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2016年05月17日

CG女子高生「Saya」が超リアル 「不気味の谷」超えた執念の手描き


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リアルさに磨きをかけている「Saya」=Telyuka提供

リアルさに磨きをかけている「Saya」=Telyuka提供

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 昨年秋、一人の美少女「Saya」の画像がツイッターに投稿され、大きな反響を呼びました。実在の少女を写したような圧倒的にリアルな画像が、すべてコンピューターグラフィックス(CG)で描かれたものだったからです。あれから半年、Sayaの進化は止まっていません。街中での実用化に向けた研究も始まりました。

「不気味の谷」越えた自然さ

 慶応大学日吉キャンパス(横浜市港北区)の研究室を訪れると、巨大なディスプレーが置かれていました。

 シャープから提供を受けた超高画質の「8K」テレビです。幅1.8メートルの大画面には、等身大のSayaが表示されています。

 「画面の前に立ってみてください」

 杉浦一徳・准教授に促されて画面の前に立つと、視界が画面で覆われ、目の前に実在の少女が立っているような臨場感があります。微妙な色合いの肌、あごまでの長さの髪、白いシャツに赤いスカート・・・目の前にいるのは、現実離れしているほど整った顔立ちの少女ですが、どの部分を見つめても不自然さはありません。

 まばたきや髪の毛の揺れなどのかすかな動きが、存在感をさらに高めています。

 ロボットやCGを、人間など実在するものに似せようとした場合、ある段階で極端に不快に感じられる現象を「不気味の谷」と呼びます。しかし、目の前に映されたSayaには親近感すら湧いてきます。

 杉浦准教授が研究しているのは、Sayaを活用した次世代の「デジタルサイネージ(電子看板)」です。ディスプレーに窓枠を表示して、その向こうにSayaが立っている風景をリアルに表示するソフトを開発しています。超高画質なディスプレーや、通行人の動きを見分けてSayaの視線を動かす画像認識技術などを組み合わせることで、「窓の向こうに本物の人間が立っているのか、CG映像を映しているのか区別がつかなくなるような表示を目指しています」。

 Sayaのリアルさは、電子看板を使いやすくするのに大きく役立つといいます。

 「例えば、観光客を道案内する電子看板。今でも画面を押して目的地を探すものはありますが、いかにも情報機器という感じがするものが多い。Sayaを通してお年寄りや外国人、機械が苦手な人でも、知人に道を聞くように気軽に使ってもらえるものにしたい」

対面すると、本物の人間が目の前にいるような臨場感がある

対面すると、本物の人間が目の前にいるような臨場感がある

「日本人の少女」は難しい

 Sayaを制作した石川晃之さんと、友香さん夫妻は、「Telyuka」の名前で活動しているフリーのCGアーティストです。昨年10月、友香さんが、自主制作作品を紹介するつもりでツイッターにSayaの画像を投稿。すると「めっちゃくちゃリアル」「どこかのアイドルかな?」と想像もしなかったほどの反響が寄せられました。海外のCG専門誌などに掲載されたほか、広告やテレビ番組などでの使用依頼もあったといいます。

 個人制作のため時間や人手が限られるなか、数ある申し出の中から選んだのは、Sayaの技術を大学や研究機関、先端機器メーカーに生かしてもらう道でした。アートとしての完成度を高めつつ、現在は慶応大やシャープなどと連携し、社会での役立て方を研究しています。


 Telyukaが、Sayaの制作をスタートさせたのは昨年春のことです。5年ほど前から、外国人の男性や女性のCGは作ってきました。ただ、同様のCGはハリウッド映画の世界でもよく目にします。しかし、「日本人の若い女の子」を違和感なくCGで表現するのは、さらに難易度が高いことだといいます。

 晃之さんは「肌がきれいで平面的な女子高生の顔は、しわや凹凸といった情報が少ないので、ごまかすことができない。実写のようにリアルに見せようと思っても、アニメっぽく見えてしまう。生きている感じを出すのが本当に難しい」。

 しかし、だからこそ挑戦しがいがある、と二人は考えました。

 それを実現するには肌や服、髪などすべての要素を、徹底的に分析してリアルなCGとして再構築していく地道な作業が必要でした。

右から石川晃之さん、友香さん、杉浦一徳准教授、協力企業ロゴスコープ社のジャナック・ビマーニさん

右から石川晃之さん、友香さん、杉浦一徳准教授、協力企業ロゴスコープ社のジャナック・ビマーニさん

リアルさ追求 最終手段は「手描き」

 人間の肌をCGで表現するには、本物の人間の写真を取り込んで貼り付ける場合もありますが、Sayaでは繊細な女子高生の肌を再現するため、手描きで丹念に色合いを重ね合わせています。

 晃之さんは「単純に写真を取り込んでも、人形のように不自然さが残るケースがある。効率化が進むCG業界の流れに逆行しているかもしれませんが、自分たちには、時間をかけて少しずつ進めていく作業があっているのかもしれません」と話します。

 制服にも工夫があります。型紙からつくる現実の服と同じように、ソフトウェア上で袖や胴回りなど何枚ものパーツを組み合わせています。現実に近い動きを計算させることで、しわが自然に見えるようにしています。無地に見えるソックスも、編み目や表面の毛羽立ちまで再現。筋肉や髪の毛などにも、一見気づかないほどの作り込みを積み重ねることで、Sayaが現実に存在しているかのような感覚を持たせようとしているといいます。

 ただ、現在公開しているSayaは、まだ「旧バージョン」。さらに髪の毛や肌の質感、造形を向上させたSayaを制作中です。

 そこで課題になっているのはリアルさの追求とともに、どうやってCGならではの魅力を残していくか、だといいます。

 友香さんは「生身ではないCGだからこそ、表現できる人間の魅力もある。どこまで本物の人間に近づけていけばいいのか、試行錯誤しています」。

ソックスは毛玉や毛羽立ちまで再現されている=Telyuka提供

ソックスは毛玉や毛羽立ちまで再現されている=Telyuka提供

筋肉の作りも考慮して制作している=Telyuka提供

筋肉の作りも考慮して制作している=Telyuka提供

もう一人、女子高生を制作中

 Telyukaは、今秋発表を目標にSayaを主人公にした1~2分間のショートムービーを制作しています。

 ムービーにはもう一人、女子高生を登場させる予定です。友香さんは「Sayaとは対照的なイメージのキャラクターになる予定。具体的な物語を描くというよりも、二人が登場するイメージ映像を作ろうと考えています」。

 また、その動画をもとに年内には、ゴーグル型の視聴装置で二人と同じ空間にいるように感じられる「VR(仮想現実)動画」を制作する予定です。

 友香さんは「アート作品としてSayaの技術を磨き、それを大学や最先端の研究者に、様々な分野で生かしてもらう。その好循環を目指していきたい」と話しています。

 「Saya」に関するWEBサイトは、以下の通りです。

Virtual Human Projects | Logoscope

telyuka

顔、靴、ソックス・・・リアルすぎる「Saya」の姿
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Telyuka提供
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