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14歳の藤井四段と桐山少年、どっちが強い? プロ棋士の恐るべき能力
中学生棋士として注目を集める藤井聡太四段。人気漫画「3月のライオン」の主人公、桐山零のような活躍ですが、実は、その成績は桐山君を上回っています。漫画では、並外れた記憶力や集中力の持ち主として描かれる棋士たち。実物の棋士は、どんな人なのか? アマ四段の段位を持つ記者が超解説します。
解説するのは朝日新聞文化くらし報道部で将棋を担当している村瀬信也記者です。
――藤井四段はリアル「3月のライオン」と言われています
「まさにそうです。2016年10月に史上最年少の14歳2カ月でプロ入りし、快進撃を続けています」
――まだ中学生ですよね?
「対局の日は学校を休むことになりますが『週に1回ぐらいなら大丈夫』とのこと。学校の授業では数学や地理が好きだそうです」
――その勢いは、むしろ、桐山君を超えている?
「はい。桐山君は、羽生善治三冠がモデルと言われている宗谷冬司名人に負けていますが、藤井四段は非公式戦とはいえ、羽生さんに勝っています」
漫画の主人公の桐山君より強い中学生が現れてしまいまして一体どうしたらと…(´ω`)!RT @3lionmovie: #藤井四段 が20連勝を達成し、快進撃が続いていますが、映画『#3月のライオン』も、まだまだ絶賛公開中です!
— 羽海野チカ (@CHICAUMINO) 2017年6月3日
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――そもそも、棋士って何がすごいんですか?
「実際に駒を手に持って動かさなくても、頭の中の盤面で、何十、時には何百もの局面を思い浮かべられます」
――記憶力もすごそうですね
「棋譜という将棋の駒がどのような手順で動いたかの記録があるんですが、ある局面を見て『これは20年前の○○さんと△△さんの将棋と同じ』と指摘して、その後の展開を言い当てることもよくあります」
――じゃあ学校の勉強も優秀そうですね
「東京大学に在学中にプロになった棋士もいます。その一方で、高校生のうちにプロになる人も珍しくありません」
――そうなんですね
「例えば、羽生善治さんは普通高校に通っていましたが、対局があまりに忙しくなり、通信制高校に編入して卒業しました」
――「3月のライオン」に出てくる強烈な棋士って、本当にいるんですか?
「加藤一二三(ひふみ)さんは、対局の日は昼も夜もうな重を食べることで有名です」
――ひふみんですね
「加藤さんは熱心なクリスチャンで教会のミサに通っています。家族思いで、信仰が対局の支えになっていると言っています」
――ぶっちゃけ給料は?
「収入は基本、対局料になります。戦うタイトル戦や、トーナメントをどこまで勝ち進んだかによって金額は変わりますが、数万円から、優勝すると数千万円になるなど、かなり幅があります」
――数千万円!
「一番、優勝賞金が高いタイトルが竜王戦で、4千万円もらえます」
――タイトル戦ってなんですか?
「全部で八つあります。名人戦、竜王戦、王位戦、、叡王戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦です」
――どれが一番なんですか?
「賞金が一番高いのは竜王戦ですが、一番歴史が古いのは名人戦です」
――藤井四段の四段ってどれだけすごいんですか?
「プロの養成機関である奨励会に入り、四段になるとプロになれます。原則として、26歳までに四段にならないと退会させられる厳しい世界です」
――その最高峰は名人と竜王?
「そうです。アマチュアの段位の証明書は、将棋連盟の会長と竜王、名人の名前で発行されます。ちなみに私が持っているアマ四段の証明書は、二上達也会長(羽生三冠の師匠)と森内俊之名人と、羽生竜王の署名入りです」
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