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コラム

宅配便、便利さの陰でパンク寸前 〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く

漫画家・吉谷光平さんが「宅配便」について描きました。

漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん

 便利なネット通販、その陰で……。ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが、宅配便について描きました。

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漫画「便利なサービス」=作・吉谷光平さん
漫画「便利なサービス」=作・吉谷光平さん
 宅配最大手のヤマト運輸が、荷物の扱い量の抑制を検討する見通しになりました。今春闘で労働組合から初めて要求があったためで、インターネット通販の普及と人手不足でドライバーなどの労働環境が厳しくなっていることから、労使で改善を模索するとみられます。
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
 ヤマトは宅配市場の5割近くを握る最大手。2016年度の荷物量は前年度比8%増の18億7千万個になる見通しです。ネット通販の普及で荷物量は右肩上がりに増えていて、5年前と比べると3割増。スマートフォンの普及を背景にネット通販はさらに拡大しそうで、伸びは収まりそうにありません。

 朝日新聞の取材に対し、都内を担当する30代のドライバーは「扱う荷物の4割ぐらいをアマゾンの段ボールが占めている感じ。ほかにもゾゾタウンやアスクルなどネット通販の荷物が目立って増えているが、今一番困らされているのはアマゾン」と打ち明けました。

 業界2位の佐川急便が数年前、利幅の薄い荷物は引き受けない戦略に切り替え、ネット通販大手アマゾンの荷物がヤマトに流れてきて、現場にしわ寄せが来ているようです。また、「ゆうパック」を扱う3位の日本郵便も、10年の日本通運の「ペリカン便」との統合時に起きた大規模遅配の反省から量を追うことに慎重で、ヤマトに荷物が集中しやすくなっています。
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
 日中は不在の世帯が多く、荷物を置いて帰れる宅配ボックスは、いつも他の宅配業者との奪い合い。大型マンションだと、午前中にほぼ埋まってしまいます。そうなると不在票を書いて、再配達に行かなければなりません。「平日の午後8~9時と土曜日の午前中に再配達の依頼が集中するので、必死で配ってます」。

 始業時間は午前8時ですが、配達を始める時間が遅いと持ち帰る荷物が増えるので、午前6時には出社して仕分け作業をしているといいます。
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
 アマゾンや楽天、ヤフーに代表されるネット通販は00年代に急成長。経済産業省によると、15年の市場規模は7兆2398億円で、6兆円を割り込んだ全国の百貨店の年間売上高をすでに上回っています。

 サービス競争は激しく、「送料無料」や、商品が届く「早さ」を競うサービスが急拡大。その分、玄関まで商品を届ける宅配業者の負担は確実に増しています。
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん
漫画「便利なサービス」の一場面=作・吉谷光平さん

 【よしたに・こうへい】 漫画家。サラリーマン生活や漫画家アシスタントなどを経て、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。月刊ヤングマガジンの連載「ナナメにナナミちゃん」の単行本1巻が発売中。ツイッターで公開した2ページ5コマの漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題に。

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