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2017年10月19日

選挙に期待しない23歳が「票育」をする理由 「投票は最終手段」

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模擬投票の活動をするNPO代表理事の後藤寛勝さん(右)。でも「投票に行こう、なんて言ったことない」って、どういうこと?

模擬投票の活動をするNPO代表理事の後藤寛勝さん(右)。でも「投票に行こう、なんて言ったことない」って、どういうこと?

 衆院選の投開票日が近づいてきました。「あなたの一票が社会をつくっています」なんて言われるけど、選挙って正直、意味ある? 投票したらなにか変わる? そう聞かれて、胸を張って答えられる人ってなかなかいないのではないでしょうか。中高生に模擬投票の出前授業「票育」を行っているNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(ぼくいち)の代表理事・後藤寛勝さん(23)に聞いてみました。

選挙には、期待していない

 

後藤さん

選挙への期待は、してない。変わらないですよねぇ・・・たぶん。政治に興味がないとか、あきらめてるとか、当たり前で。それを無理やり『興味持たなきゃダメ』とか、エゴですよ」

 え、 模擬投票って、まさに「政治に興味を持とう」キャンペーンなのでは・・・。
 しかも後藤さんは「17歳のころから政治家になりたいと思っている」という、なんかすごい人。選挙に意味ある? 投票で変わる? なんてこちらの質問は、意識が低すぎる!と怒られるかと思っていたんですけど。

 

後藤さん

「政治が好き、っていうのはコンプレックスでした。いまもですけど。だれも興味ない話をずっとするっていう、そういうレベルじゃないですか(笑)」

 その空気は、わかります。学校でもSNSでも職場でも、政治の話題とか引かれるかも、というか、熱く語ったら引かれますよね実際。

NPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(ぼくいち)の代表理事・後藤寛勝さん(23)

NPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(ぼくいち)の代表理事・後藤寛勝さん(23)

 

後藤さん

「僕らが生きていて政治が遠いっていうのは、もちろん当たり前。そう感じさせている政治がダサい

 

「でも、そのダサい人たちを席から下ろせない僕たちもダサい。もっと身の回りに政治家になったらいいなって人がいると思うんですよ。そういう人を送り込めない俺らってすげーダサいよね、っていう」

 だから、選挙に行かないというのも、やっぱり基本的には「ダサい」と思う、とのこと。

「お前はどう思う?」がないのに、いきなり投票は無理

 とはいえ、選挙になるといきなり出てくるよくわからない人たちの中からだれかを選んで投票するって、難しくないですか。

 

後藤さん

「選挙が近くなると、だれに入れたらいいの?って聞かれたりします。みんなが言うのは、『右/左』『保守/リベラル』ってなに?俺ってどっち?と・・・。知らねーんだけど!って思う(笑)。メディアが決めた既存の枠組みのどこに自分があてはまるかを考えて、意見を形成する作業になると、投票って難しい」

 思い当たる節が・・・。どの政党が自分に近いのか、とか、保守/リベラルなどの座標軸でどこに自分が位置しているか、とか、診断できるツールがネット上でもよく流れてますよね。

雨の中、街頭演説を聞く有権者たち=10月15日午後、東京都内、柴田悠貴撮影(選挙カーなどにモザイクをかけています)

雨の中、街頭演説を聞く有権者たち=10月15日午後、東京都内、柴田悠貴撮影(選挙カーなどにモザイクをかけています)

出典: 朝日新聞

 

後藤さん

必要なのって、『こうだったらいいのに』『自分はこう思う』っていうのがあって、それがだれに近いかを考えることなんだと思います」
 

 

学校では、衆議院の定数とか、議員の任期とかは教わっても、『お前自身はどう思ってるんだ?』とは問われてこなかった。選挙とか政治に、興味も期待も持てないのは当然」

 なるほど。たしかに、政治家って私たちの「代表」なわけですから、私たちがそれぞれ思っていることを代わりにやってもらわなきゃいけないですよね。そういえば。
 いつの間にか、政治家が並べた考えの中から、自分の考えを選び取る感覚になっていたかもしれません。

選挙以外で、社会を変える方法って?

 でも、最初に後藤さんは「選挙に期待していない、変わらない」と言ってました。では、投票する以外に社会を変える方法はあるんでしょうか。

 

後藤さん

「毎日を一生懸命生きてみる。というか、働く

 働く???

 

後藤さん

「そうしないと、わからない。社会のこととか、お金のこととか。仕事じゃなくても、趣味とか好きなことでも、自分の生活の中で政治との接点をどれだけ見つけられるか、が大事だと思う。その接点が一番見つかりやすいのは、働くこと。『なんでこんなに給料から税金が引かれてんの』とか」

 その典型的な例が、ラッパーのZeebra(ジブラ)さんだと言います。

深夜のクラブで、DJ(左奥)が選曲する音楽を楽しむ人たち=2012年、東京都港区、関口聡撮影

深夜のクラブで、DJ(左奥)が選曲する音楽を楽しむ人たち=2012年、東京都港区、関口聡撮影

出典: 朝日新聞

 数年前、夜通し踊ることができるクラブの摘発が続いたことで、「なんで踊れないのか」と声があがります。原因は、深夜のダンス営業を禁止する、戦後長い間変わっていなかった国の法律。

 仕事場、生活の場であるクラブを守ろうと、Zeebraさんは、時代に合わなくなったルールを変えることを目指して、「クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)」会長として政治家たちに訴えかけました。その結果、2016年に法改正によって深夜営業の条件つきでの解禁が実現したのです。

「投票に行こう」なんて言ったことない

 後藤さん自身は、いったい何をしているんでしょう。

 

後藤さん

『票育』です。『お前はどう思う?』と聞かれる経験がないのに、18歳になって投票に行けと言われても、無理。いきなり国のことを考えて、選択を問われるのはかわいそう。そこを変えるには、学校教育だ、と思ったので」

 政治好きがコンプレックスという後藤さんは、政治と私たちの距離がもっと近い社会になるように、活動しているんですね。

 票育では、学校や地域ごとにオーダーメイドした模擬投票をします。最大の目的は、投票先を選ぶ過程で自分たちの町の課題を見つけて、解決の道を探ってみる経験をすること。

ぼくいちの活動

ぼくいちの活動

出典: 後藤寛勝さん提供

 たとえば・・・
 2015年に葛飾区の商業高校の定時制の生徒と行った票育。投票の争点は、「生徒の多くが使う通学路になにが必要か/必要でないか」です。電柱、ガードレール、公民館、プール、図書館……。候補者によって、どれを残し、どれをなくすかが変わります。
 ある生徒が「僕はプールはいらない」と主張すると、別の生徒は「私、そのプールでインストラクターとして働いてるから困る。図書館のほうがいらない」。するとまた別の生徒が「いやいや、図書館使ってるよ」と訴える、というやりとりがあったそうです。

 

後藤さん

「これって、すごく政治的な話。憲法や原発の意見を選ぶのはとても難しい。まずは、どうやったら僕らの住んでいる町がもっと良くなるんだろう、ということを考えてみるのが、政治参加のファーストステップだと思ってます」

 投票率を上げることは目的ではないんですね。

 

後藤さん

『投票に行こう』なんて言ったことは、一度もないんです。投票は社会を変えるための『最終手段』だと思ってますから」

ビールケースで演説・ワゴン車投票・インスタで啓発…衆院選の風景
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ビールケースに乗り、有権者に支持を訴える候補者=10日、大分県宇佐市
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出典:朝日新聞
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