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2017年10月28日

遊びじゃないのよ「外遊」は! トップに課せられた「二つの狙い」

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「外遊」って何?ただの旅行ではない重要なミッションとは…

「外遊」って何?ただの旅行ではない重要なミッションとは…

 首相や閣僚ら政治家が外国を訪問することを「外遊」と呼びます。「遊ぶ」という文字が入っているため、ただの旅行なの?仕事なの?と思ってしまいますが、れっきとした「海外出張」です。「外遊」とは何なのか? 超解説します。(朝日新聞政治部デスク・松村愛)

【動画で解説】外遊って何?「遊び」はないのよ!

「よその土地に出かける」の意味

 「遊」という文字には「よその土地に出かける」という意味があり、「遊説」「周遊」などとも使われます。言葉のイメージが悪いのか、閣僚が「『外遊』と新聞に書かれると遊んでいると思われるから『海外出張』と書いてほしい」とこぼすのを聞いたこともあります。

 就任から約5年になる安倍首相。これまでに58回の外遊を行い、在任5年半で過去最多だった小泉純一郎首相の51回をゆうに上回りました。世界70カ国近い国々を訪れ、首脳会談を重ねてきました。

 「G7」と呼ばれる主要7カ国の中ではドイツのメルケル首相に次ぐ古株。トランプ米大統領と欧州各国首脳の間の「橋渡し役」を自認する安倍首相は、こうした立ち位置で国際会議の議論をリードする場面も多いそうで、「日本の首相は国際会議のたびにコロコロ変わる」というかつてのイメージがだいぶ払拭されたのは事実です。

 11月5日から7日まで、トランプ大統領が就任後初めてアジアを歴訪し、日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンと順に回りますが、これも「外遊」です。

スウェーデン訪問を終え、フィンランド・ヘルシンキに向かうため政府専用機に乗り込む安倍晋三首相、昭恵夫人=2017年7月9日、ストックホルム・アーランダ空港、飯塚晋一撮影

スウェーデン訪問を終え、フィンランド・ヘルシンキに向かうため政府専用機に乗り込む安倍晋三首相、昭恵夫人=2017年7月9日、ストックホルム・アーランダ空港、飯塚晋一撮影

出典: 朝日新聞

二つのミッション

 外遊には主に二つの目的があります。一つは特定の国を狙った二国間(バイ)外交、もう一つは国際会議の場での多国間(マルチ)外交です。ともに重要な外交舞台です。

 二国間外交では、関係を深めたいと思っている相手国、また安全保障やエネルギー、歴史認識など、解決すべき問題がある相手国を訪問し、トップダウンで打開をめざします。首脳が他国を訪問するということは重要なメッセージになり、共同声明や共同文書を発表して関係の地固めをする場合もあります。国と国の利害やプライドが対立する、外交の最前線です。

 首相が出席する国際会議は、G7のほかG20(主要20カ国・地域)、ASEAN(東南アジア諸国連合)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)などさまざま。各国の首脳や閣僚が一同に集まり、多国間にまたがるテーマの解決を目指します。

 首脳外交の力量だけでなく、歓迎食事会や文化行事をこなすため、社交や会話のセンスも問われます。内弁慶には務まりません。

 国際会議の場を利用して、二国間、三カ国間で話し合う場を設けることもあります。

 たとえば尖閣諸島をめぐる日中関係の緊張をやわらげようと、安倍首相は2014年11月、ASEAN首脳会議に出席するため訪れたミャンマーの首都ネピドーで、中国の習近平総書記と初の日中首脳会談を行いました。

 中国指導部内には、中国に対して強硬な言動を見せたこともある安倍首相への不信感が根強く、今後、日中トップがお互いの国を行き来して会談できるような環境づくりは懸案です。

 いつ、どの国を、どのような形で訪問するかに、首相の「狙い」が透けて見えるというわけです。

ロシア側主催の晩餐会で、プーチン大統領とテーブルで拍手する小泉純一郎首相=2003年1月10日

ロシア側主催の晩餐会で、プーチン大統領とテーブルで拍手する小泉純一郎首相=2003年1月10日

出典: 朝日新聞

日本に招く賓客に「レベル」

 首脳会談を目的として海外から訪れる首相や大統領を「公式実務訪問賓客」と呼びます。首脳の滞在中は、国会周辺の街路に、日の丸と並んでその国の国旗が掲げられるので、「どの国の首脳が来日しているのか」がわかります。

 トランプ大統領はこの「公式実務訪問賓客」として外遊に訪れ、滞在中に天皇皇后両陛下との会見も予定されています。

 ちなみに、海外から要人を招く公式訪問には、上から「国賓」「公賓」「公式実務訪問賓客」「実務訪問賓客」「外務省賓客」の5ランクがあり、それぞれ行事の内容や予算額が違います。

 国賓には、天皇皇后両陛下との会見や宮中晩餐会を始めとする最上級のおもてなしが行われます。セレモニー的な色彩が濃く、一回に5千万円前後の予算がかかるうえ、両陛下への負担も大きいため年1~2回に抑えられています。

 11月27~30日には日本とルクセンブルクの外交関係樹立90周年を記念し、アンリ大公と大公妃が国賓として来日します。

「朝日の間」に置かれた、天皇・皇后両陛下や国賓が座る椅子=東京都港区の迎賓館赤坂離宮

「朝日の間」に置かれた、天皇・皇后両陛下や国賓が座る椅子=東京都港区の迎賓館赤坂離宮

出典: 朝日新聞

大盤振る舞いできない「お土産」

 でも課題もあります。

 まず、首相の外遊で国内にいない間は国会審議ができません。森友・加計学園問題の真相を解明しようと、野党は6月22日に臨時国会を開くよう求めましたが、安倍政権は「首相の外遊」や「働き方改革法案の準備」などを理由に応じず、ようやく98日後に開催が決まったと思ったら、首相はその冒頭で衆院を解散。審議は行われずじまいでした。

 説明の場を避けるために外交を利用することがあれば問題でしょう。

 さらに、外遊には「お土産」がつきもの。訪問する国で会う首脳の趣味や好みにあわせて毎回「お土産」に知恵をしぼっています。昨年11月に米大統領選で勝利したトランプ氏に安倍首相がいち早く会いに行った際には、共通の趣味のゴルフセットをプレゼントしました。

 また、途上国などを訪れるときには「円借款」と呼ばれる低金利の政府貸し付けを使って経済援助の表明をすることも多いこと。

 こうした援助は、戦後日本の復興や平和国家として信頼を得るために必要なことでしたが、相手国の返済が滞ると債務免除にすることもあります。援助外交で台頭する中国を意識する面もあるものの、いまや借金が国と地方をあわせて1兆円を超す日本の懐具合を考えると大盤振る舞いに映ります。

 身の丈に合った援助の仕方を考える時期かもしれません。

 首相の外遊から、さまざまな政治の課題が見えてきます。次に首相が外遊するときのニュースを注目してみてください。


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