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コラム

暴言の訳、発達障害だったなんて…〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く

漫画家・吉谷光平さんが、新聞投稿を元に描きました。

漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん

 夫に発達障害の疑いがあるとわかったことで、暴力や暴言の原因に納得がいった――。ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが、新聞投稿を元に描きました。

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漫画「夫の発達障害」=作・吉谷光平さん
漫画「夫の発達障害」=作・吉谷光平さん
 夫に発達障害の疑いがあるとわかったことで、暴力や暴言の原因に納得が行き、救われた――。そんな妻が「自分を大切に生きたい」と決意を記した朝日新聞への投書に、切実な声が寄せられています。

漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
 広島県の60代女性は「結婚して35年、夫の偏屈で身勝手な言動に苦しんできました」とメールを寄せました。

 息子2人との七五三の記念写真に夫はいません。予約した写真館に行く間際、「わしはいいわ」と出かけてしまったそうです。祖父が残したお金を息子たちの学費に使おうとしたら、夫は平然と「もうない」。パチンコにつぎ込んでいました。義母に相談すると、女性が家庭をおろそかにしたせいだと、逆に責められたといいます。

 女性は精神的に不安定になり、皿を床に投げつけるなどしました。昨秋、本屋で発達障害に関する本に出会い、「夫はまさにこれ」と確信。「特性を持っている夫やあなたは悪くない」との記述に救われたそうです。
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん

 発達障害のうち、言葉や知的能力に遅れのないアスペルガー症候群などには、相手の気持ちを想像したり、場の雰囲気を読んだりするのが苦手な特性があります。

 世間的には問題なくみえる夫への不満を訴えても周囲に伝わりにくく、妻はさらに追いつめられる。医学用語ではありませんが、予言を信じてもらえなくなったギリシャ神話の登場人物になぞらえ、「カサンドラ症候群」とも呼ばれます。

 カサンドラは妻に限りません。ただ、アスペルガー症候群は男性の方が多く、経済力の差や伝統的夫婦像の影響もあり、妻の方に深刻な例が目立つといいます。
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
 夫との関係や周囲の無理解に苦しむ妻の自助会も、各地にできています。

 大阪市で開かれる会を主宰する50代女性は、障害が疑われる夫との関係に約30年悩んできました。熱があり「大丈夫?」と言ってほしいのに、夫は「寝れば」。会を続けて「共感を求められるのは迷惑なのだと、夫の側に立てるようになった」といいます。

 ただ、会は助言の場ではないと強調します。「言葉にすることで考えを整理し、次の一歩を見つけてほしい」。解決にならないと来なくなる人も、夫との関わり方を決めたと巣立つ人もいます。「止まり木のような形で利用してくれればいい」と話します。
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「夫の発達障害」の一場面=作・吉谷光平さん

 【よしたに・こうへい】 漫画家。サラリーマン生活や漫画家アシスタントなどを経て、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。月刊ヤングマガジンの連載「ナナメにナナミちゃん」の単行本1巻が発売中。ツイッターで公開した2ページ5コマの漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題に。

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