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太鼓の達人が騒音に? 意外と響く…マンションでのトラブルご注意
家庭用ゲームも発売されている「太鼓の達人」。いい気分で夜中にドンドコたたいていると、思わぬ近所迷惑になってしまうかも。メーカーも、音や振動、遊び方に気を付けるよう注意喚起しています。
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家庭用ゲームも発売されている「太鼓の達人」。いい気分で夜中にドンドコたたいていると、思わぬ近所迷惑になってしまうかも。メーカーも、音や振動、遊び方に気を付けるよう注意喚起しています。
ゲームセンターでよく見かける、音楽ゲーム「太鼓の達人」。Wii Uなど家庭用も発売されており、太鼓とバチの専用コントローラーを使って遊ぶことができます。ところがネット上には、マンションなどの近隣住民によるプレー音が響くとして、「引っ越したい」「毎日イライラする」と騒音に悩む人の声も。メーカーは、音や時間帯に注意するよう呼びかけています。
ネットには「本当にうるさい。やめてほしい」「天井からリズム良く騒音が聞こえる」「不眠です」といった書き込みが散見されます。
太鼓の達人を発売するバンダイナムコエンターテインメントはパッケージや説明書、CMで「振動や音、遊ぶ時間帯などに気をつけて遊んでください」などと注意喚起していますが、それでも「音が大きい」など、過去に数件の問い合わせがあったそうです。
ツイッターのアンケート機能を使い、マンションなどで太鼓の達人をプレーすることの是非について問い掛けたところ、「日中は問題ないが、夜間はやめてほしい」が62%、「迷惑」が25%、「気にならない」が13%という結果になりました(計245票)。
マンションの騒音問題について調べています。よろしければアンケートにご協力ください。
— 神庭亮介 (@kamba_ryosuke) March 8, 2016
【質問】マンションなどの集合住宅で、ゲーム「太鼓の達人」を太鼓とバチ型のコントローラーを使ってプレーすることについて、どう思いますか。
約22万世帯、2千の管理組合で構成するNPO法人「全国マンション管理組合連合会」の川上湛永事務局長は、太鼓の達人など音ゲームの騒音苦情について「把握していない」としつつ、「ゲームをしているのが子どもだと、迷惑を掛けていることに気がついていないかもしれない。親御さんがしっかり注意する必要がある」と指摘。
ほとんどの管理組合には夜間の楽器演奏を禁じる規約があるといい、川上さんは「音ゲームについても、楽器に準じた扱いとして規約の細則に定める手はある」と提案します。
マンションなどの集合住宅では、自分が思っている以上に音が響いている可能性もあります。
『苦情社会の騒音トラブル学』の著者で八戸工業大大学院の橋本典久教授(音環境工学)は「音には人の声や音楽など空気中を伝わる『空気音』と、コンクリートなどの固体を通じて響く『固体音』があります。空気音に比べ固体音の方が、音を出す側の意識が薄くなりがち。たとえば、スマートフォンを床に置いておくと、夜中にメールが来るだけでも階下に振動が伝わることがあるんです」と説明します。
スマホの場合、フローリングの床に直接置くことを避け、クッションや布団など柔らかいものの上に置くと振動音が緩和されるそうです。太鼓の達人でも、太鼓型コントローラーと床の間に柔軟な素材でできた何らかの「緩衝材」を挟むことで、階下への騒音をいくらかは軽減できるかもしれません。
なかには、防音目的でコントローラ-の空洞部にタオルやティッシュを詰め込む人もいますが、こうした改造は故障の原因になりかねず、おすすめできません。
それでは、マンションの騒音に悩む側は、どう対応すべきなのでしょうか。いきなり相手方に注意に行くと、感情的な対立に発展してかえって事態が悪化することも考えられます。管理組合や管理会社に相談のうえ、以下のように段階を追って冷静に対応していくことが求められます。
(1)「居住者のみなさんへ」などと、全戸を対象に注意を呼びかける貼り紙・ポスティングをして様子を見守る。
(2)改善されない場合、個別に注意を促す。
(3)それでも収まらなければ、法的措置をとる。
しかし、一番の対策は「日頃から近隣住民との人間関係をつくっておくこと」だと、橋本教授は語ります。顔見知りの関係であれば「少し静かにしてほしい」というお願いもしやすいですし、多少音が響いても「仕方がない」と許容できるからです。
「音のトラブルの原因には、音量の大きさによる『騒音』と心理的な理由による『煩音』の2種類があります。防音対策で騒音を軽減できたとしても、相手との関係性次第では心理的な『うるささ』がかえって増すこともあり得る。ですから、マンションへの入居時には、両隣だけでなく下の住人にもあいさつしておくことをおすすめします」
最後に、太鼓の達人をめぐる騒音苦情について、バンダイナムコエンターテインメントに取材しました。同社経営企画部広報課は「(遊び方の注意喚起に関して)良い方法がないか検討していきたい」「音を小さくするための研究を進めるなど、改善対策を行っていきたい」としています。
ゲーム自体に罪はなく、一義的にはプレーヤーのモラルの問題だと言えます。時間帯や遊び方に気を配り、近所迷惑にならないように楽しくプレーしましょう。
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