閉

閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2017年05月28日

「ギャバン」「キン肉マン」…歌手・串田アキラが語るヒーローの条件

  • 1813

特撮・アニソン界のレジェンド、串田アキラさん

特撮・アニソン界のレジェンド、串田アキラさん

 「宇宙刑事ギャバン」や「キン肉マン」などの主題歌で知られる串田アキラさんが、6月17日公開の映画「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」の主題歌を歌います。アニメ・特撮ソング界の重鎮クッシーが、米軍基地で歌った青春時代から名曲に秘められた意外なエピソードまでを語り尽くしました。

米軍基地のクラブ、耳を疑った轟音の正体

 ――ミュージシャンを志したきっかけは。

 中学生の頃、横浜の伊勢佐木町にある米軍専用みたいなクラブに行った時に、出演していたバンドの人から「今度、基地に入ってみないか」と誘われたんです。基地のなかでバンドがドラムを叩いてる姿を見て、「これカッコイイな」と思ってドラム教室に通い始めました。

 それから座間や横田、厚木とかの基地で演奏していたんですけど、ドラムだけじゃ目立たないなと思って歌も歌い出して。初めて歌ったのはまだ十代の頃、確か沖縄の基地にあるクラブでしたね。返還前だったのでパスポートが必要でした。

 日本のバンドは5・6組出ていて、そのうち4組はブーイングを受けて帰されちゃう。兵隊さんがステージに上がって来て「帰っていいよ。でなきゃ俺らが帰るよ」って。ベトナム戦争中でしたから、「これから戦場に行くのに、こんな歌聴いてられるか!」っていう感じだったんでしょうね。

熱いライブパフォーマンスを繰り広げる串田アキラさん

熱いライブパフォーマンスを繰り広げる串田アキラさん

出典: 日本コロムビア提供

 ――日本人からするとかなりアウェイな状況ですね。

 そこでスティービー・ワンダーの「A PLACE IN THE SUN(太陽のあたる場所)」を演奏したら、「ゴーーーッ!!!」ってすごい音がしたんですよ。何が起こったのかと客席を見ると、黒人の人たちが前の方に押しかけてワーッと盛り上がってた。「やったー!」と思いましたね。

 以降はどんどん黒人音楽、ソウルミュージックを歌うようになって。世間ではグループサウンズやビートルズがはやっていたけど、自分たちがやりたいのは違うサウンド。ナット・キング・コールに始まって、ジュニア・ウォーカー&ジ・オール・スターズやテンプテーションズなんかにのめり込んでいきました。

時に激しく、時にしっとりと――。米軍基地で鍛え上げた歌声

時に激しく、時にしっとりと――。米軍基地で鍛え上げた歌声

出典: 日本コロムビア提供

 ――1969年に「からっぽの青春」でデビューします。

 テレビ番組に出たりもしたのですが、芸能界には関心がなかった。毎日ライブをやってましたから、そっちの方が好きでしたね。黒人問題を扱った歌を歌ったりすると、みんな泣きながら祈るように手を合わせて聴いてくれて。ああいうのを見てしまうと、ああ、ずっとここで歌わなきゃ仕方がないな、と。

 ハプニングも色々ありましたよ。基地で歌っていた時に、アンプが燃えてしまったんです。日本の機材だからボルテージ(電圧)が合わなかったみたいで。気づかずに歌い続けていたら、お客さんがワーッと寄ってきて「お前らカッコイイよ!」って言われましたね。

祈るように手を合わせる観客たちを前に、ライブにこだわり続けることを決意

祈るように手を合わせる観客たちを前に、ライブにこだわり続けることを決意

「サンバルカン」で何度もダメ出しされた理由

 ――1981年に「太陽戦隊サンバルカン」で特撮ソングデビューを果たしました。レコーディングはかなり苦戦されたとか。

 「子どもの歌ね、楽勝でしょ」とタカをくくって簡単に引き受けたのですが、まったくそうはいかなかった。「子どもたちが聴くからカッコ良く歌ってください」と言われて、強くカッコ良く歌ったつもりなのに、ディレクターからは「違うんだよ、串田くん」と何度も何度も言われちゃう。でも、何が違うんだか全然教えてくれないんですよ。

 もうすごいストレスで。やめます!って言って帰っちゃおうかとも思ったんですけど。最後にもういいやって譜面通りフツーに歌ったんですよ。自分の気持ちは入れずに。そしたらディレクターから「串田くん、やればできるじゃない」って言われて。その一言に一番、ムカッと来ましたね(笑)。

 これは後に「宇宙刑事ギャバン」(1982年)を歌ってから気づいたんですけど、サンバルカンの時の俺は、子どものカッコ良さを歌わなきゃいけないところに、R&B的な大人のカッコ良さを持っていっちゃったんですね。本来なら、子どもに聞き取りやすいように、縦ノリでハッキリ歌わなきゃいけなかった。ディレクターは最後まで教えてくれなかったけど、そういうことだったんだと思います。

「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」

「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」

出典:©2017 東映ビデオ・バンダイ・東映AG・日本コロムビア・東映

「ギャバン」のサビ前、なんて言ってるの?

 ――そういう意味でも、翌年歌ったギャバンはひとつの転機になったわけですね。

 ギャバンはスチール写真を見せられて、うわあカッコイイと思って、「やります!」と即答しました。ディレクターからは「気持ちを入れちゃいけない」と言われていたのですが、ここはぶつけて、ここは引くっていう強弱は自分なりにつけてましたね。

 サビの「ギャバン」は主人公の名前だからバッチリ強く、それから冒頭の「男なんだろ?」というところも低音ですけどグーッと押して。逆に「若さ 若さってなんだ」「愛ってなんだ」の「なんだ」のところは、問い掛ける感じで少し優しく歌う。ヒーローって強いだけじゃない、優しさが必要なんです。

イベントの舞台でギャバンやデカレンジャーと共演する串田さん(右から2人目)

イベントの舞台でギャバンやデカレンジャーと共演する串田さん(右から2人目)

出典:©東映

 ――「若さ 若さってなんだ ふりむかないことさ」「愛ってなんだ ためらわないことさ」という歌詞は、子どもよりむしろ大人の方がグッとくるかもしれません。

 子どもには絶対わかんないですよ(笑)。せめて高校生ぐらいにならないと。受験勉強の時にギャバンを聴いて「頑張らなくちゃっていう気持ちになった」という方はいましたね。

 ――サビの直前のところ、実は「ビーム!」と言っているそうですね。「ヒー、ヒー!」「イー、イー!」とも聞こえるので、てっきり敵キャラの叫び声なのかと思っていたのですが…。

 それは仮面ライダーのショッカーでしょ! 歌詞カードには書かれていませんが、「ビーム」が真相です。「あれはビームなんだよ」と説明してるんですけど、いまだにライブの合いの手で「ヒー、ヒー!」って。だから最近は、もういっかと思ってます(笑)。かなりエコーがかかってるんで、そう聞こえるみたいですね。

「ヒー、ヒー!」じゃなくて「ビーム!」です

「ヒー、ヒー!」じゃなくて「ビーム!」です

出典: 日本コロムビア提供

「キン肉マン」と「涙のリクエスト」がニアミス?

 ――「ヒーローには優しさが必要」というお話を伺って、「キン肉マン Go Fight!」(1983年)の「ああ 心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ」という歌詞が思い浮かびました。

 あの歌詞もまさにそうですね。昔はヒーローといえば強さ一辺倒でしたけど、やっぱり強さのなかに優しさが必要だと思います。

「ヒーローは強さのなかに優しさが必要」

「ヒーローは強さのなかに優しさが必要」

出典: 日本コロムビア提供

 ――「キン肉マン」のレコーディングで印象に残っていることは。

 「キン肉マン Go Fight!」冒頭の「リングに♪」は当初、チェッカーズの「涙のリクエスト」(1984年)の「涙の♪」のところと同じメロディーだったんですよ。作曲家が同じ芹澤廣明で。友達だったから、「似てるし、マズくない?」と言って変えてもらいました(笑)。確かチェッカーズの方もまだ発売前だったんですけど、聴かせてもらっていたんです。

 キン肉マンのレコーディングは、和気あいあいで楽しかったですね。それこそ、スタジオにキン肉マンがいてもおかしくないような雰囲気。特にエンディングの「肉・2×9・Rock'n Roll」は、大笑いしながら録った覚えがあります。終わった後で、ディレクターと「これは売れないなあ」なんて話したりして(笑)。

 後日、テレビで歌うことになって、当然「Go Fight!」の方だろうと思って完璧に準備していったら、直前になって「肉・2×9」だと知らされて冷や汗をかきました。ゆでたまご先生も収録に来ていて、汗ダラダラの俺を横目にニタニタしてましたね(笑)。

笑いにあふれた「キン肉マン」のレコーディングを振り返る串田アキラさん

笑いにあふれた「キン肉マン」のレコーディングを振り返る串田アキラさん

「富士サファリパーク」といえば○田アキ○

 ――串田さんはCMソングも多く歌っています。なかでも「富士サファリパーク」が有名ですが、CMに歌手名のクレジットが出てこないので、和田アキ子さんや松崎しげるさんと勘違いする人が続出したとか。

 名前を入れてもらうように勧めてくれる人もいました。でも、テロップがないことでかえって話題になったので、これでよかったのかなと。お陰で「アッコにおまかせ!」に呼ばれて、ご本人を前に歌ったりもしました。

 開園してから年月が経って声も変わっているので、一度「録り直したい」と言ったんですけど、サファリパークの方に「これがいいんだよ」と却下されて。CM自体は関東・東海のローカルなのですが、どんどん広がって、いまはカラオケにも入っています。

ギャバンやデカレンジャーと一緒にポーズをとる串田さんとYOFFYさん

ギャバンやデカレンジャーと一緒にポーズをとる串田さんとYOFFYさん

出典:©東映

 ――映画「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」では、特捜戦隊デカレンジャーの主題歌を担当したサイキックラバーのYOFFYさんとのユニット「激突兄弟」として主題歌を歌っていますね。

 歌詞のベースはYOFFYが書いてくれて、俺も半分ぐらい考えました。歌い出しはヤワじゃいけないので、「メタルの魂」って言葉を持ってきて。最後の方には、主人公たちの使命である「この星守るため あの星守るため」というフレーズが入ってます。映画に登場する2代目ギャバンはヤンチャなところもあるので、歌詞にもそういう感じを込めました。

 ――今後の抱負は。

 2020年の東京オリンピックの頃に、どこかのフィールドで歌えていたらいいですね。以前、Jリーグのハーフタイムに「キン肉マン」を歌ったこともあるんですよ。大好きなリズム&ブルースもやりたいですし、声が出る限り歌い続けたいですね。

「声が出る限り歌い続けたい」という串田アキラさん

「声が出る限り歌い続けたい」という串田アキラさん

 〈くしだ・あきら〉 横浜出身、本名は串田晃。1969年に「からっぽの青春」でデビュー。「宇宙刑事ギャバン」「キン肉マン」「トリコ」など数多くの特撮・アニメソングを歌ってきた。6月14日に新旧の名曲を収めた「スペース・スクワッド ソングコレクション アルバム」(日本コロムビア)が発売される。

「ギャバン」「キン肉マン」…串田アキラの最強パワーボイス
前へ
串田アキラさんの情熱的なライブパフォーマンス
次へ
出典:日本コロムビア提供
1/9
前へ
次へ

あわせて読みたい

高校野球のブラバン、大阪では30年禁止 一...
高校野球のブラバン、大阪では30年禁止 一...
日比谷線から突然クラシック、一体何が?東京メトロ「切り替えミス」
日比谷線から突然クラシック、一体何が?東京メトロ「切り替えミス」
“おもいで”ふっかつのじゅもん ドラゴンクエストの思い出、復活!
“おもいで”ふっかつのじゅもん ドラゴンクエストの思い出、復活!
PR
「花嫁オークション」は差別?ディズニーに署名活動 東京の対応は…
「花嫁オークション」は差別?ディズニーに署名活動 東京の対応は…
「投げ銭の最高額は78万円」 伝説の大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎
「投げ銭の最高額は78万円」 伝説の大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎
禁じられた改札タッチ、「とてつもない金額」とは? JR看板を検証
禁じられた改札タッチ、「とてつもない金額」とは? JR看板を検証
世界が注目する港町ダンケルク ノーラン最新作が、いま世界を変える
世界が注目する港町ダンケルク ノーラン最新作が、いま世界を変える
PR
金閣寺が焼けた日 放火した僧の「その後」...
金閣寺が焼けた日 放火した僧の「その後」...
「振り付けできなくて、歯を全部抜いたの」ギリヤーク尼ヶ崎の半世紀
「振り付けできなくて、歯を全部抜いたの」ギリヤーク尼ヶ崎の半世紀
「見た目問題は障害」バケモノと呼ばれた男性の願い 就活で心砕かれ
「見た目問題は障害」バケモノと呼ばれた男性の願い 就活で心砕かれ
「こどもフジロック」って何だ? ライブ聴け...
「こどもフジロック」って何だ? ライブ聴け...
グラウンド整備おじさんが語った「夢」 黙...
グラウンド整備おじさんが語った「夢」 黙...

人気

もっと見る