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2017年05月16日

「モアナ」の日本版ポスター「タトゥー」隠し? ディズニーは否定

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編集部が入手したポスター。海外版(左)にいたタトゥーの大男マウイが、日本版(右)ではタカの姿に

編集部が入手したポスター。海外版(左)にいたタトゥーの大男マウイが、日本版(右)ではタカの姿に

 公開中のディズニーのアニメ映画「モアナと伝説の海」で、海外版と日本版のポスターが違い過ぎると話題です。海外版では主人公の少女モアナと、全身にタトゥーが入ったマウイというキャラクターが並んでいるのに、日本版はモアナばかりが目立つデザイン。ネット上では「あれ、マウイは?」「タトゥーの印象がよくないからでは」といった声もあがっています。


劇中では大活躍のマウイだったのに…

 「モアナと伝説の海」は3月10日に国内で公開され、観客動員417万人、興行収入50億8千万円の大ヒットを記録しています。物語の舞台は、太古の南の島モトゥヌイ。村長の娘モアナは、突然の不漁・不作に見舞われた島を救うため、村の掟を破って大海原への冒険に繰り出します。

 マウイは半神半人の英雄で、様々な動物に変身しながらモアナを助ける重要な役どころ。過去に経験してきた出来事がタトゥーとして全身に刻まれており、心の声がタトゥーに現れるという設定です。

 パンフレットには「マウイのキャラクターは、オセアニアで広く知られている偉大な神話の英雄からインスピレーションを得て生まれた」「マウイの体を覆うタトゥーは、フランス領ポリネシアのマルキーズ諸島のタトゥーにインスパイアされた」と記載されています。

編集部が入手した海外版ポスター。マウイは人間の姿で体全体にタトゥーが

編集部が入手した海外版ポスター。マウイは人間の姿で体全体にタトゥーが

 劇中では、マウイ以外にもモアナの父親や祖母ら多数のキャラクターにタトゥーが入っており、村人がタトゥーを彫る描写も登場します。単なる趣向にとどまらず、タトゥーがストーリーのカギを握る要素のひとつとして扱われているのです。

 ではなぜ、海外版と日本版のポスターで大きな違いが生まれたのでしょうか。海外版は、野心的なまなざしのモアナと全身タトゥーで腕組みしたマウイが正面を見すえる、力強いデザイン。対して日本版は、手でハートマークをつくったモアナが笑顔でたたずむ柔和なイメージで、冒険活劇的な要素はなりをひそめています。マウイはというと、タカに変身した姿で小さく描かれおり、海外版に比べると存在感は薄目です。

編集部が入手した日本のポスター。「モアナと伝説の海」やディズニーの映像作品をPRしたもの

編集部が入手した日本のポスター。「モアナと伝説の海」やディズニーの映像作品をPRしたもの

「感情移入しやすいよう、ヒロインをフィーチャー」

 ウォルト・ディズニー・ジャパンは両者の相違を「ローカライズ戦略のなかで、モアナのキャラクターを認知させるところからスタートしました。『ベイマックス』『ズートピア』でも違うポスターを使っており、より日本で好ましいものに合わせています」と説明します。

 日本では、タトゥーや刺青に対して嫌悪感を抱く人が少なくありません。関東弁護士会連合会の2014年の調査では、「イレズミを入れた人を実際に見た時に、どのように感じましたか?」(複数選択可)という質問に対して、51.1%が「不快」、36.6%が「怖い」と回答しました。今回のポスターをめぐっても、ネット上では「日本ではタトゥーが受け入れられにくいからでは」などと、いぶかる声が散見されます。


 日本の世論を意識した「タトゥー隠し」の意図はあったのでしょうか。この点について、ディズニーは「ないです」と明確に否定しました。公式サイトで公開されている予告編にはマウイも登場しており、日本版ポスターがモアナ中心になったのは「感情移入しやすいよう、ヒロインのモアナをフィーチャーした」ということです。

 『イレズミと日本人』(平凡社新書)の著者で、都留文科大学教授(文化人類学)の山本芳美さんは「タトゥーの精神性やポリネシアの文化をしっかり押さえている映画。いわゆるプリンセスものにとどまらない、新しい物語を紡ぎ出している点も素晴らしい」と「モアナ」を高く評価。そのうえで「いい作品だけに、ポスターで十分にメッセージが伝わらなかったのはもったいなかった。変に勘ぐられるようなことをせず、海外版と同じポスターでよかったのでは」と指摘しています。

最後のキング・オブ・タトゥーを彩った美女たち
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