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2017年06月16日

アイスの当たり棒、いつか誰かに… マンガ「夜廻り猫」が描く希望

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「アイスの当たり棒 きっと宝物だったんだ 俺もいつか誰かにあげたかったけど…」。小さな頃から転校ばかりで、さみしい思いをしていた男性が、大慌てで何かを探しています。「ハガネの女」「エデンの東北」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが、「希望」を描きました。

転校 見送りに来てくれたクラスメート

「泣く子はいねが~」
 夜廻り中の猫の遠藤平蔵。きょうは、慌てた様子で何かを探す男性に声をかけました。
「おまいさん泣いておるな 心で どうした?」

 男性が探していたのは、大事にしていたアイスの当たり棒でした。
 転校ばかりだった子どもの頃、
 学校で口をきかなくなり、また友達もできないまま引っ越そうとしていた朝。
 ひとりのクラスメートが見送りにきて、「当たり棒」を差し出してくれたのです。

 もらったときから古かった当たり棒。
 「きっと大事に持ってた 宝物だったんだ」

 結局、当たり棒は見つかりませんでしたが、
 大切な思い出を振り返った男性は、
 「俺は俺の当たり棒を見つけなきゃな」と前を向くのでした。

誰かへの思いやり 自分も何かを贈れたら

 作者の深谷さんは、「人が生きていくには、心の余裕が必要だと思います」と話します。

 友達がいないと思っていたこの男の子に、クラスメートがくれたアイスの棒のように、
 それは、誰かからの思いやりや、大事にされたり褒められたりした経験から生まれるのかもしれません。

 深谷さんは、「自分も、少しは何かを贈れるようになりたい」とした上で、
 「誰でも、そういう世の中からの愛情に恵まれていてほしい」と願っています。

【マンガ「夜廻り猫」】
 猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
 泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
 そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
 遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
 ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。3月23日、講談社から単行本1、2を発売。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受けた。自身も愛猫家で、黒猫のマリとともに暮らす。

マンガ「夜廻り猫」が描く「希望」
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