IT・科学
全国のバスマニアが涙…宇野バスの位置情報システムが超マニアック
民間の路線バスとしては運賃が日本一安い、岡山市の「宇野バス」(宇野自動車)。14日、全国的にも珍しい「バス位置情報システム」の試験運用を始めました。
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民間の路線バスとしては運賃が日本一安い、岡山市の「宇野バス」(宇野自動車)。14日、全国的にも珍しい「バス位置情報システム」の試験運用を始めました。
民間の路線バスとしては運賃が日本一安い、岡山市の「宇野バス」(宇野自動車)。14日、全国的にも珍しい「バス位置情報システム」の試験運用を始めました。「バスマニア」向けのシステムで、同社の運行管理室のモニターに表示されているものと同じ画面を、ホームページ上で公開しています。開発担当者に狙いを聞きました。
試験運用が始まった位置情報システム「バスまだ?」は、利用者のニーズに合わせ、「地図タイプ」「一覧タイプ」「マニアタイプ」「時刻表タイプ」(準備中)の4種類の表示モードを用意。中でもツイッター上のコアなバスファンから注目されているのが「マニアタイプ」です。
ツイッターでは「割とガチでした」「宇野バスがついにやりおった」などと話題になっています。
何がすごいのでしょうか。宇野バスと協同でシステムの開発にあたった、仙台市のシステム会社代表の男性(50)に話を聞きました。
――「マニアタイプ」のすごさを教えてください。
「ここで表示される画面、実は宇野バス社内で運行管理用に使っているモニター画面と同じものなんです。運行しているバスの4桁のナンバープレート番号が表示されるので、どのタイプのバスが今どこを走っているかがリアルタイムでわかるんです。社内で使っているのと同じ画面を出している会社はほかにないんじゃないですか?」
――やはりバスにも色々なタイプがあるんですね。
「例えばプレート番号3916。これは『三菱ふそう・エアロスターM』といって、宇野バスでただ一つ残っている貴重なタイプです。これが走り出した時は、画面上には専用アイコンを表示させるようにしています」
――徹底したこだわりですね。ひょっとして…
「『マニアタイプ』を作ったのは、私もバスの写真をよく撮るマニアだからです。若いころにバス会社で働いた経験もあって、その時からシステム開発をやってました」
宇野バスは1918年創業。昨年秋、長崎バスが運賃値上げに踏み切ったことで、全国の民間路線バス会社の中で運賃が最も安くなりました。低運賃を維持する一方で、「企業は自立して経営されなければならない」(宇野泰正社長)と、これまで国や自治体から補助金や交付金を得たことはないといいます。
そんな社長の経営理念に共感したのが、前出のシステム会社の男性。宇野バス社員ではありませんが、仙台にシステム会社を立ち上げる前に前職の仕事を通じて宇野社長と出会い、「意気投合しました」。以来、月の半分以上を岡山で過ごすほど同社のシステム面をサポートしてきました。
「バスまだ?」の開発にあてることができた費用は、ごく限られたものでした。「通常、こうしたロケーションシステムを開発しようとなると数千万~億単位のお金がかかります。それではとても無理なので何とかコストを抑え、それでもいいものを作ろうと頑張りました」と男性。
高価な機器の代わりに、家電量販店でバスの台数分のタブレット端末を購入。安価な割にGPS精度が高いものを選び、独自開発のタブレットケースに入れて車内に取り付けました。車載カメラとしても活用させたことで、道路の混み具合も本社内でリアルタイムで把握できるようになりました。得られたデータをもとに男性がシステム設計。こうして「バスまだ?」が誕生しました。結果的に通常の10分の1の費用で開発に成功しました。
男性は「今回のは自分で作ったやつなのに、見るのが楽しいし、便利。ツイッターでも反響が出ていてうれしい」。今後も改良を重ね、6月からの本格運用を目指しています。
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