾田永年私財法」「王政復古の大号令」といった七五調の言葉が多かったそうです。

 「口が気持ちいい言葉」の魅力について聞くと、機械仕掛さんは「読み上げたときに、少しだけ楽しい気持ちになるところです。ついつい足でリズムを取ってみたり、指を指揮棒のように振ってみたりしたくなります」と楽しみ方を教えてくれました。

 機械仕掛さんの「口が気持ちがいい言葉」
「ポリプロピレン」

 

日本人の感性にあったリズム

 七五調のリズムは、昨年のPPAPがブームになった時も指摘され、そうした言葉を集めたツイートが話題になりました。「短歌や俳句などに代表されるリズムで、日本人が好むものとして根付いています」。こう話すのは国立国語研究所の窪薗晴夫教授(言語学)です。

 窪薗教授によると、元々農耕民族である日本人は、田植えや稲刈りにおいて、左右左右と足を動かすなど、単調なリズムに親しんできました。その結果、ワルツのような三拍子よりも、四拍子や二拍子が日本人の感性にあっているという説があるそうです。

 短歌や俳句などの「五・七・五(七・七)」という構造は、語尾に休符(ポーズ)を入れて「八・八・八(八・八)」と考えることができ、「これによって四拍子のリズムが生まれる」と説明します。
日本言語学会の会長も務める窪薗晴夫教授
日本言語学会の会長も務める窪薗晴夫教授

音の強弱をつける「特殊拍」

 さらに「口が気持ちいい言葉」の特徴として窪薗教授は「特殊拍」を挙げました。「ッ」といった促音や「―」の長音、「ン」のような撥音、二重母音(アイ、オイ、ウイ)の「イ」がこれに当たります。

 特殊拍を言葉の2音目や4音目など偶数音目に置くことで、「音の強弱の『弱』の役割を果たし、リズムができる」と窪薗教授。発音しやすいこうした言葉の要素が「『ワン』や『ブー』などの赤ちゃん言葉に詰まっている」と解説します。

 他にも発音しやすい言葉は、唇を閉じてから発音するパ行・バ行・マ行や母音の「ア」があり、また「サイン・コサイン」「セブンイレブン」などは言葉の最後に同じ音が繰り返す「脚韻」が使われ発音しやすくなっています。

「言葉は繰り返すことによってリズムが生まれます。そのリズムが作りやすい言葉は、自然と口が気持ちいい言葉になるのではないでしょうか」
赤ちゃん言葉は「発音しやすい言葉の要素が詰まっている」と話す窪薗教授(写真はイメージです)
赤ちゃん言葉は「発音しやすい言葉の要素が詰まっている」と話す窪薗教授(写真はイメージです) 出典:pixta

PPAPは言語学的にも優れていた

 今回の取材で、窪薗教授にいくつかの「口が気持ちいい言葉」を示した時に、真っ先に取り上げたのが「ペ」でした。

 「特殊拍がこれほど見事に使われている言葉はめったにありません。私はこれまで、『ア』』や『カ(関東大震災)』をそうした言葉の事例に使っていたのですが、それ以上です」

 ギネス世界記録にも認定された、ピコ太郎さんが生み出した言葉は、言語学的な観点からも「最強ワード」だったようです。

 窪薗教授の「口が気持ちがいい言葉」
「ペンパイナッポーアッポーペン」

 

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