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自動ドアを前足タッチ…警備犬ジャックの出勤風景、被災地を癒やす
「可愛すぎる」とツイッターで話題。
自動ドアに犬用の開閉ボタンを設置している熊本市のお店が、ツイッター上でたびたび話題になっています。記者が訪ねると、ボタンを自分の足で押してさっそうと店に入っていく一匹の犬「ジャック」の姿がありました。店の社長の飼い犬であるジャックは熊本地震後、車中泊を続けていますが、店には今日も元気に「出勤」しています。
話題の店は熊本市東区にある熊本合カギセンターです。鍵の交換や合いカギ作りなどを幅広く請け負っています。
中に入ると、柴犬のような見た目の犬がちょこんと座っていました。首には「お仕事中です!警備係ジャック」の文字。まさか、この犬は社員ならぬ社犬…?
気になっていると、ジャックは、店員の村上悟さん(42)が開けた裏口から出て行ってしまいました。しかし数分後、店の入り口の自動ドアの前にジャックの姿が。自動ドアの入り口の「お客様用」ボタンのはるか下にある「犬用」のボタンをジャックが左足をあげてこするように押します。
ドアが開くと、さっそうと中に入るジャック。これは一体…。村上さんに話を聞きました。
店に犬用ボタンができたのは2008年ごろ。自動ドアが押しボタン式だったので、社長が当時飼っていた初代警備犬の「ロック」が、客について店の外に出てしまい、店に戻れなくなることがあったためだったといいます。
ロックが押せるようにと、客用のボタンのはるか下に犬用ボタンを自前で設置。すぐに覚えて自分で開けて入るようになったのだとか。ロックは13年に老衰で死にましたが、その姿を小さい頃から見ていたジャックも自然と開けるようになったのだそうです。
ロックやジャックはテレビや新聞で取り上げられたこともあり、珍しい光景を見に来る客も多いそうです。最近ではインターネット上でも「かわいい」「すごい」などと取り上げられ、台湾など外国からの客までいたとか。ジャックの機嫌がいい日は何度も出入りして見る人を喜ばせています。
ジャックは、熊本地震で大きな被害を受けた益城町の出身。激しい揺れが襲った時、ジャックは益城町の社長の自宅にいました。揺れの恐怖がよみがえるためなのか、地震後は家には入りたがらず「車中泊」を続けているそうです。
それでも、店に出ると元気な姿で「仕事」をして社員や客たちを笑顔にしています。村上さんは「みんなかわいがってくれて、ジャック目当てでドッグフードを持ってきてくれる人までいます。『看板犬』以上の存在の警備犬で、お店のシンボルですね」と話していました。
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