閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2017年07月14日

ストリートファイター、30周年の強さ 「eスポーツ」戦略で若返り

  • 9485

ストリートファイターⅤの世界大会=CAPCOM U.S.A.提供

ストリートファイターⅤの世界大会=CAPCOM U.S.A.提供

 カプコンの格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズが、今夏に誕生30周年を迎えます。新作を世に出し続けてきた一方、ブームを育んだゲームセンターは減り、ファン層の高齢化にも直面してきました。そこで活路となったのは米国をはじめ世界での「eスポーツ」への挑戦でした。

120万人が視聴

 昨年12月、米カリフォルニア州で開かれた『ストリートファイターV』の世界大会。

 約8500人の観客の前で優勝を決めたのは、当時20歳の米国人男性NuckleDu氏でした。女子プロレスラーのキャラ、レインボー・ミカを操り、対戦相手の春麗を投げ飛ばして勝利した瞬間、会場のアナハイム・コンベンションセンターは大歓声に包まれました。

 感極まって顔を両手で覆うNuckleDu氏。2日間の大会は、最大16万人がネット中継を同時視聴し、累計の視聴者数も120万人にのぼります。

 大会を主導したCAPCOM U.S.A.の小野義徳オフィサーは、インタビューに「eスポーツの世界は、日本では想像できない状況になっている」と話します。

【動画】CAPCOM U.S.A.の小野義徳オフィサーが語る「eスポーツ」=戸田拓撮影

 家庭用ゲーム機やパソコンを使ったゲーム対戦を、スポーツととらえる「eスポーツ」は1990年代後半に欧米で始まったとされ、プロチームも相次いで誕生しています。選手には固定給や遠征費、住居費などが支給。優勝したNuckleDu氏も有力プロチームに所属しています。

 カプコンが、初代『ストリートファイター』をゲームセンターに投入したのは1987年8月です。さらに1991年の『ストリートファイターII』(ストII)は改良を重ね、飛び入りでプレー中の相手と対戦できる「乱入」などの斬新な機能で、大ヒットしました。

ストリートファイターIIの画面=カプコン提供

ストリートファイターIIの画面=カプコン提供

スポーツ化で若者人気復活

 しかし、それから十数年。2008年に小野さんがプロデューサーとして『ストリートファイターIV』を世に出したとき、直面したのがファンの「高齢化」でした。プレーヤーの交流の場にもなった日本のゲームセンターの数は、20年前の約3分の1に減少。若い世代のファン層が生まれにくくなっていたのです。

 「ストIIからのファンの方が40、50代になっていた。大会で頑張っているのも30代後半。シリーズを続けるには、新陳代謝が必要だった。そこで新しい舞台として、世界規模の大会を作ってみたいと考えました」

ストリートファイターVの画像=カプコン提供

ストリートファイターVの画像=カプコン提供

 しかし一から始めた運営は試行錯誤でした。支えになったのが30年の歴史の積み重ねだったと、小野さんは言います。すでに世界各地に愛好者のグループが存在し、家庭用ゲーム機やパソコンで対戦する「草の根大会」が開かれていました。

 そこで運営は現地のファンに任せたうえで、CAPCOM U.S.A.が各大会を公認。上位入賞時の獲得ポイントを決め、世界のプレーヤーが同じランキングで競えるようにしました。最終的にはランキング上位32人などを米国に集め、決勝大会を開く――CAPCOM U.S.A.が、1年を通じた「CAPCOM Pro Tour」をスタートさせたのは2014年のことでした。

 2016年は各地での参加者が、合計10万人以上に。小野さんは「eスポーツの大会は、参入障壁が高い。多くのプレーヤーやファンが不可欠で、簡単にそんなゲームは育てられない。30年の歴史が生かせる世界だった」と振り返ります。

 大会で若い世代が活躍し、そのネット中継が若者を呼び寄せる。いまプレーヤーの平均年齢は「世界では20代に、日本でも30歳前後までぐっと下げることができた」と言います。

ストリートファイターⅤの世界大会。2016年の優勝者は当時20歳だった=CAPCOM U.S.A.提供

ストリートファイターⅤの世界大会。2016年の優勝者は当時20歳だった=CAPCOM U.S.A.提供

世界では「まだ中の下」

 一方で、カプコンがeスポーツの「覇者」かと言えば、現状は甘くありません。

 世界には月間ユーザー数が1億人を超えるような「化け物ゲーム」があり、『ストリートファイター』の大会規模は「まだ中の下くらい」なのが現状です。

 決勝大会があった2016年12月。ネット中継で見られた時間は、ゲーム別で7番目の位置。トップクラスの7分の1ほどです。

 米国発のパソコン向けストラテジーゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」は、大会中継の独占権などを得るために、米企業が2023年までに最低約340億円(3億ドル)を支払うと報じられました。

 別の人気ゲーム「Dota2」は、世界選手権の賞金総額が20億円超にのぼります。

東京・秋葉原で開かれたeスポーツの大会。声をかけ合って試合を進める選手たち=2015年3月

東京・秋葉原で開かれたeスポーツの大会。声をかけ合って試合を進める選手たち=2015年3月

出典: 朝日新聞社

裾野もっと広がって

 こうしたケタ外れの展開を支えているのが、厚いファン層です。小野さんは「eスポーツは、米国ではテレビ中継も頻繁にされている。20~30代のミレニアル世代が日頃から見るコンテンツとして、野球やサッカーと同じように受け入れられている」と指摘します。

 一方、海外に比べると日本では「eスポーツは限られたプロだけの世界と思われがち。一般の人からは『縁遠い世界』と身構えられてしまう。もっとカジュアルに楽しまれるような、裾野の広がりを生んでいきたい」。

 期待しているのが、国内外での大会の充実です。サイバーエージェント子会社のCyberZは2015年から、eスポーツ大会「RAGE」を始めました。今月、ラスベガスで開かれる世界最大規模の大会「EVO」も、2018年に日本大会が開催される予定。

 2022年には「アジア版のオリンピック」とも呼ばれるアジア競技大会で、eスポーツが正式種目になることが決まっています。

 小野さんは「日本企業のeスポーツへの取り組みは道半ばですが、そのぶん成長余地が大きい。業界全体で盛り上げていければ」と強調します。

『ストリートファイターV 』、世界大会はこんなことに
前へ
『ストリートファイターⅤ』の世界大会=CAPCOM U.S.A.提供
次へ
出典:Robert Paul
1/15
前へ
次へ

あわせて読みたい

「僕は今、社会の最底辺にいる」生活保護を申請した男性の告白
「僕は今、社会の最底辺にいる」生活保護を申請した男性の告白
裏表紙にサプライズも、描き下ろしカバー『スラムダンク』新装再編版
裏表紙にサプライズも、描き下ろしカバー『スラムダンク』新装再編版
PR
「子供ができて知ったこと」、最後の1コマに涙腺崩壊 2児の母に聞く
「子供ができて知ったこと」、最後の1コマに涙腺崩壊 2児の母に聞く
毛むくじゃらで話題のナナちゃん、いったい何者? 名鉄百貨店に聞く
毛むくじゃらで話題のナナちゃん、いったい何者? 名鉄百貨店に聞く
アイス「替え玉」できます! 1回200円で回数制限なし 熊本の専門店
アイス「替え玉」できます! 1回200円で回数制限なし 熊本の専門店
「学校の軍事利用」反対しない日本 高校生...
「学校の軍事利用」反対しない日本 高校生...
ネットでは悪い話ばかりが広がるから… 電車のホッコリ体験が話題に
ネットでは悪い話ばかりが広がるから… 電車のホッコリ体験が話題に
守ってくれなかった先生「俺、信頼してたのに」夜廻り猫が描く噓
守ってくれなかった先生「俺、信頼してたのに」夜廻り猫が描く噓
縁ギザギザの「ギザ10」…1枚8万円? なぜ生まれた、価値に迫る
縁ギザギザの「ギザ10」…1枚8万円? なぜ生まれた、価値に迫る
「ハッピーターン」が作られた深い理由…「幸福の日」って?
「ハッピーターン」が作られた深い理由…「幸福の日」って?
PR
開けば驚く「だまし絵」ノート! 作者は19歳 完成までの経緯を聞く
開けば驚く「だまし絵」ノート! 作者は19歳 完成までの経緯を聞く
ある日、イオンが消える……「残された」住民の思いを聞いてみた
ある日、イオンが消える……「残された」住民の思いを聞いてみた

人気

もっと見る