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カラーテレビから身を守れ! スマホ依存にも通じる「57年前の教え」

今では、ほとんど見ることがないブラウン管カラーテレビ=1968年8月
今では、ほとんど見ることがないブラウン管カラーテレビ=1968年8月 出典: 朝日新聞

目次

 9月10日は、テレビのカラーの本放送が始まった日です。1960年、NHKや日本テレビ、ラジオ東京(現TBS)、朝日放送、読売テレビが一斉に開始しました。当時は高価だったカラーテレビですが、1964年の東京五輪によって一気に普及します。番組が東京五輪一色になる中、テレビを見過ぎて「やたらと忙しくなるような生活」を心配する声も。スマホ依存やソーシャルメディア疲れが問題になる今の日本にも通じる悩みがあったようです。

大卒初任給の50倍

 1960年9月10日、カラーテレビの本放送が始まりました。

 日本初のカラーテレビは東芝の「21型D-21WE」です。丸形ブラウン管で真空管式の消費電力は380ワット、価格は52万円。大卒初任給が1万8千円前後だった時代、とても高価なアイテムでした。

 一般家庭で買える人は少なく、多くの人は、繁華街や主要駅などに設置された街頭テレビに群がって視聴しました。

家庭から出された大型ゴミが山と積まれる。中でも目だつのは白黒テレビ。カラーテレビの普及とともに処分する家が増えた=1970年4月16日
家庭から出された大型ゴミが山と積まれる。中でも目だつのは白黒テレビ。カラーテレビの普及とともに処分する家が増えた=1970年4月16日 出典: 朝日新聞
1960年のこの日に始まったのが、カラーテレビの本放送。NHKや日本テレビ、ラジオ東京(現TBS)、朝日放送、読売テレビが一斉に開始した。総務省によると、アメリカ、キューバに次いで世界で3番目。当時は放送時間帯が一部に限られ、カラーテレビは小学校の先生の初任給の約50倍と高価だったことなどから、なかなか手が届かなかったようだ。
2009年9月9日:(あすは何の日)9月10日 カラーテレビ本放送開始:朝日新聞紙面から
1960年9月、待ちに待ったテレビのカラー本放送が始まった。日本初のカラーテレビ受像機「21型D-21WE」を開発した東京芝浦電気は7月に販売スタート。丸形ブラウン管で真空管式の消費電力は380ワット、価格は52万円。大卒初任給が1万8千円前後だけに、多くの大衆は、繁華街や主要駅などに設置された街頭テレビに群がって視聴した。
2017年3月10日:週刊朝日創刊95周年 ニッポンのヒット商品 発明品列伝:朝日新聞紙面から

納得感はんぱない57年前の警鐘

 カラーテレビの普及を後押ししたのが東京五輪です。

 開会式や注目競技を見ようと白黒テレビからの買い替えが進みました。

 そんな中、1964年10月9日の朝日新聞に、ある心理学者の記事が載りました。

 法政大学の乾孝教授(当時)が「計画たてて番組選択」という見出しで、テレビを見過ぎないよう呼びかけるものでした。

法政大学の乾孝教授
法政大学の乾孝教授 出典: 朝日新聞

「やたら忙しくなるような生活が流行」

 乾教授は、テレビに時間を使いすぎてしまうことを「『これは不要だ』と捨てる決心のできない意地汚い習慣です」と指摘。

 「与えられた可能性のすべてに義理立てして、やたら忙しくなるような生活が流行しているのではないでしょうか」と問題提起します。

 なにやら、思わずスマホをいじって、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどソーシャルメディアに時間を使ってしまう現代の私たちにも通じる教えに聞こえてきます。

東京五輪で女子バレーボールの日本対アメリカで日本の勝利を喜び「やったわ」とテレビに拍手する=1964年10月11日
東京五輪で女子バレーボールの日本対アメリカで日本の勝利を喜び「やったわ」とテレビに拍手する=1964年10月11日 出典: 朝日新聞

「チューイングガムのカスみたい」

 乾教授は、東京五輪という同じものにみんなが群がる様子についても疑問を投げかけます。

 「みんなが知っている話のタネを、また改めて交換しあっても、チューイングガムのカスみたいに味気ないものではないでしょうか」

 芸能人のスキャンダルや猫動画など、ネットで拡散しやすいものだけで盛り上がってしまう…そんなネット時代の私たちにも耳が痛い話です。

当時売られていたチューイングガム=1962年12月
当時売られていたチューイングガム=1962年12月 出典: 朝日新聞

「見落とした新番組」発見なさい!

 今までより刺激的で面白い情報が無料で膨大にあふれる。白黒テレビからカラーテレビに変わった50年以上前の日本の状況は、スマホにたくさんの情報が流れ込んでいる現代の日本に似ているのかもしれません。

 カラーテレビへの「対策」として乾教授は「別の番組」を見つけることをすすめています。

 「見落とした新番組を発見なさり、それを『話のタネ』にしてくだされば、これも今後のテレビ文化にとって、大きなプラスになるはず」

 ネットの世界では、自分の好きな情報だけに囲まれてしまうフィルターバブルという現象が問題になっています。「別の番組」を見つける努力。これも現代の私たちには必要なスキルなのかもしれません。

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