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男のポールダンス、しびれる演技「ストリップ?」偏見はねのけ王者に
ポールダンスはエロでもなく、女性だけのものでもない!そう、男性ダンサーのパワフルな演技も魅力なのです。日本の男性ポールダンサーのパイオニア、大阪市の中和也さん(34)は、最愛の母に「見たくない」と言われても、めげずに練習を重ね、2012年の世界大会でダブルスで優勝。個人としてもこれまで6度世界大会に出場するなどの成績を残しています。
中さんがポールダンスに出会ったのは8年前。学生時代からの友人で、後にダブルスで世界チャンピオンとなる岡本雅世さん(33)に誘われて、クラブに行ったのが始まりでした。
「どうせくねくねしたダンスなんやろ、と冷やかしで見に行ったので、度肝抜かれました」。小柄な岡本さんが腕だけで体を支え、まるで無重力のような技の数々。「なんやこれ!おれもやってみたい」。
さっそく、岡本さんが運営するポールスタジオに行ってポールを触ってみるも、「全然できない。なんでや悔しい」。
それから週に1度のペースでスタジオに通い始めるようになりました。中学時代は吹奏楽部員でダンス経験ゼロ。でも、一つ一つの技ができるようになるのが楽しくてすぐに夢中になりました。
一方で、「ポールダンス」自体も「ストリップショー」のイメージが根強くありました。ましてや、男性ポールダンサーというジャンルがあることすら知られていません。
「友達には『小さいパンツはいて踊ってるんやろ』と言われてましたね。でも一番ショックだったのは、母親に『見たくない』って言われたことですね」。お母さん子だった和也さんにとって、母親の晶子さんに自分の頑張っている姿を否定されることはとてもショックな出来事でした。
実は、晶子さんはその頃、乳がん「末期」と診断されていました。しばらくは自宅療養をしていましたが、50代と若かったこともあり、がんは早く進行していきました。
初めての世界大会前日、入院中の晶子さんに、中さんは「行ってもいい?急変しやんといてな」と言い残し、会場のある東京に向かったそうです。
結果は、初出場でありながら堂々の2位。「初めての男性枠だったこともあり、有名選手も出場していなかった。ダンス経験がないだけに、ダンサーがあまり使わないビジュアル系バンドの曲で踊ったのもうけたのかもしれない」と振り返ります。
ところが、大会2日後。東京で海外選手のワークショップを受けている途中、中さんのもとに病院から電話が。晶子さんの危篤を告げるものでした。
あわてて、奈良の病院に駆けつけると「まるでドラマのように」親戚たちが、晶子さんのまわりを取り囲んでいたそうです。「ぼくを待っていてくれたみたいで、最後に1度だけ意識を取り戻したんです。何を言っているのかはわからなかったのですが、涙を流していました」。
中さんは一度も、晶子さんにポールをしている姿を見せることができませんでした。「でも、あの涙は『よく頑張ったね』という涙だったとぼくは解釈しています」。
ストリップではない、スポーツとしてのポールを広めるためには、世界を舞台に結果を出すしかない。中さんは2011年のロシアでの国際大会優勝など、世界大会や国際大会で「日本人男性初」の記録を塗り替えていきました。
最近では、チュートリアルの徳井義実さんや、小島よしおさんらが筋トレやダイエットとしてテレビで紹介していることもあり、男性ポールダンサーの存在も珍しくなくなりました。
現在、中さんが指導しているポールダンススタジオでは、200人いる生徒のうち約1割が男性だそうです。始めるきっかけは、ショーを見て憧れた、筋トレの一環…など様々です。
「いつか男性ポールダンサーだけのショーをしたいなあ」と話しています。
中さんはただいま7月23、24日にイギリスで開かれる世界大会に向け、猛練習中です。「まずは金メダルとってきます!」と張り切っています。
4メートルのポール2本を使い、音楽にあわせて踊る「ポール・スポーツ」。夜のショーで踊られる「ポールダンス」が発祥で、競技人口は世界で100万人と、広がりを見せている。男性ポールダンサーも増えており、…
♯かっこよく新聞読むさん(@kakkoyomu)が投稿した写真 -
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