知っているようで知らない、ヤクザの世界。いまのヤクザって、どうやってお金を集めているんでしょう。本人たちに聞けない代わりに、ヤクザに詳しい専門記者に聞いてみる企画、第2弾です。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)
10億、15億
今回も、こたえてくれるのは朝日新聞東京社会部の緒方健二記者(57)。
暴力団など組織犯罪と事件の専門記者で、裏社会の取材歴は30年近くになります。
緒方記者、よろしくお願いします。

緒方記者
好きな俳優は、高倉健さんだそうです。
質問役は、ヤクザに興味津々の大学生ら若者9人。
いろいろ聞きたいことがあるようで、みんな前のめりです。


学生

緒方記者
シノギ。資金源ですね。
ヤクザの伝統的資金源は、賭博、覚醒剤などの薬物、恐喝、ノミ行為といったもの。ある時期からもう少し頭を使うようになりました。証券や不動産の知識を蓄えて、バブル景気の時代には、株や不動産で大もうけしました。

学生

緒方記者


緒方記者
保釈保証金という言葉を聞いたことがあるでしょうか。裁判所が、この金額だったら逃亡の恐れがないと、お金と引き換えにいったん社会に戻す制度があります。
さて、みなさんに質問です。司忍組長の保釈保証金はいくらだったでしょう? 分かる人!

学生

緒方記者
10億です。

学生

緒方記者
さて、じゃあその金額はいくらでしょう? 分かる人!

学生

緒方記者
違うんです。15億です。
いまどき、現金で10億、15億という金をぽんと用意できる組織や個人は、暴力団以外にはないでしょうね。それくらいの資金力だということです。

いまの収入源は

学生

緒方記者
いまの主な収入源は、覚醒剤と特殊詐欺でしょうかね。「オレオレ詐欺」みたいなやつです。

学生

緒方記者
特殊詐欺をやる側の人を探し出しては何度も取材をしましたが、完全にピラミッド化した組織構造で、細かく役割分担をしてるんですよね。てっぺんにいるのが、首謀者。ここにだいたいヤクザの幹部連中がいます。


緒方記者

学生

緒方記者
割のいい商売

学生

緒方記者

学生

緒方記者

学生

緒方記者
0.1だとちょっと多いね。
常習者になるとそれくらい使う人もいるでしょうけど、だいたいは0.03グラムです。ピンとこないでしょうけど、耳かきでほんのちょっと。
はい、じゃあ、この0.03グラムは、いくらでしょう!

学生

緒方記者
ネット上でも「アイス」だの「冷たいの」なんていう隠語で売っていますから、絶対に買っちゃダメ。興味本位での接触が人生を終わらせます。

学生

緒方記者
さきほどの特殊詐欺も、1件で300万、500万が手に入るわけで。こういう安易で、かつ一度に多額のもうけがでる商売にヤクザは突き進みます。

芸能界とのつながりは?

学生

緒方記者


緒方記者

学生

緒方記者

学生

緒方記者

画像でも稼ぐ

学生

緒方記者
彼らはネット上の画像も商売にしてます。
例えば、なんて言えばいいかな・・・。えー・・・皆さんが親しくしている人との・・・親しくしている場面などを・・・

学生

緒方記者
そういう画像でも金を稼ごうと、ヤクザたちはネット検索をしてます。私は技術的なことはわからんのですが、ネット上に出回っている画像から、彼らは投稿者の個人情報まで割り出すことができるそうです。

学生

緒方記者
だからみなさん、安易にネットに画像を載せないでね。それにこの種の画像はアップしたが最後で、未来永劫消えることはありません。と、ネット犯罪に詳しい警察幹部が言っておりました。
ヤクザの資金源が身近なところにまで及んでいることに、若者たちは、言葉を失っていました。
次は、暴力団の取り締まりの現状について、教えてもらいます。