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「大谷キター!」応援大使当てた月形町の悩み 肝心の特産品が…
「違うって、それ、大谷じゃないってー」。カメラを構える僕の後ろから、男の子の悲痛な叫びが聞こえます。「左だ左! だからぁ、左って言ってんだろ」。おじさんの野太い声も響きます。日本ハムが北海道内の市町村に選手を「抽選」で派遣する「応援大使」。今年の抽選会場には、並々ならぬ気合で臨んだ役場の職員がいました。
11月23日、札幌ドームでは日本ハムのファンフェスティバルが開かれていました。10年ぶりの日本一とあって、2004年の札幌移転後では最多となる4万6380人が来場しました。
握手会やサイン会、選手が投手と野手に分かれてのゲームなど多彩なイベントが催されるなか、いちばん注目を集め、熱気を呼ぶのが「応援大使」の抽選会。冒頭のカギカッコは、その一コマです。
日本ハムでは、2013年から選手が2、3人組のグループに分かれ、1年間の任期で道内市町村のPRなどに協力する「応援大使」の活動をしています。毎年18市町村ずつ、道内179市町村を10年で回る壮大な計画です。
市町村は、「応援大使」になった選手をポスターや広報誌、ホームページに起用できます。特産品等のプロモーションやイベントに、選手が協力するといったことも可能です。
抽選会は昨年まで、箱の中にある市町村名を書いた紙を選手がひく「ドラフト会議」方式でした。今年は選手がステージ上の幕の中から手だけを出し、市町村の代表は「この手は誰かな」と選び、握手して、ご対面、という流れになりました。
この抽選に並々ならぬ気合で臨んだのが、札幌から北へ50キロ離れた月形町です。
人口約3400人。町のファイターズ後援会事務局長で、町保健福祉課長でもある平田京子さんは、「4年ぐらい続けて希望を出していたのに、なかなか当たらなかったので」。
やっと対象の18市町村に入った今回、本番の「握手役」人選から力が入っていました。役場や観光協会の職員ではなく、小学5年生の男の子でした。
実は月形町には少年野球のチームがなく、隣の岩見沢市のチームに所属して野球をしているそうです。「一生懸命野球をがんばっているので」と平田さん。
当日、男の子は、ステージの向かって右端から出ていた手を握ります。幕の中から笑顔で出てきたのは、大谷でした。
大谷は来年1年間、先輩投手の新垣とともに、月形町の「観光大使」になります。大谷の人気はご存じの通りですが、新垣も多彩な一発芸で、杉谷と並ぶチームのムードメーカー。「うれしいです、よかったです」と平田さんの感激もひとしおです。
さあ2017年、月形町は2人を使って、どんな取り組みを展開するのでしょうか。町企画課の西川幸江さんに聞いてみました。ちなみに、名産って何ですか?
「メロンにスイカ。それと……、町内産のトマトを使ったトマトジュースです……」
ん、歯切れが悪いですけど?
「大谷君、トマト嫌いで有名なので……」
ど、どうする月形町!?
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