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リボンの長さ=6年で伸びた身長 卒業生81人へ、保健室の先生手作り
卒業生に配られた手作りの「成長記録」。右上の赤いリボンは、小学校の6年間で伸びた身長に応じて一人一人長さが異なります。
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卒業生に配られた手作りの「成長記録」。右上の赤いリボンは、小学校の6年間で伸びた身長に応じて一人一人長さが異なります。
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卒業生81人に配られた手作りの「成長記録」。小学校在学中の身長と体重の推移をグラフにしたもので、右上には赤いリボンが結ばれています。実はこのリボン、6年間で伸びた身長に応じて1ミリ単位でそれぞれ長さが異なります。作ったのは赴任2年目の養護教諭。「私は通知表を渡せないので、それぞれの顔を思い浮かべながらリボンを切って結びました」と話す彼女に話を聞きました。
東京都東村山市にある市立回田小学校。卒業式の前日、6年生の各クラスで「6年間の成長記録」と書かれた紙が、一人一人に手渡されました。
男子はグリーン、女子はオレンジの台紙の上に、生徒の身長・体重がどのように変化したかがわかる折れ線グラフが貼り付けてあります。それぞれの生徒の名前の下には、こんなメッセージが書かれています。
「入学してから今日までの間にずいぶん大きくなりましたね。これからも健康に気を付けながらたくさんのことにチャレンジして、体と心をもっともっと成長させてください。卒業、おめでとうございます」
右上に結ばれた赤いリボンは、6年間で伸びた身長と同じになるよう各生徒ごとに1ミリ単位で切られています。作成したのは養護教諭の渡部史弥さん(31)です。
「担任の先生が手渡す際、リボンの長さについて説明してくれたようで、受け取った後に『先生ありがとう!』ってわざわざ保健室に来てくれる子もいました。やっぱりうれしいですね」
渡部さんが成長記録を作ったのは今回が4回目。きっかけは、養護教諭として働くことが決まって研修を受けていた際に「成長のグラフを作ってプレゼントしている先生もいるよ」という話を聞いたことでした。
「ただグラフだけじゃ味気ないかなと思っていたら、身長と同じ長さのリボンを付けている先生がいるらしいという話になって、それじゃ私もやってみようと思ったんです」
最初に赴任した東京都北区の小学校では約30人分、翌年は板橋区の学校で約70人分を制作。昨年は回田小で約70人分を、今年は81人分を作りました。
「個人情報なので学校の外には持ち出せません。かといって、生徒が保健室にいるときだとバレてしまいます。生徒が下校した後に、こっそりコツコツ作業してました」
最初の2校は1年で異動だったため、なかなか顔が一致しませんでしたが、回田小で作るのは今回が2回目。一人一人の顔を思い浮かべて「あの子、こんなに身長が伸びてたんだ」と感慨にふけりつつ、リボンを切って結んでいたそうです。
今年3月下旬、成長記録を受け取った生徒の家族が、「これを学年全員分作った保健室の先生すごいわ」とツイッターに画像付きで投稿。それを見つけた卒業生が学校に来て「先生、これ知ってる? 有名人だね」と教えてくれたそうです。
「びっくりしました。生徒全員に同じように関わることはできなかったけれど、『みんなのこと、ちゃんと見てるよ』って気持ちが少しでも伝わったなら、うれしいです」
場所によっては200人近い卒業生がいる学校もあります。「もし、そんな学校に赴任しても、同じように一人一人に成長記録を作るんですか?」と、ちょっと意地悪な質問をしたところ、こんな答えが返ってきました。
「6年時の身長を測るのは1月なので、そこからコツコツ準備すれば、なんとかなります。みんなが喜んでくれるなら、続けていきたいと思います」
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