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お金と仕事

ESに悩んだらオタクになれ!ドルヲタ社会人が直伝「六つのメリット」

左からNMB48の山本彩さん、山田菜々さん、渡辺美優紀さん=南海電鉄・関西空港駅
左からNMB48の山本彩さん、山田菜々さん、渡辺美優紀さん=南海電鉄・関西空港駅 出典: 朝日新聞

目次

 「エントリーシートに書くことがない」と悩む就活生は少なくないでしょう。趣味がない、熱中するものもない、自分って薄っぺらい……。そんな悩める大学生に、オタクが手を差し伸べます。「それならヲタになればいいのに! いいことしかないよ!!」。充実した社会人ライフを送るヲタが「6つのメリット」を教えてくれました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)

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AKB48選抜総選挙に推しメンの名前が入った「特攻服」で参加したファン
AKB48選抜総選挙に推しメンの名前が入った「特攻服」で参加したファン 出典: 朝日新聞
これまでの授業
1回目 「『握手会=総合芸術』から学ぶ対人スキル」
2回目 「無理しない自己アピール方法」
3回目 「ES書くことないならヲタになろう」

 就活に役立つヲタ活を考えるこの企画。
 今回はふたりのアイドルオタク(通称ドルヲタ)が講師です。
 桝井政則さん(48)。

 ドルヲタ歴35年。中学生の時に河合奈保子(知らない人は検索してね)にはまって以来、様々なアイドルたちに愛(と金)を捧げてきました。ジャニーズも守備範囲だそうです。

 ちなみに、朝日新聞大阪生活文化部のデスクです。記者たちの原稿をチェックする管理職です。

桝井政則デスク。サイリウム(私物)を手にオタクの歴史を解説
桝井政則デスク。サイリウム(私物)を手にオタクの歴史を解説 出典: 朝日新聞

 もうひとりは、1、2回目にも登場した阪本輝昭さん(40)。

 ドルヲタ歴6年。もともと歴史ヲタでしたが、桝井さんの「布教」を受け、アイドルにはまったそうです。

 ちなみに、朝日新聞大阪社会部の遊軍キャップです。多くの若手記者を束ねるまとめ役です。

阪本輝昭記者(イラストで失礼します)
阪本輝昭記者(イラストで失礼します) 出典: 朝日新聞

「自分にあったヲタ活」できます

 今回は、ヲタになったらどんな充実した社会人ライフが待っているのか、語っていただきます。
 
 念のため最初に確認しますが、ヲタになると、ちゃんとメリットあるんですよね?

 

桝井デスク

いいことしかないですよ!!

 そんなお二人の話を聞くのは、引き続き津田塾大学に通う学生さん3人。  
 高橋さん、藤井さん、大橋さんです。

 

藤井さん

趣味がないのが悩みです。でも何をやればいいのか。

 

大橋さん

エントリーシートに書くことないなって嘆く学生は多いです。

 

高橋さん

日曜日、朝起きてテレビを付けて、気がついたら「行列のできる法律相談所」が始まってる(笑)。「私なにやってるんだろ」ってなります。

話を聞く津田塾大学の3人
話を聞く津田塾大学の3人 出典: 朝日新聞
 そんな3人にとって、何かに熱中しているヲタクは「うらやましい存在」。  
 ヲタになれば、どんないいことがあるのか、知りたいそうです。

 

学生

そもそもヲタ活って、仕事と両立できるんですか?

 

桝井デスク

僕が10代の頃は、ヲタ活と両立させるために、公務員を目指す人が多かったですね。収入は安定するし、土日はちゃんと休めるし、ちゃんと有給とれるし。残りの半分くらいは、「業界」を目指してましたね。

 

学生

業界?

 

桝井デスク

テレビ局とかレコード会社とか。ただ、今はヲタ活できる機会が増えてますから、両立はそこまで難しくないと思いますよ。昔は、「この日のコンサートに行けなかったらあと半年は会えない」だったけど、いまは平日土日問わず、接触イベント(握手会などアイドルと会えるイベント)の機会はたくさんありますから。自分にあったヲタ活がしやすいと思います。

 

学生

なるほど。

NMB48の山本彩さん。公演や握手会など「接触」の機会は多い
NMB48の山本彩さん。公演や握手会など「接触」の機会は多い 出典: 朝日新聞

ヲタ活メリット(1)「土日に必ず行くところがある」

 

桝井デスク

「土日に必ず行くところがある」って、ものすごく幸せなことですよ。
今日一日なにをしたらいいんだろう、とかないですから。
僕はいま大阪勤務ですが、東京に赴任していた2年間は、推しが出るイベントに行くために、関東一円のありとあらゆるイトーヨーカドーとイオンとアリオに行きました。もう地元民より詳しいんじゃないかっていうくらい。

 

学生

楽しそう(笑)

 

阪本記者

あと、仕事との両立で大事なのは、職場で信頼を培うことではないかと思います。

例えば記者は、よく会社から電話がかかってきます。取材の指示とか、原稿の問い合わせとか。そういうときは、事前に職場の上司に「○月○日の○時から○時までは電話に出られません。出ても後ろが歓声とかでうるさいと思います。終わった後に必ずコールバックします」と正直に言う。

 

学生

(笑)

 

阪本記者

大事なのは、その上司との約束をちゃんと実行することだと思います。
その繰り返しのなかで、「あいつはしょうがないな。でもやることはちゃんとやるだろう」と思ってもらうことが大事になってきます。

 

学生

日頃の積み重ねなんですね。

 

阪本記者

これは、ヲタ活に限りませんよね。
職場で「信頼」という貯金を貯めておけば、何かがあった時に引き出せる。

 

学生

おおお! 深い!!

山口県のローカルアイドルのライブ
山口県のローカルアイドルのライブ 出典: 朝日新聞

ヲタ活メリット(2)「職場を和ませる」

 

桝井デスク

まあ、「信頼」と「諦め」と「自己主張」かな。
ヲタ活って基本理解されないんで、周囲に「(その趣味は)理解できんけど、しゃーねーな」って思わせる。

一方で、働き続けないといけないんで、会社に必要とされ続けるように、信頼を築く。
いまの時代はいろんな働き方がありますからね。仕事ばっかりしている人だけじゃなく、趣味も仕事も大事にする人だっているわけですから。

 

学生

そうですよね。

 

桝井デスク

ちなみに僕の職場の机周りは、推しているアイドルの写真だらけですよ(笑)

 

学生

ええ~! 許されるんですね!!

桝井デスクの職場の机。アイドルグッズがたくさん
桝井デスクの職場の机。アイドルグッズがたくさん 出典: 朝日新聞

 

桝井デスク

仕事の役にも立つんですよ。

例えば僕が鳥取県の総局にデスクとして赴任していたのは、AKB48の第2回総選挙の頃(2010年)なんですが、まだ一般的な知名度は低かったんですね。
で、職場にAKB48の日めくりカレンダーをかけて、勝手に「1日1人メンバーを覚える運動」をやってました。「はい、今日は高橋みなみを覚えまーす」っていう感じで。

 

学生

(笑)

 

桝井デスク

朝日新聞の地方総局は、10人未満の小さな職場が多いんですが、若手からベテランまで幅広い年代がいるんですね。「覚える運動」は、職場を和ませる雰囲気作りとしてやってました。みんな、「またヲタデスクが言ってるよ」「興味ないですよー」とかいう反応をしてくれるので。

 

学生

いいですね~。

2015年末のNHK紅白歌合戦での高橋みなみさん
2015年末のNHK紅白歌合戦での高橋みなみさん 出典: 朝日新聞

ヲタ活メリット(3)「キャラアピールになる」

 

阪本記者

最近は、世間のヲタ許容度が上がってますから、「ヲタです」って自分から言うのはキャラアピールのひとつになるかも知れませんね。

 

学生

たしかに、そういうアピールをしている友だちもいます。

 

桝井デスク

ただ、ヲタが一般化したからか、受動的なヲタが増えましたね。握手会で「僕を釣ってください(魅了してください)」とか「笑わせてください」とか、アイドルに求める人が多いというのは、時代の変化を感じます。80年代は、アイドルに気を遣わせるなんて絶対にいけないことだった。僕らは100%尽くすのみ。何の見返りも求めないのが美学だと思ってたなあ。

1994年3月13日の朝日新聞朝刊に掲載された河合奈保子さんの記事。1980年代に活躍したアイドルのひとり
1994年3月13日の朝日新聞朝刊に掲載された河合奈保子さんの記事。1980年代に活躍したアイドルのひとり 出典: 朝日新聞

ヲタ活メリット(4)「一線を越えない矜恃が学べる」

 

学生

それだけ尽くしていると、アイドルと仲良くなるんじゃないですか?

 

桝井デスク

勘違いしそうにはなりますよ。
接触イベントで45分間1対1でしゃべる権利、とかありますしね。

 

学生

45分!? 面接か!!

 

桝井デスク

でも向こうは職業。こっちはファン。その一線は絶対に守ります。

社会人としても、自分の立場を理解して踏みとどまらなければならない一線ってあるでしょう? 例えば記者なら、どんなに取材相手と仲良くなっても、取り込まれてはいけない。
公益を考えて、批判をするべき時は、批判する。
記者だけじゃなくて、いろいろな職業に「誘惑」ってありますよね。

 

学生

深い……。

桝井デスクが着ていた推しグループのTシャツ。推しメンに「一生ついていきます ディステニー」と書いてある
桝井デスクが着ていた推しグループのTシャツ。推しメンに「一生ついていきます ディステニー」と書いてある 出典: 朝日新聞

ヲタ活メリット(5)「欲望に負けない長い目を養える」

 

桝井デスク

一線は絶対に越えない。
ヲタとしての矜持であり、社会人としてのプライドです! 

アイドルとファンの一線を越えて近付いたら、最悪の場合クビになるアイドルもいます。やっぱり僕にも承認欲求はありますから、勘違いしたくなる時もある。

でも「この世界を成り立たせているルールは何か」「自分が愛するこの世界を自分で崩してしまっていいのか」「目の前の欲望に負けずに長い目で見ろ」と、言い聞かせます。

 

学生

なんか、高尚なお話です!

 

阪本記者

だから桝井さん、アイドルのスキャンダル嫌いですもんね。

 

桝井デスク

こっちが全力で推してるんだから、アイドルだって一線は守ってもらわないと(苦笑)。

ヲタ活メリット(6)「業種を超えた友だちができる」

 

学生

ヲタになってなにか得したことってありますか?

 

桝井デスク

業種を超えていろんな友だちができますし、社会スキルも養えますよ。ヲタで団結して、ライブを壊そうとする厄介なファンを追い出したり、ヲタのコミュニティをまとめたりもします

 

学生

そんなことまでやるんですね。

 

桝井デスク

アイドルの事務所の相談にものります。「今後どうやって売り出すか」とか。

 

学生

ヲタ活からこんなにたくさん学べることがあるなんて、新鮮です。やっぱりヲタクがうらやましくなってきました。

 

桝井デスク

ぜひ、ヲタクになりましょう。オススメです。

最後にみんなで記念撮影。ありがとうございました
最後にみんなで記念撮影。ありがとうございました 出典: 朝日新聞

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