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2017年03月09日

お役所が婚活支援、実は昭和の初めにも 「充分信じ得る人々のみ…」

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東京市の結婚相談所に関する東京朝日新聞の記事

東京市の結婚相談所に関する東京朝日新聞の記事

 出会いの場を提供する「婚活パーティー」や、希望の条件を検索できるネットの「マッチングサービス」が盛んな中、お役所も縁結びの事業に乗り出しています。イマドキの動きかと思いきや、昭和の初めにも、自治体がつくった「結婚相談所」が人気だったとか。昔の新聞から様子を探りました。(朝日新聞校閲センター・菅野尚/ことばマガジン)

長野県婚活支援センター。2016年10月にオープンし、職員が相談を受け付けている

長野県婚活支援センター。2016年10月にオープンし、職員が相談を受け付けている

出典: 朝日新聞

昭和7年の新聞記事に


 恋愛結婚より見合い結婚が圧倒的に多かったとされる昭和初期に、自治体が出会いを後押しする取り組みが始まっていました。

 東京市(いまの東京都区部)が公営で全国初の結婚相談所を開く――と、1932(昭和7)年7月19日付の新聞記事が報じています。

1932(昭和7)年7月19日付の東京朝日新聞

1932(昭和7)年7月19日付の東京朝日新聞


 ちなみに、見出しにある「月下氷人」(げっかひょうじん)は、中国の故事からきた言葉です。

 「月下」は月下老人を略したもので、縁結びの神様のこと。「氷人」は氷の上で氷の下にいる人と話をする夢を見たため、その夢について占ってもらうと「結婚の手助けをする前触れだろう」といわれ、それが後に実現したことから、仲人を意味します。

 東京市の結婚相談所は、翌1933年4月にできました。

 「東京都結婚相談所62年の記録」(同相談所編集・1996年出版)を見ると、「それまで公設の結婚相談所はなく、私設の結婚媒介所が市内に13か所存在していた」そうです。

 ところが、私設は「世界的不況の中で営業状態は悪く不祥事件が多数起こっていた」そうで、「東京市社会局は市民が安心して配偶者を求めることができるよう、指導的立場で相談をし紹介する仕事を始めようという考えで創設」したと説明しています。

1933(昭和8)年4月7日付の東京朝日新聞夕刊

1933(昭和8)年4月7日付の東京朝日新聞夕刊

私設の結婚媒介所とは


 「私設の結婚媒介所」とは何でしょう。明治時代に「高砂業」と呼ばれる仲人業が現れ、大阪や東京に「縁組中媒取扱所」や「結婚媒介所」を名乗る結婚相談所ができたといわれています。

 ただ、「記録」に触れられているように悪質な業者もいて、問題も多かったようです。

 1930(昭和5)年7月には、「顔が悪けりや正直に 結婚仲介所へ厳しい取締」という見出しの新聞記事があります。

 「警視庁管下の結婚媒介所は六十余に及んでゐるが(略)営業上の策略から(略)美人でもないのに絶世の美人と広告したり、ことさらに年齢を偽はつてみたり(略)地位、職業、財産、学歴等を偽はつて申込者を釣るといふ悪行為が多い」ことから、取締規則をつくったと伝えています。

1930(昭和5)年7月4日付の東京朝日新聞

1930(昭和5)年7月4日付の東京朝日新聞

東京市の公設相談所は


 では、東京市がつくった公設相談所の仕組みはどんなものだったのでしょうか。

 申し込む人は、体格(身長・体重など)、職業、年齢、初婚か再婚か、連れ子の有無、結婚が遅れた理由、宗教、趣味、相手方への希望などを申告します。

 相談所は「厳密な側面調査」をして、「充分信じ得る人々のみ」を選び、「適当なカップルと見なされる二人が見付かった場合、初めて双方へ通知し」、相談するとしています。

 申し込みには1円が必要でしたが、「市長において特別の事由ありと認むる時」は免除されたそうです。当時、東京の小学校教員の初任給が45~55円(「物価の文化史事典」展望社)で、新聞の月決め購読料が1円ほどだったといいます。

 「記録」によると、私設の媒介所では「5円の申込料に、1円の見合料」「結婚成立となれば双方から25円」というのが当時の相場だったそうです。

 東京市がつくって1年ほど後のデータでは、申し込みが1159人(男性458人、女性701人)あり、審査を経てお見合いまで進んだのが315組、このうち37組が結婚しています。

 東京市の結婚相談所は、規模の縮小や第2次大戦中の休止などもありましたが、1996年3月末まで活動を続けました。60年代には登録が6千人を超えた年もあり、結婚成立が200件を超えた年も5回ありました。

 ただ、「『恋愛結婚』志向の高まりや、必ずしも結婚にこだわらない意識など、結婚観が大きく変化している」「結婚相手に対して厳しくかつ多様な条件を要求する傾向が強く、成婚率が大きく低下している」などの理由で、廃止が決まったそうです。

 いま、自治体の婚活パーティーは人気が高いようです。社会のありようや人々の価値観が変わっても、結婚に向けてお膳立てしてくれる公的な「おせっかい」は、ある程度ニーズがあるのかもしれません。

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出典:朝日新聞
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