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プロ野球MVP、誰が決める? Vチーム縛りの真相 悩ましい今年のセ
プロ野球は両リーグとも優勝が決まり、最優秀選手(MVP)、新人王争いが注目を集めています。パ・リーグのMVPはやっぱり日本ハム・大谷翔平? 新人王は20年ぶりに野手2人が選ばれる可能性もあるようです。(記録は9月末時点)
セの新人野手では、阪神の高山俊が打率2割7分8厘をマーク。後半戦は3番に定着しています。投手はDeNAの今永昇太が8勝9敗と健闘し、クライマックスシリーズ進出に貢献しました。
パでは楽天の茂木栄五郎は打率2割8分。早大時代の三塁手から遊撃手に転向して、規定打席をクリアしました。梨田昌孝監督は「欠かせない選手になった」と評価します。対抗は日本ハムの右腕・高梨裕稔。10勝2敗と成績は文句なしですが、入団3年目。1年目の茂木と比較してどう評価されるでしょうか。
野手で新人王となれば、セでは2010年の巨人・長野以来6年ぶり。パでは1998年の西武・小関以来、実に18年ぶりとなります。両リーグとも野手なら、96年の巨人・仁志、日本ハム・金子以来20年ぶり。
「勝利数」「防御率」「セーブ数」など成績が分かりやすい投手に比べ、野手は「本塁打、打率、盗塁、守備と項目が多い分、評価が割れやすいから難しい」(梨田監督)傾向があります。
「記者の方が考えている以上に、僕たちは評価している」。茂木の新人王について問われた梨田監督は、そう答えています。新人王やMVP、ベストナインなどは現場の首脳陣や事務局、解説者が選ぶのではなく、担当記者の投票で決まるのです。
セ・パ両リーグがプロ野球記者会に委託し、全国の新聞、通信、放送各社の経験5年以上の記者が記名投票します。記者の数は毎年変わり、セとパで投票数も少し差がありますが、ここ数年の有効投票数は250票前後。MVPは3人まで投票でき、得点は1位が5点、2位が3点、3位が1点。合計得点で決まります。
今季のMVPはパは大谷で決まりといえそうです。票が割れそうなのはセ。優勝した広島の打者では打率リーグ2位の鈴木、最多安打を記録した菊池、古巣で復活した新井らが候補でしょうか。投手では16勝で最多勝の野村、防御率2位のジョンソン、いやいやこの男抜きでは優勝はなかったと黒田を推す声もあります。
ところで、MVPで議論になるのが「優勝チームから選ぶべきかどうか」です。もしソフトバンクが優勝していたら、大谷ではだめなのか。
中日、阪神、楽天で監督を務めた星野仙一さんは「MVPは優勝チームから選ばれるのが筋だ」と言っていました。99年は新人の巨人・上原が20勝を挙げましたが、優勝は中日。星野監督が言い続けた効果もあったのか、19勝で優勝に貢献した野口が選ばれました。
筆者もかつては投票権を持っていました。迷ったのは2008年。パの優勝は西武でしたが、楽天・岩隈がリーグ23年ぶりの21勝を挙げ、5位のチームで奮闘しました。星野監督の言葉が頭をよぎりましたが、チーム65勝のうち、一人でほぼ3分の1を稼いだ岩隈に票を投じました。
「岩隈は(弱い)楽天打線相手には投げられないんだから。バックも下手だし。その中で21も勝つなんてすごい価値がある」と、皮肉まじりに記者仲間と話していました。見事、彼はMVPに輝きました。
優勝球団以外からのMVPといえば、古くは三冠王のロッテ・落合、不惑の本塁打王・南海の門田らが有名です。近年では13年にプロ野球記録の60本塁打を放ったヤクルトのバレンティンは、史上初の最下位チームからの選出でした。
発表は11月です。
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