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連載

#12 夜廻り猫

1カ月ぶりの休み、起きたらもう夜9時…マンガ「夜廻り猫」が描く休日

目次

 「1カ月ぶりの休み 起きたら 夜の9時だった…」。たまった家事を片付けて、美容院に行って、友達と会って話したかったのに……。仕事に忙しい女性が、やりたいことが全然できずにがっかりしています。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが、「久しぶりの休日」を描きました。

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掃除に洗濯、美容院に行って…友達とも会いたかった

 明日は1カ月ぶりの休み。仕事に忙しかった女性は「掃除 洗濯 美容院 友達にも会いたい…」と想像しながら、疲れ切って寝入ってしまいます。

 その翌日、「泣く子はいねが~」。夜回り中の猫の遠藤平蔵は、女性の涙をかぎつけます。
 「おまいさん泣いておるな 心で どうした?」

 せっかくの休みだったのに、起きたら、夜の9時。やりたかったことは一つもできず、女性はすっかり落ち込んでいます。
 ふと気づくと、遠藤と一緒に夜回りしている子猫・重郎が、床に向かって何かをしています。
 「あ、これは 掃除をしておるのです」

 ぐちゃぐちゃになった部屋を、一生懸命きれいにしようとしてくれている。
 その姿を見た女性は、「今日はまだ3時間あるね ご飯作って食べよう」と立ち上がるのでした。

間に合いそうもないのに 手伝ってくれる誰かがいたら

 作者の深谷さんは、「私はここまで忙しくないですが…」と前置きして、「でも、このくらい忙しい時期もありますよね。たまに1日だけ休みがあっても、やりたいことなんて出来ないんですよね」と話します。

 疲れ果てて、とにかく寝てしまった休日。やらなきゃいけない家事が山積みだったり、ずっと会えなかった誰かと会いたかったり。そうとはいえ、仕事を辞めるわけにもいかない……。
 深谷さんは、せっかくの休みが、起きたら終わってしまっていたのでは悲しいな、と考えました。
 「でも そんな時に、『間に合いそうにもないのに、懸命に手伝ってくれる誰か』がいたら、嬉しいだろうな」

 切羽詰まった誰かがいたときに、自分も「手伝うよ」と言えるような、そんな気持ちを持っていたいですね。

【マンガ「夜廻り猫」】
 猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
 泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
 そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
 遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
 ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。3月23日、講談社から単行本1、2を発売。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受けた。自身も愛猫家で、黒猫のマリとともに暮らす。

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