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渡辺謙さん、語り継がれる「命の投稿」 新聞投稿欄に現れた有名人
インターネットがなかった頃、SNSのような役割を果たしていたのが新聞の投書欄でした。朝日新聞に読者投稿欄ができて、まもなく100年目。じつは過去に採用された中には、文豪やベストセラー作家、政治家、俳優など著名人もたくさんいます。話題になった投稿を振り返ります。
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インターネットがなかった頃、SNSのような役割を果たしていたのが新聞の投書欄でした。朝日新聞に読者投稿欄ができて、まもなく100年目。じつは過去に採用された中には、文豪やベストセラー作家、政治家、俳優など著名人もたくさんいます。話題になった投稿を振り返ります。
インターネットがなかった頃、SNSのような役割を果たしていたのが新聞の投書欄でした。朝日新聞に読者投稿欄ができて、まもなく100年。今も広く投稿募集を続けている「声」欄です。じつは過去に採用された中には、文豪や政治家、俳優など著名人もたくさんいます。最近では一般の人にまじって紙面掲載された内容が、ネットを巻き込んで盛り上がることも。話題になった投稿を振り返ります。
25年前から、今なお読者に語り継がれている「声」があります。1991年1月17日、米軍を中心とする多国籍軍がイラクを空爆した湾岸戦争。その翌月の2月7日、俳優・渡辺謙さんの投書が紙面に載りました。当時、31歳だった渡辺さんは急性骨髄性白血病で闘病中でした。
タイトルは「命の大切さを私は訴えたい」。病床からのメッセージは、大きな反響を呼びました。他の読者の投稿にたびたび引用され、今年3月にも「渡辺謙さんの反戦、今も共感」という主婦の投書が大阪本社版に掲載されています。
最近では、8月に精神科医・香山リカさんの投書が載りました。東京都知事選の出来事にふれ、「選挙で『魂の殺人』は許せない」とヘイトスピーチの問題を訴える内容でした。投稿はネット上でも注目され、様々な議論を呼びました。
香山さんはツイッターで4万人を超すフォロワーがいますが、なぜ新聞投書欄を意見表明の場に選んだのでしょうか。理由について、香山さんは「ツイッターの読者はどちらかというと若年層が多い。高齢者を含めた幅広い世代と、都知事選の有権者以外の方々にもヘイトスピーチの問題を知ってほしかった」と話します。
香山さんが新聞に投書したのは、「今回が生まれて初めて」だったそうです。投書欄の今後については、「多様な言論がある中で、言いたいことが言いにくい、萎縮している世の中。賛否の両論併記で変にバランスを取るより、新聞ごとに投書欄のカラーをしっかり打ち出してほしい」と期待します。
■香山リカさん(精神科医) ヘイトスピーチの解消を目指す対策法が施行され、ヘイトデモが中止になるなど一定の効果が出ている。そんな中、東京都知事選に数多くのヘイトデモを実施してきた排外主義団体の元会長が…
4年前にはツイッターを交えた意外なバトルもありました。「三毛猫ホームズ」などで知られる作家・赤川次郎さんが2012年4月、当時の大阪市長だった橋下徹氏に向け、「価値観押しつけるな」と抗議の投書をしたのです。いくつかの政策を挙げて痛烈批判したところ、それを読んだ橋下氏本人もツイッターで猛反論。ネット上でも、やりとりが話題になりました。
戦後まもない頃は「大物」が続々と投稿していました。1951年3月には池田勇人大蔵大臣(のちの首相)が「私の方針」と題して、一般読者の声に答えています。
「蔵相へお願い」と書いた投稿主は、物納財産をめぐる国の対応に不満をもつ無職の男性でした。「財務局から聞くにたえない暴言を浴びた」「涙をのんで会社を辞め、社長に借金して完納した」と窮状を訴えたのです。池田蔵相は、それから5日後の紙面で「お話のような無理な金策まで強いる結果になるようならば非常にお気の毒だったと思います」と同情を交えながら、自らの方針を説明しました。
ほかにも志賀直哉や谷崎潤一郎ら昭和の文豪や、民俗学者の柳田国男の投書が採用されています。
投稿が何度も載った「常連」作家もいます。代表作「人間の証明」「悪魔の飽食」ほか、多数のミステリー小説で知られる森村誠一さんです。採用回数は記録に残るだけで9回。2013年5月に「犠牲払って得た憲法、尊重望む」と書いてから昨年まで、年2~3本ペースで平和と民主主義の危機を訴え続けています。
昨年9月には、安保法案反対デモについて書いた投書が掲載されました。自身の公式サイトでは制限字数に収まりきらなかった部分まで、「原文」として全文公開しています。
朝日新聞2015年9月13日「声」原文
1917年2月に始まった朝日新聞の投書欄。当初は鉄のほうきを意味する「鉄箒(てっそう)」というタイトルでした。後に「声」と名を変えましたが、昔も今も有名人のみならず、子どもから大人まで誰もが投稿できるコーナーです。
現在、東京と大阪の声編集部には毎月5千通前後もの手紙やファクス、メールが届くそうです。大阪本社版の声編集長・塩谷祐一さんに投稿のポイントを聞きました。これを知れば、あなたも採用に一歩近づくかもしれません。
塩谷さんは「編集者全員がすべての投稿に目を通すので、読んでニヤッとしたりホロッとしたり、あるいはホーッと感心したりする投稿が選ばれやすいでしょう」と話します。字数は550文字以内。ちなみに投稿が掲載されると、3千円の図書カードが進呈されるそうです。
朝日新聞デジタルのオピニオンについてのページです。一番下に「声」の募集要項があります(PC版のみ)。
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