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黒木瞳・西内まりや…といるけれど 「博多美人」って根拠はあるの?
日本三大美人のひとつとも言われる「博多美人」「福岡美人」。多くの芸能人が輩出し、インターネット調査でもトップになる福岡県ですが、なぜなのでしょうか。地元関係者に聞いてみました。(朝日新聞記者・比留間陽介)
「美人が多いと思う都道府県は?」
ジェイ・キャスト(東京都千代田区二番町)が昨年4月にネット上で実施したアンケートです。投票総数は約3千票。福岡は約500票を集めて1位に輝きました。
実際、福岡県出身の俳優やモデルも少なくありません。黒木瞳さんや篠田麻里子さん、西内まりやさん、橋本環奈さんら、テレビや映画などで多くのゆかりの人たちが活躍しています。ソニー生命保険が昨年末に公表した「47都道府県別生活意識調査2015」では、「有名な出身者の多さが自慢」の1位が福岡でした。
こうした美人説には根拠があるのでしょうか。郷土史研究家の岡部定一郎さん(86)は「商人の街」として栄えた博多の歴史に注目。アジア貿易の窓口として交流する中で混血が進み、「アジア美人」が生まれたと分析します。
一方、福岡大の高岡弘幸教授(民俗学、文化人類学)は、東京との「格差」が生んだ「作られたイメージ」だと指摘。高度成長期以降の旅ブームとメディアの発達が後押しし、東京から地方の「再発見」が行われたと見ています。
高岡さんは「美人」は全国にいるとした上で、「実数では人口の多い東京が一番だが、『東京美人』という言葉はあまり聞かない。福岡に美人が多いというイメージが広がり、『○○美人』として東京目線にはまった」と話します。
博多人形が一役買ったと分析するのは、福岡市博物館で主任学芸主事を務める松村利規さん(50)。
松村さんによると、博多人形には「美人もの」というジャンルがあり、1960~70年代に土産品として注目されました。博多人形を販売する「はくせん」の下澤善四郎社長(67)によると、この時期に親しまれた「美人もの」には現代風のぱっちりした目の作品が少なくないといいます。
諸説ある中、25年続く博多の女性でつくる街おこしグループ「博多ごりょんさん・女性の会」で会長を務める西川ともゑさん(69)は「心の美人」と断言します。気遣いができ、美しい博多弁を話し、目が優しく、笑顔がすてき――。「容姿だけじゃない。年を重ねても、しわの年輪も魅力的な人。そんな人が博多美人です」
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