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画期的!読む度に内容が変わる漫画 作者・浅野いにおさんの狙いは?

漫画家の浅野いにおさんが描いた「ふんわり男」という漫画が話題になっています。

読む度に内容が変わる漫画「ふんわり男」
読む度に内容が変わる漫画「ふんわり男」 出典: サントリーホールディングス提供

目次

 漫画家の浅野いにおさんが描いた「ふんわり男」という漫画が話題になっています。サントリーのホームページ上で公開されている描き下ろし作品で、読む度に違う内容が楽しめる点が特徴です。どうして、このような企画が生まれたのか? サントリーに聞きました。

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タイトルは「ふんわり男」


 「ふんわり男」のタイトルの下にはこんな注意書きがあります。「このマンガは、あなたがこのページにアクセスした回数によって内容が変化します」

 ストーリーは、大学を卒業して社会人として働いている女性のもとに、大学時代の後輩が訪ねて来るというもの。飲み会の席で女性の方から告白したけれど、なんとなく距離がある二人。最後は手をつないで、買ったお酒を手に女性の家へ向かうシーンで終わります。

 一度目に読むと、言葉に出していないお互いの気持ちを「余白」として十分に感じながら進んでいきます。これだけで十分に完結した作品です。

一度目は「ふんわり男」
一度目は「ふんわり男」 出典: サントリーホールディングス提供


 二度目に読むと、タイトルが「ふんわり男(に、ふんわり女は、何を思う)」と変わっていて、「ゆっくりスクロールして、ふんわり女の心の叫び、聞いてください」と書かれています。

 絵柄や構図は一度目とまったく同じ。ただし、下方向にスクロールして読み進めると、さきほどはなかった女性の心の声が、セリフとして浮かび上がってきます。「この場面では、こんなこと思っていたのか」と、違う視点から読み進めることになるため、別なストーリーを読んだ気分になります。

二度目は「ふんわり男(に、ふんわり女は、何を思う)」。女性の心の声がセリフとして浮かび上がる
二度目は「ふんわり男(に、ふんわり女は、何を思う)」。女性の心の声がセリフとして浮かび上がる 出典: サントリーホールディングス提供


 そして三度目。タイトルは「ふんわり男(は、何を思う)」となっており、今度は男性の視点から見たセリフが浮かび上がってきます。お互いに、こんなにも違うことを考えながら、同じ結末に至ったのかと驚かされます。

 四度目は一度目に読んだ内容と同じになるため、全部で3つの話を楽しむことができる仕掛けになっています。

三度目は「ふんわり男(は、何を思う)」。男性の心の声がセリフとして浮かび上がる
三度目は「ふんわり男(は、何を思う)」。男性の心の声がセリフとして浮かび上がる 出典: サントリーホールディングス提供

ホリエモンも反応


 これを読んだ人からは「漫画の可能性を広げている」「何回も読みたくなる」「とんでもない傑作」といった声が上がっています。

 ホリエモンこと堀江貴文さんもツイッターでこうつぶやいています。

 「すげー、この企画いい。吹き出しの出方もかっこいい、というか自然だし。思わずドキッとするね。これ映像でも応用できるかもだ」


サントリーに聞きました


 サントリーのお酒「ふんわり鏡月」の特設サイトで公開されているこの作品。どういったきっかけで生まれたのか? サントリーホールディングス広報部に話を聞きました。

 ――特設サイトでは「女子の妄想」をテーマに複数の漫画家が作品を発表していますね

 「ふんわり鏡月は飲み会など、賑やかなシチュエーションで楽しまれることが多いお酒です。今回のリニューアルを機に、より多くのかたに楽しんでいただくため、そうした大人数の場だけでなく『女性のひとりの時間』、つまり、ゆったりと、自分の部屋で自分の時間を楽しみながらくつろいでいるような時間にも楽しんでもらうにはどうしたらいいか、ということをテーマに検討を重ね、『妄想』にたどり着きました」

 ――「ふんわり男」のアイデアはどなたが提案したのでしょうか?

 「Web上で、マンガを使って商品をより理解してもらおう、ということと、デジタルを使うのであれば、デジタルでしかできない、かつてない表現に挑戦しよう、ということは私たちで決めていました。今回、5人の漫画家の方々に作品をお願いしたのですが、表現の例や演出手法をいくつかご提示させていただき、やりとりをしながら進めてきました。『ふんわり男』の、『ほぼ同様の構成で、登場人物の主観をモノローグで表現をする』というアイデアは浅野さんからいただいたもので、『アクセスした回数によって内容が変化する』という演出で仕上げることになりました」

「ふんわり鏡月」のCMイメージキャラクターである石原さとみさん
「ふんわり鏡月」のCMイメージキャラクターである石原さとみさん 出典: サントリーホールディングス提供

浅野いにおさんの思いは


 ――きっかけを教えて下さい

 「アイデアを考案した浅野先生に聞いたところ、以下のようなご回答をいただきました」

 『はじめに提案されたデジタル的な演出の中のひとつに、何らかの操作で男女の視点それぞれのストーリーが読めるようになる、というものがありました。時間の制約上、男女それぞれの漫画を描き下ろすことはできなかったので、あくまで同じコマ割り・構図・セリフでバリエーションを作り、同一作品を違った視点で楽しむことができる方法を考えました。イメージでいうとテレビ番組の副音声のような楽しみ方です。セリフとモノローグのギャップが面白さに繋がるはずなのでベースになる物語は素直でシンプルなものにしつつ、セリフや表情が男女それぞれの視点に変わった時にギャップを生むためのフラグになっているように調整しました』

 ――製作する上で工夫した点を教えて下さい。

 「まず、作家さんに制作をお願いをする段階で注意した点があります。作品を作って頂く際に、商品を無理に物語中に登場させたり、登場人物が商品を飲んだりするなど、いわゆる『商品説明マンガ』にならないように、という点です。タイトルとほんの少しのNG項目をお伝えしただけで、あとは作家のみなさんの創造性を信じて、『自由に描いてください』とお願いしました。結果としては浅野先生のマンガ内にもふんわり鏡月が登場していて、自然な形で商品の魅力を伝えることができているのではないか、と思います」

「ふんわり男(に、ふんわり女は、何を思う)」の一場面
「ふんわり男(に、ふんわり女は、何を思う)」の一場面 出典: サントリーホールディングス提供

「Web漫画の可能性が広がったかも」


 ――「画期的」「傑作」といった声が上がっていますが、反響について感想は

 「私たちの企画をうまく料理していただいて、素晴らしい作品に仕上げていただいた浅野さんには感謝の言葉しかありません。ひとりのマンガ好きとしても、『これはWeb漫画の可能性が広がったかも』と勝手にワクワクしています。『次の傑作』を生み出せるようにこれからもチャレンジを続けたいと思います」

 ◇ ◇ ◇

 作品への反響について、サントリーを通じて浅野さんから以下のコメントをいただきました。

 「作品の内容自体は商品の販促漫画として『?』な内容だったのですが、多くの人が読んでくれたことで多少肩の荷がおりました。今回は短い読み切り作品だから成立しているアイデアなので、今後この手法を使える機会は限られていますが、デジタルとの親和性が高ければ、大掛かりでなくとも漫画の仕組みを活かした発想次第で興味を引く作品は作れるという例になれたかなと思います」

 ◇ ◇ ◇

 下のフォトギャラリーの最後に「ふんわり男」へのリンクがあります。


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